住宅ローン控除の確定申告は、マイナポータル連携とe-Taxの活用で劇的に効率化できます。この記事では、住宅ローン控除の対象条件から必要な事前準備、申告の手順、よくある疑問まで詳しく解説します。
目次
住宅ローン控除、それはローン残高に応じて税金の控除が受けられるという、物価高の現代においては特にうれしい制度。
さらに、2024年分以降の確定申告からは年末残高情報をマイナポータルとe-Taxで連携できるようになったことで、従来の方法と比べ手続きの負担が劇的に軽減されました。
本記事では、住宅ローン控除の手続きに関して、1年目に必要な書類からマイナポータル経由での具体的な申告手順、連携できない時の対処法などのよくある疑問まで、分かりやすく解説します。正確でスピーディーな申告を完了させ、確実に税金の還付を受けましょう。
住宅ローン控除はマイナポータル連携が便利!添付書類や準備を確認

住宅ローン控除を適用するには、初年度に確定申告が必要です。この確定申告をより早く、正確に完了させるカギが、マイナポータルとの連携です。
まずは、住宅ローン控除の対象条件を簡単に確認し、この便利な連携機能を活用するための事前準備と、初年度に必要となる書類について解説します。
■住宅ローン控除とは?対象の条件
住宅ローン控除とは、個人が金融機関等の住宅ローンを利用して住宅を購入・新築・増改築した場合、年末時点のローン残高に応じて所得税から税金が控除される制度です。対象となる住宅は多岐にわたりますが、多くの方が該当する条件として、以下のものが挙げられます。
新築・購入の場合:住宅の取得後6ヶ月以内に入居し、引き続き居住していること。家屋の床面積が50㎡以上。住宅ローンの返済期間が10年以上であり、控除を受ける年の所得金額が2,000万円以下。
中古住宅の場合:上記の新築・購入の条件に加え、一定の耐震基準を満たしていること。
紹介した条件は一部であり、その他にも細かな条件が定められています。また、増改築やバリアフリー改修工事を行った際も住宅ローン控除の対象となり、それぞれの場合に応じて対象となる条件が異なります。ご自身のケースが対象となるか、より詳細な情報は国税庁のサイトでご確認ください。
参照:国税庁サイト「土地・建物(住宅ローン控除等)」
■事前準備(マイナポータル連携)
マイナポータルを利用して確定申告を行うため、事前にマイナポータルとe-Taxの連携を行います。事前準備には、マイナンバーカードとカードの読み取り環境が必要です。
●マイナンバーカード:有効な利用者証明用パスワード(数字4桁)と、署名用電子証明書パスワード(英数字6~16桁)を確認しておきましょう。
●電子証明書読み取り環境:PCで申告する際はICカードリーダライタ、スマホで申告する場合にはマイナンバーカード対応スマートフォンが必要です。
事前準備の手順
1.マイナンバーカードを利用してマイナポータルにログインする。
2.確定申告の事前準備ページで「住宅ローン控除」を選択して「国税庁」にチェックを入れる。
3.「証明書等の取得」画面で、取得したい情報を選択して「e-Taxで登録・確認」をタップ。
4.e-Taxのマイページに移動するので「e-Taxからの情報取得を希望する」を選択する。
※事前準備は、新居に引っ越した年内に行いましょう。翌年の2月中旬以降、e-Taxにログインして「年末残高情報」がメッセージボックスに格納されているかを確認してください。
■1年目の確定申告に必要な書類一覧
マイナポータル連携で確定申告を行う場合、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」や「住宅の売買契約書」の添付は不要です。必要な書類は、次の通りです。
●住宅の登記事項証明書の原本又は写し
●土地の売買契約書の写し(土地の購入に係る住宅ローンがある場合のみ)
●調書方式の場合は、住宅を新築した場合のみ添付が必要
●土地の登記事項証明書の原本又は写し(土地の購入に係る住宅ローンがある場合)
●国や市区町村等からの補助金等の額を証する書類の原本(補助金等の交付を受けた場合)
●贈与税の申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写し(住宅取得等資金の贈与の特例を受ける場合)
●住宅の区分等に応じた書類
住宅の区分によって添付する書類が異なるため、ご自身のケースに該当する書類を確認しておきましょう。
参照:国税庁サイト「マイホームを持ったとき」
マイナポータル経由で住宅ローン控除を申告する手順

