淡路島の「Awaji Nature Lab&Resort」の中に、今夏プレオープンした自然循環型滞在施設「燦燦Villa(さんさんヴィラ)」が、こに本格オープンをむかえた。
ここは、ただ泊まるだけの宿ではない。畑に足を踏み入れ、自然と触れ合い、自ら収穫した野菜を味わい、一流建築家が手がけたアートのような建物に身をゆだねる。感性を刺激する非日常な体験を通して、心も身体も整い、人生がより豊かなる気づきのきっかけを得ることができる…。
そんな特別なウェルビーイングな場所として注目を集めている。
五感で味わう、農の恵み ― 土と触れ合うことが心を解き放つ ―
燦燦Villaの特徴の一つとして挙げられるのが「農あるくらし」の体験である。
畑で土を触り、季節の野菜を自ら収穫する。鶏小屋で産みたての卵を手に取る。宿泊者は必ずこういった農作業を体験することがマストになっている。
大地と向き合う行為は、単なる農業体験にとどまらず、私たちの心を深く癒していく。科学的にも、自然の中で土や植物と関わることはストレスホルモンを減少させ、気分を安定させる効果があるとされている。土に含まれる微生物が脳のセロトニン分泌を促すことも知られている。
Villaでの農体験は、収穫の喜びだけでなく、土づくり、種まき、除草といった自然の循環を身をもって学ぶ時間も含まれている。土の手ざわりや季節ごとの変化を五感で味わうことで、日常生活の中で忘れがちな「生命のリズム」を取り戻すことができることだろう。
収穫した野菜は、その日の食卓で味わえる。併設の農家レストラン「陽・燦燦」では、自社農園や近隣農家から届く新鮮な野菜もあわせ穫れたての野菜を使った料理が提供される。
どのメニューも野菜が主役で、素材の持ち味を最大限に引き出した一皿が並ぶ。畑で触れた食材がすぐに食卓に上る体験は、まさに「畑と食卓が世界一近い」この場所ならでは。畑仕事から食卓までの流れを体験することで、心も体も心地良く自然に調和していくのを感じられるだろう。
アートと自然が共鳴する空間
世界的建築家が手掛けた11棟のアーキテクチャー
燦燦Villaを特別な場所たらしめているのは、世界的に活躍する9名の建築家が手掛けた、唯一無二の建築群である。関西万博のシンボルである「リング」をデザインした建築家・藤本壮介氏もその一人として名を連ねている。
各棟は自然素材を用い、淡路島の自然と響き合い、共生しあうように絶妙な設計が施されている。では、個性あふれる施設の魅力を一つずつ紐解いていこう。
「土茅庵」月の家
土・竹・藁の自然素材が織りなす温もりある空間は、訪れた瞬間に心をほどく力を持っている。中央にそびえる土の塔が空間をやわらかく仕切り、ひとつひとつの居場所に安らぎを生む。窓から差し込む光と土の香りが、まるで淡路島の自然そのものに抱かれているかのような感覚をもたらす。
「懐庵」稲の家
大きな開閉式の扉を開けると、内と外の境界が消え、風や光が自由に流れ込む。稲わらで覆われた屋根は、淡路島の四季と一体となり、目に映る景色と手触りが自然そのものになる。ここでは時間の感覚もゆっくりと流れ、日常を忘れて自然と調和する心地よさを味わえる。
「花」花の家
花々で覆われたピラミッド型の建物は、まるで自然がそっと抱きかかえてくれるような存在だ。
地中に沈められたフロアに差し込む光が、静かな安らぎの空間を作り出す。足を踏み入れれば、花の香りとやわらかな光に包まれ、訪れる人すべての心を解きほぐす。
「杉」杉の家(レセプションルーム)
国産杉をふんだんに使ったこの空間は、木の温もりを肌で感じられる。木の香りと穏やかな空気が、人と森の共生を自然と体感させる。ここにいるだけで、心が静かに落ち着き、森とひとつになる感覚を得られる。
「ログハウス」木の家
県産杉を循環利用したログ工法で建てられた木の家は、訪れる人に自然と持続可能な暮らしのヒントを与える。
木の温もりと香りが心地よく、地球にやさしい設計が日常の価値観をそっと揺さぶる。二酸化炭素を分離・回収し、地下深部の安定した地層に貯留するfCO2ストレージとしての機能も備えた環境負荷を抑える建築でもある。
UZU「渦の家」
渦巻状に設計された建物は、内と外が連続し、空間が絶えず変化する。歩くたびに異なる表情を見せ、まるで建物に包まれるような感覚を味わえる。目に映る景色と光の動きが、五感すべてを刺激し、訪れる人に未知の体験をもたらす。
