小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

韓国Kiaの「PV5」はなぜ評価されているのか?商用EVバンが市場を変える理由

2025.12.22

韓国のキア(起亜)が日本の商用EV市場に本格参入する。本記事では、参入背景と電動バン「PV5」の特徴、導入時の要点と市場への影響を解説する。

韓国のキア(起亜)が、日本の商用EV市場に本格参入する。投入されるのは、多用途型の新しい電動バン「PV5」。欧米で評価を高めるキアのEV技術と、日本で不足が続く中型EVバンのニーズが合致し、市場は大きな転換点を迎えている。

本記事では、キア参入の背景、PV5の特徴、そして今後のインパクトをわかりやすく解説する。

キア(起亜)とはどんなメーカー?世界で存在感を高める理由

注目のPV5

キアは日本ではなじみの薄い存在だが、世界ではすでにEV市場の主要プレイヤーだ。現代自動車グループの一員として培った技術力と、独自のEV戦略が国際的な評価を押し上げている。その背景を解説する。

■現代自動車グループの中でのキア(起亜)の位置づけ

キアは韓国の現代自動車グループに属する大手メーカーで、世界市場では年間300万台規模を販売する中核ブランド。日本では知名度が高くないものの、グローバルではデザイン力と技術開発への投資によって存在感を大きく伸ばしてきた。

1998年にグループ傘下となって以降、開発効率の共有やEVプラットフォームの共同利用が進み、競争力の強化に直結している。特に電動化分野ではグループ共通のアーキテクチャや生産体制を活用し、欧米を中心に着実にシェアを拡大している。

キアは単なるサブブランドではなく、現代自動車グループのEV戦略を担う重要な柱として位置づけられていると言える。

■海外で人気のEVモデル

キアのEVラインアップは海外で高い評価を得ており、その象徴が「EV6」と「EV9」だ。

EV6は専用プラットフォームを採用したスポーティな中型EVで、航続距離の長さや急速充電性能が評価され、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど国際的な評価が高い。

一方、EV9は3列シートを備えた大型SUVで、室内の広さと先進装備が特徴だ。走行性能、安全機能、外部給電(V2L)などの実用性も備え、欧州や英国で複数の賞を獲得している。

いずれも「デザイン性×電動化技術×価格バランス」が強みで、環境意識の高い地域で支持を広げている。

キアが世界のEV市場で存在感を増している背景には、こうした実績あるモデルの存在が大きい。

なぜ日本は“商用EV”から? キア(起亜)の参入戦略が示す市場の変化

キアが日本で商用EVから参入する背景には、国内市場の“空白”と、企業の脱炭素化ニーズの高まりといった2つの要因がある。なぜ今、中型EVバンなのか、その市場環境を見ていこう。

■日本の商用EVは「空白地帯」になっている

日本では乗用のEV化が進む一方で、物流や送迎などに使われる中型バンのEVは選択肢が乏しいままだ。軽EVは増えているものの、荷室容量や乗車定員を確保できる商用向けの電動バンは国内メーカーの開発が遅れ、企業側も欲しい車がない状態が続いている。

こうした供給不足は、車両更新時期を迎える物流事業者やタクシー会社にとって大きな課題だ。キアが投入するPV5は、この中型ゾーンに初めて本格参入する海外EVバンであり、市場の空白を突くかたちで注目を集めている。

ディーラー網の整備や販売計画も含め、日本での商用EV市場を広げる起爆剤として期待されている。

■企業の脱炭素ニーズを捉えるPV5の価値

企業にとって脱炭素は経営課題となり、特に走行距離の多い物流・旅客などの業種では、商用車の電動化が優先度の高いテーマとなっている。環境負荷の削減と業務効率化を同時に進めたい企業が増える中、EVバンへの需要は急速に高まっている。

PV5は専用プラットフォームによる高効率な電動化設計に加え、外部給電や用途別ボディ構成など多機能性を備え、災害対応や地域交通にも活用可能だ。環境対応と実利を両立したい企業にとって、現実的なEV化の選択肢となり得る。

キア(起亜)「PV5」は何がすごい?日本の商用バンを変えるポイント

柔軟なスペックが評価を集める

キアのPV5は、単なる電動バンにとどまらず、用途に合わせて姿を変えられる柔軟な構造を備えている。多様なビジネスシーンに対応できる設計こそ、日本の商用EV市場で期待される理由だ。詳しく見ていこう。

■多用途に対応するボディ構成

PV5の特徴は、用途に応じて車体構成を大きく変えられる柔軟性にある。物流向けのカーゴ、タクシーや送迎に使えるパッセンジャー、車いす利用者を想定したWAVなど、日本導入時点で複数のタイプが選べる。

