京都市街を見渡す東山エリアの高台にそびえる「バンヤンツリー・東山 京都」。天然温泉のスパや隈研吾氏デザインの能舞台など、非日常なウェルネス体験を味わいに出かけたい。
東山の豊かな自然とシームレスに調和する空間
今から約30年前、タイのプーケットに初のホテルをオープンして以来、「心身と精神の調和」をテーマにホテルやスパリゾートを運営してきたタイ発の高級ホテルブランド「バンヤンツリー」。全室プライベートプールつきのヴィラタイプのスパの先駆けとしても有名だ。
日本初進出となる「バンヤンツリー・東山 京都」が開業したのは昨年のこと。清水寺や高台寺、八坂の塔、祇園などが徒歩圏内の人気のエリアだが、同ホテルは観光地の喧騒から離れた高台に位置し、周囲の森に溶け込むようにひっそりとたたずんでいる。この場所は霊山(りょうぜん)地区と呼ばれ、幕末の動乱期に活躍した維新の志士たちを慰霊する聖地として発展したという。
マスターアーキテクトは隈研吾氏。ホテルに到着するとまず目を引くのが、エントランスのシンボリックな「大庇(おおひさし)」。天然木材を幾重にも組んだ隈研吾建築らしいファサードに、これから始まるくつろぎの時間への期待が高まる。館内は広々としたロビーをはじめ、日本の伝統的な建築美とモダンな意匠が融合したムード。自然豊かな東山の景観とシームレスに調和し、スタイリッシュでありながらも温かみが感じられる。
ウェルビーイングにフォーカスした客室も
客室は全52室。橋本夕紀夫デザインスタジオが客室デザインを手がけ、畳や障子を用いた和モダンな空間に仕上がっている。全室48平米以上あり、掘りごたつのテーブルが備えられた小上がりやデイベッドでゆったりとくつろげる。ヒバ材の大きな浴槽がうれしいバスルームは居室に向かって開かれていて、いかにもリゾートという気分。酒粕やゆず、ほうじ茶などの入浴剤も用意されている。
おすすめの客室タイプは「ウェルビーイングサンクチュアリルーム」。室内にヨガマットやバランスボールなどのフィットネスグッズが用意され、いつでも好きな時間に身体を動かせるのがうれしい。例えば、ワーケーションで利用する際も、小上がりのテーブル(電源用のコンセントとUSBポート完備で便利!)でデスクワークに勤しみながら、合間にヨガやストレッチでリフレッシュする、なんて過ごし方にも積極的に取り組めそうだ。また、朝食は通常の会席のほか、ウェルビーイングの朝食も選択可能となるので、朝は軽めに済ませたいという人はそちらをセレクトするとよいだろう。
スパではホリスティックなリラクゼーション体験を
さて、「バンヤンツリー」といえばスパ。タイの伝統療法と東洋医学に根づいたホリスティックな考え方のもと、独自のトリートメントやプロダクトを展開している。施術を担当するのは、プーケットのアカデミーのトレーナーのもとできっちりと訓練を受けた熟練のセラピストたち。アロマオイルやハーブなどを用い、五感を癒やすひとときへと導いてくれる。
シグネチャートリートメント「Onsenインダルジェンス」は「バンヤンツリー・東山 京都」だけのオリジナルメニュー。スパの個室内のヒバの浴槽で天然温泉に浸かり、身体を深部から温めたあと、フルボディトリートメントを味わう時間は至福以外の何物でもない。
神秘的な気分へと誘われる、優美な能舞台
この場所が霊山地区と呼ばれていることは冒頭で触れたが、実は平安時代には三大葬送場のひとつである鳥辺野(とりべの)があったエリアで、古くから「この世とあの世を隔てる結界のような場所」ともいわれてきた。「バンヤンツリー・東山 京都」の庭にある能舞台は、まさにこの土地にふさわしい建築物といえるだろう。京都のホテルに能舞台が建てられるのは初めてのことで、デザインを手がけたのは隈研吾氏。水盤の上に浮かんでいるかのように建つ屋根も壁もないスケルトン状の舞台は、背後の竹林や空と一体化しているように感じられ、神秘的な気分へと誘われる。
能舞台が位置するのは、館内の割烹料理「りょうぜん」の目の前。美しい建築を眺めながら食事を楽しめるほか、日によっては能楽や芸舞妓の舞踊などのイベントが行われることも。また、季節や天候によっては朝のヨガレッスンを能舞台上で体験できるので、そちらもぜひ参加したい。
霊山の地にちなんだ「幽玄」というデザインコンセプトのとおり、ホテルのどこにいても静謐な美しさが感じられる「バンヤンツリー・東山 京都」。自然のなかにたたずむサンクチュアリで、心身を回復する時間を味わってみてはいかがだろうか。
取材・文/志村香織
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