青切符制度は比較的軽微な交通違反に対する行政処分で、反則金の納付により刑事責任を免れる制度です。青切符対象の例や、赤切符との違い、青切符の罰金などを詳しく解説します。
目次
交通違反をした際に警察官から交付される「青切符」。交通違反の中でも比較的軽微な違反が対象の制度であり、青切符を受け取った経験があるドライバーも多いのではないでしょうか。
この青切符制度が2026年4月から自転車にも適用されることになり、大きな注目を集めています。これまで自動車やバイクにのみ適用されていた制度が自転車に拡大される背景には、自転車による交通事故の増加や悪質な運転行為の問題があるのです。
本記事では青切符制度の基本から、自転車への適用内容まで詳しく解説します。
自転車の交通違反で注目されている「青切符制度」とは
青切符制度は交通反則通告制度に基づく仕組みで、軽微な違反を迅速に処理するために設けられています。ここでは、青切符制度の基本的な仕組みについて理解を深めましょう。
■自動車運転者による軽微な交通違反行為に有効な制度
青切符制度は「交通反則通告制度」と呼ばれる行政処分の1つです。1968年の道路交通法改正により導入されました。
同制度は、比較的軽微な交通違反について、反則金を納付すれば刑事手続きを経ることなく事件が処理される点が大きな特徴です。
青切符を受け取った違反者は、指定された期限内に反則金を納付することで、刑事責任を問われることなく違反処理が完了します。これにより、違反者にとっても司法機関にとっても、効率的な処理が可能になっています。
■「軽微」な交通違反の例
ここまでで「軽微な交通違反」という言葉が何度か登場しました。具体的にどのような交通違反が青切符の対象となるのかを見てみましょう。
ここでは、車両における青切符制度の対象となる交通違反をご紹介します。
●速度超過
●積載物重量制限超過
●携帯電話使用等(保持)違反
●信号無視(赤色等・点滅)
●通行区分違反
●追越違反
●急ブレーキ禁止違反
●免許証不携帯
など
参考:警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」
道路交通法は交通事故を防ぎ、安全に車を運転するための命に関わる法律なので、実際には上記以外にも多くの交通違反が存在します。
警察庁のホームページでは反則行為について詳しく知ることができるため、気になる方はぜひいま一度チェックしてみてください。
■青切符の罰金はいくら?
青切符の罰金は、大型車、普通車、二輪車、小型特殊車、原付車と、どの車両で違反をしたかによって異なります。
例えば15km未満/hの速度超過の場合、普通車の罰金は9,000円、大型車の罰金は1万2,000円です。
青切符の罰金(反則金)を期日までに納めなかった場合は刑事手続きへと移行し、さらに裁判の結果有罪と判断されると前科がつくことになります。
■青切符と赤切符の違い
青切符と赤切符の最も大きな違いは、手続きの性質にあります。青切符は行政処分となり、反則金を納めれば刑事責任を問われることはありません。
一方の赤切符は刑事手続きの対象です。酒気帯び運転や無免許運転、30km/h以上の速度超過、ひき逃げ、当て逃げなど、重大かつ悪質な交通違反に対しての処理となり、有罪判決が下されると罰金刑や懲役刑が科されることとなります。
2026年4月1日より自転車も青切符の対象に

