ビューティーディレクター MICHIRUさんとおくる、連載「Wellbeing beauty by MICHIRU」。
連載第7回は、MICHIRUさんも自身の体調ケアの頼りにしているという、ハーブティー専門店「NeRoLi herb(ネロリハーブ)」へ。主宰で植物療法士の菅原あゆみさんに、“植物のチカラ”の真髄について伺った。
自分の体に入れるものを、もっと考えていこう
MICHIRUさん(以下、MICHIRU):ネロリハーブというとハーブティーというイメージが強いかもしれません。ですが、あゆみさんはスキンケアや手作りコスメ、料理など、日常のあらゆる場面で植物のチカラを取り入れる提案をし続けていますよね。あゆみさんが思う「植物療法」って、どういうことですか?
菅原あゆみさん(以下、菅原):MICHIRUさんが言ってくれたように、植物療法ってハーブティーを飲むことだけじゃないんです。野菜を食べるのも、地球で育ったものを使って体を温めるのも、「日常に植物を取り入れること」のすべてが植物療法です。植物療法とは、大きく言うと「自分に愛を向けること」。自分の体に入れるものをちゃんと考えていこうよ、ということだと思っています。
MICHIRU:今の時代は便利ですが、安心して体に摂り入れられるものが少ないですよね。
菅原:そうですね。添加物や農薬……。私は「昭和の時代」と称していますが、便利さや効率を重視した価値観や商品づくりが今も変わらずに続いています。食品を例にあげると今もなお腐ることが悪とされているじゃない? でもそれは自然の摂理であって、忌諱するものではないはずです。
便利さを少し手放し、自然の摂理を取り入れる知恵を
菅原:人間の体は身長やスタイルが変わっても、構造そのものは種の誕生の頃からほとんど変わっていません。地球に生まれてきた生き物として、健康に寿命を全うするなら、やっぱり地球の力を凝縮した植物が必要なんです。
MICHIRU:植物を余すことなく利用していた昔ながらの知恵にも、良いものがたくさんありますものね。そういったものを選ぶための知識が必要だと、私も日々勉強中です。
菅原:余分なものを引き算して、昔の良いものを少し足す。植物療法はそれができるのも、良いところだと感じています。なかでもハーブティーは一番手軽にデトックスができて、身体を正常なところに戻してくれるもの。
太陽と土、風や雨のエネルギーを、めいいっぱい取り入れて生きてきた植物のパワーはやっぱり素晴らしい。現代はサプリなどもありますが、地球の力を取り入れたものは違うと感じています。
美味しい!という感動から、ハーブを知ってもらえたら
MICHIRU:今は植物療法という言葉も知られるようになってきて、“健康オタク”な私たちとしては嬉しい流れですよね。でもネロリハーブを始めた頃は、理解してもらうのも大変だったのでは?
菅原:MICHIRUさんは初期の頃から来てくださっているから、意外に感じるかもしれませんが、世の中に知ってもらうまでの道のりはとても長かったです。10年前に下北沢で始めたネロリハーブのショップも、ハーブへの間口を広げることが一番のねらいだったんですけど……。
MICHIRU:その頃からカフェもありましたっけ?
菅原:ありました。むしろ私にとっては、カフェスペースをつくることが重要でした。ハーブの良さや植物療法を知らない人にとって、“不調をケアするハーブティー専門店”と名乗ると、敷居が高くなってしまいます。だったら、ふらっと立ち寄ったカフェで「ハーブティーって美味しい!」という感動に出会ってもらうことから始めようと。
MICHIRU:美味しい飲み物の選択肢に、まずハーブティーを入れてもらうこと。そうしたら日常にハーブを取り入れてもらいやすくなりますね。
菅原:展開している商品でいうと「デザートフラワーブレンド」シリーズが、その役割。味わいやシーンに合わせて選びやすいものを、まず飲んでいただいてハーブの美味しさを知ってほしい。それをきっかけに、その奥にある不調のケアを目的とした「ドクターフラワーブレンド」や、MICHIRUさんがリピートしてくださった「ハーブチンキ用ブレンド」を知ってもらえたらと考えています。
10年かけて叶ったハーブと人が出会う場所
MICHIRU:2024年の冬、表参道に移転されました。お店の様子はいかがですか? カフェも幅広い層の方々で賑わっている印象です。
菅原:やっとイメージしていたカフェの様子に近づいてきました。下北沢の店舗の頃は、1カ月に2組しかカフェのお客さまがいない時期もあったんですよ。パーソナルのブレンドを求めてくださるお客さまはいても、カフェのお客さまはなかなか増えなかったです。
MICHIRU:それでも10年続けて来られたのが素晴らしいです。10年前と比べて世の中の意識の変化を感じていますか?