ここからは、実際にマイナポータル連携を利用してe-Taxで確定申告を行う手順を解説します。手続きは、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」から。マイナポータル連携によって証明書の情報を手入力する必要がなくなり、従来の方式に比べて申告書の作成時間が大幅に短縮されました。
1.国税庁サイトにアクセスし、「確定申告書等作成コーナー」から「作成開始」を選択。
2.案内に従い、マイナポータルに移動してマイナンバーカードでログイン。数字4桁のパスワードを入力。
3.マイナポータル連携を行い、取得する情報を選択。確認画面で「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等情報」が取得されていることを確認する。
4.自動入力された情報に加え、収入・所得や所得控除等を手入力する。
5.最後の確認画面で内容に誤りがないかを確認し、送信する。
e-Taxで確定申告を行った後に、添付書類を所轄の税務署(又は業務センター)に郵送で提出します。イメージデータ(PDF形式)の送信でも提出可能です。詳しくは国税庁サイトで確認してください。
参照:国税庁サイト「所得税の添付書類のイメージデータによる提出について」
住宅ローン控除の手続きについてよくある質問

マイナポータル連携で便利になった確定申告ですが、新しいシステムであるが故に手続きの過程で疑問が生じやすいものです。最後に、ユーザーがつまずきやすいポイントや、制度に関する基本的な質問について解説します。特にe-Taxとの連携や、2年目以降の手続きの違いについては、しっかりと確認しておきましょう。
■「調書方式」と「証明書方式」って何?
これは、金融機関が税務署へ住宅ローン残高証明書などの情報を提供する形式の違いです。
証明書方式(従来):金融機関が契約者に紙の証明書を発行し、契約者がその紙を税務署に提出する
調書方式(マイナポータル連携):金融機関が税務署に電子データ(調書)として情報を提供し、契約者がマイナポータルを経由してその電子データをe-Taxに取り込む
調書方式に対応している金融機関は、国税庁サイトから確認が可能です。
参照:国税庁サイト「年末残高調書を用いた方式(調書方式)に対応した金融機関の一覧」
■e-Taxと連携できない!原因と対処法は?
マイナポータルとe-Taxが連携できない場合、いくつかの原因が考えられます。原因と対処法を確認してみてください。
●サービス時間外:マイナポータル、e-Taxは不定期でメンテナンスを行うため、各サイトを確認して利用可能時間内に再試行する。
●アプリ/ブラウザの不整合:マイナポータルアプリやブラウザを最新版に更新
●マイナンバーカードの読み取りエラー:ICカードリーダライタやスマホの状態を確認
●情報取得の希望登録をしていない:事前準備で「e-Taxからの情報取得を希望する」を選択しているか確認
■共有名義の場合はどうなる?
夫婦などで住宅を共有名義で購入し、それぞれが住宅ローン控除の適用を受ける場合、各々が個別に申告する必要があります。金融機関から提供される情報は原則としてローン契約者(債務者)ごとに提供されるため、夫婦ともに債務者であれば、それぞれが自身のマイナポータルから情報を取得できます。個別に確定申告書を作成し、自身の持分に応じた控除額を申請しましょう。e-Taxでの手続きでは、「住宅の共有持分」画面で、共有者の氏名・共有持ち分の入力が必要です。
■2年目以降の住宅ローン控除適用はどうなる?
2年目以降、給与所得者であれば勤務先の年末調整で住宅ローン控除が適用になるため、確定申告は不要です。電子交付された住宅借入金等特別控除証明書のデータと、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書のデータを勤務先に提出しましょう。(書面でも可)
自営業・個人事業主の場合は、2年目以降も毎年確定申告が必要です。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/SUGI-SUGU







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