ROU「楼の家」
塔を中心に空間が集まる楼の家は、階段を上がるごとに新たな景色を見せる設計だ。屋上庭園からの眺望は、淡路島の自然と建築がひとつに溶け合う絶景を届ける。空間の高さと広がりが、日常では味わえない爽快な感覚を生む。
「畑と窓の家」樫の家
積み上げられた窓とコルク素材が織りなす多層的な空間は、自然との対話を可能にする設計だ。光と風が窓を通して立体的に入り込み、畑や庭と呼応する。ここでは、建物と自然の境界が曖昧になり、生活の一部として自然と共生する喜びを体感できる。
「風」風の家
光と風を建築に取り込む設計により、季節の変化が肌で感じられる。窓から差し込む光やそよぐ風は、日ごとに表情を変え、建物そのものが生きているかのようだ。訪れる人は、自然のリズムと呼吸を合わせながら、心地よく日常を忘れることができる。
「木漏れ日」陽の家
一本の樹木を中心に据えた空間は、天窓から差し込む光が木漏れ日のように優しく降り注ぐ。木と建物の関係性が自然との一体感を生み、静かで豊かな時間を提供する。ここでは、建物と自然が一つになり、心からリラックスできる。
「ツリーハウス」鳥の家
大木と一体化したツリーハウスは、自然と暮らす知恵が息づく空間だ。最小限の家具で生活が完結し、木の上で過ごす感覚は非日常的でワクワクする。訪れる人は、自然と共生する新しい暮らしの形を体感できる。
これらのVillaは、宿泊施設の枠を超え一つひとつが緻密に設計されたアート作品のようである。同時に、緑あふれる農園の一部として自然に溶け込む精巧なデザイン。
素材の温もりを感じるこだわりのディテール、そしてプライベート感あふれる居心地の良さ。その体験は、五感を満たす快楽を超え、内側から静かに広がる充足感と穏やかな至福感に包まれる。正に、ここでしか得られない贅沢な空間芸術なのである。
心と身体を解きほぐす“心地よさの秘密”
― ラグジュアリーがもたらす深い休息 ―
そして、燦燦Villaは、施設内の細部に至るまで贅沢なこだわりが行き届いている。寝具は京都の老舗「IWATA」による至高のベッドマットレス、フレームはサンフランシスコ近代美術館のコレクションに選ばれた八木保デザインによるものだ。キャメルやヤクの毛を用いた掛布団は、吸湿性・保温性に優れ、理想的な睡眠を約束する。
客室やバスルームに供えられたアメニティは、日常の疲れをやさしく解きほぐすこだわりの品々がセレクトされている。
天然ミネラルや植物、果実などの厳選した天然成分のみを使用し、肌と環境に優しい製品を提供している国産オーガニックコスメブランド「MiMC」。
環境配慮と感性豊かなデザインで手元から心まで整えるナチュラルケアブランド「uka」など最上級のクオリティのアイテムが取りそろえられている。
タオルには「赤ちゃんが食べられるタオル」とも称される「IKEUCHI ORGANIC」を採用。
さらに、低温ナノミストスパ「Fai-Spa」や細胞修復をサポートする「電解水素水 Fai-Water」など、先端のウェルネス体験も導入されている。
これらは単にラグジュアリーということではなく、深い休息が心と身体の回復に直結するという確固たる哲学に基づかれている。
燦燦Villaの真価は、非日常の体験を通して私たちの日常を照らし返す点にある。農に触れ、現代建築の粋を集めた空間に滞在し、眠りと食で整う時間は、日常の暮らしを問い直し、小さな豊かさに気づくためのヒントも詰まっている。
現代人にとって、ウェルビーイングとは「健康」や「快適さ」にとどまらない。それは、心が充実し、人生の意味を深く感じられる状態である。
淡路島の大地が育む豊かな恵みを五感で受けとめ、内なる豊かさへと還元していく稀有な場所。ここで過ごすひとときは、心と体に贅沢な余白を与え、深いウェルビーイングな気づきへと導いてくることだろう。
はたけのリゾート 燦燦Villa
住所 兵庫県淡路市野島常盤字源八1510-3
電話 0799-70-9083
ウェブサイト https://awajinaturelabresort.com/







DIME MAGAZINE











