菅原:この10年の間にコロナ禍もあり、少しずつ「免疫力を上げる」という言葉が日常になってきましたよね。「では、どうやって免疫を上げるの?」と探すなかで、ハーブや植物療法の良さに気づく方も増えてきたと感じています。みなさんとハーブとの距離が縮まってきているのは、とても嬉しいですね。
世界各地の知恵と植物が詰まったオンリーワン
MICHIRU:あゆみさんには何度かカウンセリングを元に、オリジナルのハーブティーやチンキ用のブレンドをつくってもらっています。脈診や不調、生活習慣などに合わせてもらったパーソナルなブレンドはやっぱりパワフル! なかなか寝付けなかった時期に、つくっていただいたブレンドを飲み続けたら自然と眠れるようになったことは忘れられません。
菅原:実は店頭で販売しているハーブブレンドも、そのようなパーソナルブレンドから生まれたものなんですよ。ご相談者さまの心身の不調と向き合い、試行錯誤を繰り返して改善につながったブレンドをそのまま商品化しました。
MICHIRU:どの商品にも、裏側にあゆみさんの経験と相談者さんとのストーリーがあるんですね。あゆみさんがつくるハーブブレンドは、西洋のハーブだけでなく、東洋医学やアーユルヴェーダで使われる植物も入っていて、まさにオンリーワンですよね。
菅原:そうなんです。私自身、イギリスや中国、インドなど、それぞれの国で植物療法を学んできました。でも、どれもそのままでは日本人の身体や気候に合わない部分があるんです。日本人と西洋の人の身体は、やっぱり違うんですよ。だから各国の昔ながらの知恵を、日本人用のメソッドでつくっているのがネロリハーブで提供しているブレンドや、私がお伝えしている植物療法です。
MICHIRU:だからネロリハーブのブレンドは“効く”実感があるんですね! 海外での学びの話も、詳しく聞かせてもらいたいです。
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次回、中編ではネロリハーブを通して、菅原さんが世の中に「伝えていきたいこと」を伺います。すぐに定員が埋まるMICHIRUさんとの店内イベントの様子もちらっとお届け!
菅原あゆみ(すがわらあゆみ)
2015年より「大切な人や、家族のための植物療法」をコンセプトに、NeRoLi herbを主宰。英国式植物療法、漢方、和漢、アーユルヴェーダなどをベースに、オリジナルのメソッドを確立。産地や製法などを厳選したハーブを用いて、本物の植物の力を広げている。女優、モデル、ヘア&メイクアップアーティストなど、美のプロフェッショナルたちからの信頼も厚い。
MICHIRU(みちる)
メイクアップアーティスト・ビューティーディレクター/渡仏、渡米を経て、国内外のファッション誌や広告、ファッションショーやメイクアイテムのディレクション、女優やアーティストのメイクなどを数多く手がける。また体の内側からきれいになれるインナービューティを提唱するなど幅広く活躍中。本連載ではナビゲーターを務める。
取材・構成/福田真木子
写真/杉原賢紀
ukaの新シリーズ「リジェネラティブ グッド」が伝えるウェルビーイングストーリー
「Wellbeing Beauty by MICHIRU」ではビューティーディレクターのMICHIRUさんとともに、人を輝かせるビューティーアイテムの裏側にある…







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