ベースとなるEV専用プラットフォームは床がフラットで拡張性が高く、アッパーボディをセル単位で組み替えられる仕組みによって、最大16パターンものバリエーション展開も可能とされる。配送車から福祉車両、レジャー向けの車中泊仕様まで幅広い形態に変化できるため、企業が抱える細かな業務ニーズにも合わせやすい。

単なるEVバンではなく「移動を起点とするモビリティプラットフォーム」として設計されている点が、従来の商用車とは大きく異なるポイントだ。

■働くEVの要件を満たすPV5の性能

PV5は業務利用に不可欠な実用性能を重視して開発されている。航続距離は仕様によって400km台から500km超まで確保され、長距離移動の多い配送業務でも運用しやすい。特にカーゴモデルは大容量バッテリーを搭載し、528kmのロングレンジを実現する。

荷室は開口部が広く、街中でも扱いやすいデュアルスイング式テールゲートを採用。最小回転半径も小さく、都市部での小回り性能に優れる点も商用車として魅力だ。

さらに、内装には耐久性の高い素材や取り外し可能な助手席、ウォークスルーを考慮した高い室内高など、日々の業務に役立つ工夫が盛り込まれている。クラウドと連携した運行管理システムにも対応し、車両管理の効率化にも寄与する“働くEV”としての完成度が高い。

導入を検討する企業が知っておきたい3つのポイント

商用EVの導入はコスト、運用体制、ESG評価など、多くの企業に共通する検討ポイントがある。PV5を候補に入れる際に押さえておきたい3つの重要項目を確認する。

■導入コストと補助金

商用EVの導入ではじめに壁となるのが車両価格。PV5も一定の初期費用がかかるが、国の「CEV補助金」や自治体の独自制度を組み合わせれば、実質負担を大きく下げられる可能性が高い。

特に自治体によっては商用EVを対象とした手厚い支援が用意されており、条件を満たせば数十万〜100万円規模の補助が受けられるケースもある。

さらに、事業用車両として申請できる制度が多いため、社用バンの更新時期と合わせて導入を検討すれば、財務面の負荷を抑えながらEV化を進められる。コスト面を理由にEV導入を躊躇してきた企業にとって、補助金の活用は現実的な選択肢となる。

■商用車だからこそ重要な、充電・メンテの基盤整備

商用EVの導入では「運用面の安定性」がもっとも気になる点だが、PV5はこの課題に対して具体的な計画を示している。キアは双日グループと日本法人を設立し、2026年度までに全国8店舗のディーラーと約100カ所のサービスセンターを整備する方針だ。

これにより、故障対応や定期メンテナンスに迅速にアクセスできる体制を全国で確保する。また、国内パートナーと連携して充電ネットワークの構築も並行して進めるため、日常的な給電環境に対する不安も軽減される。

商用車は稼働率が命であるため、このサポート網の充実は導入判断の大きな後押しになる。海外ブランドのEVであっても安心して運用できる基盤づくりが進んでいると言える。

■ESG対応・脱炭素レポートで効果を出せる

商用EVの導入は、環境負荷の低減を数値で示しやすい取り組みであり、企業のESG評価向上に直結する。走行時のCO₂排出がゼロとなるだけでなく、ライフサイクル全体でも内燃車と比較して排出量を大幅に抑えられる点が強みだ。

企業はEVの導入台数や走行距離、削減できたCO₂量を定量化し、サステナビリティレポートや取引先への開示資料に反映できる。

特にEVは国際的なLCA手法による評価が行いやすく、サプライチェーン全体の排出削減にも寄与する。脱炭素が要件となりつつある業界では、こうした実績を示すことが取引条件に影響する場合もある。EV導入は環境対応だけでなく、企業価値向上にもつながる取り組みだ。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/Ema

Author
30代。都内の大学を卒業後、新卒でホテル業界に就職し、接客・観光業務に従事。現在は観光関連の記事の企画・執筆・取材を中心に活動し、インバウンド向け観光ガイドも行う。ヨガRYT200やローフードマイスターの資格を持ち、心身の健康に配慮したライフスタイルを大切にしている。観光からビジネス、時事、ライフスタイルまで幅広く執筆し、読者に寄り添った実用的で分かりやすい記事を心がけている。最近は愛犬と自然の中で過ごす時間がお気に入り。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年12月16日(火) 発売

来年末は、DIME本誌で答え合わせ!?来る2026年、盛り上がるだろう意外なブームを各ジャンルの識者・編集部員が大予言! IT、マネーから旅行にファッション、グルメまで……”一年の計”を先取りできる最新号!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。