道路交通法改正により、自転車運転者にも青切符制度が導入されることが決まり、多くの方が関心を寄せているのではないでしょうか。ここからは、自転車における青切符制度を解説します。
■自転車における青切符制度の考え方
自転車は、道路交通法において車両の仲間となっており、道路交通法違反によって重大な事故に繋がる可能性のある乗り物です。青切符の導入は、自転車による交通事故の抑止と、自転車による交通違反時の手続きの迅速化を主な目的としています。
青切符制度の導入後も、自転車の交通違反に対して「指導警告」を実施し、交通事故の原因となり得る悪質な違反行為は検挙の対象、という基本的な考え方は変わりません。
例えば、単純に歩道を自転車で通行しただけで、問答無用で青切符が交付されるということではなく、歩行者に対する危険性や、交通違反の悪質性を判断した上で青切符が交付されることになります。
■気になる自転車の「歩道通行」について
道路交通法上、自転車は原則として車道を走ることになっています。しかし、「自転車通行可」の標識がある歩道や、13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転する場合には歩道の通行が認められています。
また、例えば交通量が多く極端に狭い道路など、車道の通行が危険な場合にも歩道の通行が可能です。
問題は、歩道を走行する際に歩行者の通行を妨げる危険な運転をした場合であることを意識しましょう。
■自転車における青切符導入後の刑事手続きの流れ
自転車における青切符の手続きは、自動車の場合とほとんど変わりません。
1.青切符の交付
2.反則金の仮納付
(取り締まりを受けた翌日から原則として7日以内)
3.反則金の納付(仮納付をしなかった場合)
(交通反則通告センターへ出頭し通告を受けた翌日から原則として10日以内)
罰金(反則金)を納付すれば、上記の「3」までで手続きは終了します。
自転車における青切符対象の交通違反一覧

最後に、自転車において青切符の対象となる交通違反の例を一部ご紹介します。気になる事例もあると思いますので、ぜひチェックしてください。
■携帯電話の使用(保持)
例えば自転車に乗りながらスマホを手に持って通話した時や、画面を注視した時など、重大な事故に繋がる恐れのある違反は青切符の対象です。
ただし、携帯電話の使用(保持)に該当するケースの中でも、歩行者に接触しそうになったり、道路において交通の危険を生じさせたりするなど、場合によっては「赤切符」となることもあります。
■自転車制御装置(ブレーキ)不良
ブレーキが正常に機能しない自転車での走行も青切符の対象となります。中でも「ピストバイク」と呼ばれる自転車にはブレーキがついていないことがほとんどですが、このピストバイクも青切符の対象です。
道路交通法では、自転車の前輪と後輪に正常に動作するブレーキを装着することが義務付けられています。自転車制御装置不良の自転車しか手元にない場合は、車載、手押し、出張修理を利用するなどして安全にブレーキを取り付けてください。
■歩道走行時の危険な運転(歩行者を立ち止まらせるなど)
青切符導入後も、特定の標識がある場所や、特定の条件を満たす人、車道の走行が危険な場合には自転車での歩道の走行が可能です。しかし、そのような状況下においても安全運転の義務があることには変わりありません。
例えばスピードを出して走行し歩行者を立ち止まらせたり、他の車両の急ブレーキや進路変更などを引き起こしたりした場合などには青切符の対象となります。
■指導警告の無視
青切符導入後であっても、すべての交通違反に対して即青切符、即罰金、となるわけではありません。警視庁の「自転車ルールブック」でも、以下のような記載があります。
青切符導入後も、
●自転車の交通違反に対しては基本的に「指導警告」を実施
●交通事故の原因となるような、「悪質・危険な違反」は検挙の対象
という交通違反の指導取締りについての基本的な考え方は変わらないが、検挙後の手続は変わる
引用:警視庁「自転車ルールブック」
場合によっては、指導警告のみで青切符が交付されないケースもあることがわかります。ただし、指導警告は交通事故の危険を知らせるための警告であることに変わりはありません。
指導警告を無視して違反を続けたり、目の前に指導取締りを行っている警察官を確認しているにも関わらず違反行為を行ったりすると、青切符の対象となります。
■信号無視・一時停止場所での不停止
信号無視や、一時停止場所で停止しないといった違反によって、歩行者と自転車、あるいは自動車と自転車が接触事故を起こすケースは多いです。
警視庁の自転車ルールブックによると、信号無視や一時停止場所での不停止は、2024年中における自転車による交通違反の検挙理由の8割以上を占めているとのこと。
参考:警視庁「自転車ルールブック」
青切符導入後は、信号無視や一時停止場所でのしっかりと停止しなかった場合も対象となります。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/まじめさん







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