季節はすっかり冬の訪れを感じるような寒さに。
冬に美味しく食べるものといえば、何が思い浮かぶだろうか…?おそらく日本では、鍋やおでんやみかんなどを思い浮かべる方が、多いだろう。
ここで「冬といえば水羊羹!」と思った方は、おそらく福井県出身ではないだろうか?
なぜ水羊羹?

そう、福井県では水羊羹を冬に食べる文化があるようなのだ。
福井県でそのような習慣があることを知ったのは、筆者の配偶者と出会ってからだ。毎年冬になると義実家から水羊羹が送られてくる。
「なぜ水羊羹!?」と驚いたものだが、配偶者いわく、福井県では当然のように冬に水羊羹が食べられているため、県外に出るまでそれが福井県だけだと知らなかったほどだという。
福井県といえば、恐竜、メガネ、越前ガニなどが有名だが、羊羹、あんこ、和菓子、のような印象はなかった。
日本文化の中心である京都や、伝統工芸などが盛んな石川県は和菓子文化も根付いていそうなイメージがある。そんな府県に囲まれていることが影響しているのだろうか…?
どのくらい食べるのか、なぜ冬なのか?気になるので調査してみた。
※本記事には筆者の個人的な見解が含まれています。
冬の水羊羹が福井県で広がった理由

筆者のうちには義実家から“えがわの水羊かん”が送られてくる。「えがわ」は1937年創業の和菓子店であり、「水羊かん」が目玉商品だ。
えがわの水羊かんは、平らなB5サイズくらいの箱に赤い縁取りが施された印象的なパッケージに、黒糖のコクがありつつも甘すぎずさっぱりとした水羊羹だ。

今回は有限会社えがわの広報担当者に福井の水羊羹事情について話を聞いた。(以下「」内、広報担当者)
まず、福井県ではなぜ冬に水羊羹を食べるのだろうか?
「諸説ありですが、関西の方にでっちさんと呼ばれる地方出身の少年たちが大勢働いていて、年末の帰省の際におみやげとして持たされたのが練ようかんでした」
その練ようかんを福井では水で薄め、かさを増やして家族で食べていたという。それが水羊羹として広がったと言われているんだとか。
「年末の帰省の時に頂いて食べていたので、それから冬に食べる水羊羹が福井では定番になったのではないのか?という説があります」
確かに、福井の水羊羹は一般的な水羊羹よりもみずみずしく、つるんとした喉越しが印象的だ。
「福井の水羊羹の水分は一般的な水羊羹より多いです。そのためみずみずしく糖度が低いので、食べやすくするすると食べてしまうのが特徴です」
福井の水羊羹は大体B5判ぐらいの大きさで、高さが2cmほどの薄く平べったい形であり、付属のヘラですくって食べるのも福井スタイルだという。

水羊羹は冬季限定販売
「冬と言えば水羊羹」な福井県だが、冬以外には食べないのだろうか?さっぱりしているので、夏にも合う気がするのだが…。
「福井県では冬に多くのお菓子屋さんが水羊羹を作ります。福井ならではの水羊羹は冬限定の販売になっています」
冬にはお菓子屋さんやスーパーなどにも水羊羹が並び、冬に食べるのが定番になっているという。
冬にはどのくらい注文が来るのだろうか?
「えがわの店舗ではお持ち帰りや地方発送、お歳暮ギフト、お取り寄せなど、多数の発注をいただいております。製造のピークは12月中旬から1月の年始までです」
水羊羹の販売時期は大体11~3月のところが多いようで、えがわの水羊かんの販売時期も11~3月とのこと。
ちなみに日本あんこ協会によると、2023年の羊羹の都市別購入ランキング(※)は以下の結果に。数値は購入頻度(100世帯あたりの年間回数)
1位 福井市・・・221回
2位 宇都宮市・・・193回
3位 松江市・・・184回
これは2022年に続く快挙とのこと。この結果には冬の水羊羹が大きく貢献していることだろう。
数年間に渡って冬にえがわの水羊かんを食べているうちに、筆者も冬になると「そろそろ福井の水羊羹が食べたいなあ」と思うようになってしまった。
水羊羹と冬という季節は想像以上に相性がいいのかも知れない。つるんとして他にない福井の水羊羹。気になる方はぜひオンラインで注文してみていただきたい。
※ 総務省家計調査において、令和5年(2023年)のようかんの都市別(都道府県庁所在市および政令指定都市)購入頻度、支出金額の発表データをもとに作ったもの
<取材協力>
有限会社えがわ
HP:https://egawanomizuyoukan.com/
日本あんこ協会
HP:https://anko.love/
取材・文/まなたろう
沖縄では「シーチキン」が本土の3倍売れる!?箱買い文化と意外な食べ方の秘密
ここ数年、私用で夏は沖縄に行く筆者。旅先のスーパーを見るのが大好きなため沖縄でも行くのだが、そこでいつも気になるものがある。 『シーチキン』だ。箱に敷き詰められ…
西葛西はなぜ「リトル・インディア」になったのか?インド人の生活を支えた〝父〟の存在
現在、江戸川区にはおよそ7000人以上のインド人が住み(※1)、そのうち約4000人は西葛西エリアに住居を構えているという。 日本のインド人の人口は2024年の…







DIME MAGAZINE














