2025年10月、佐川急便の営業所に勤めていた女性が、元同僚の男性から「ちゃん付け」や体型への言及といったセクハラを受けたとして550万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
東京地裁はこれらの行為を違法なハラスメントと認定し、男性に22万円の賠償を命じた。
SNSでは「セクハラ認定されるのは当然」といった声がある一方で、「ちゃん付けもアウトなのか」「窮屈な時代になった」と驚く意見も見られた。この件についてアディーレ法律事務所の島田弁護士に話を聞いた。
判決のポイントは「呼び方そのもの」ではなく総合判断
今回の判決は、「ちゃん付け」がセクハラとして認定されたことで大きな反響を呼んだ。しかし、島田弁護士によれば、呼称そのものが直ちにセクハラになるわけではない。
その場の状況や関係性、相手の反応などを含めた状況全体を踏まえて判断されるという。
「過去には、『ちゃん付け』に関する慰謝料請求が否定された裁判例もあります。セクハラの評価は、その時々の状況や周囲の環境によって変わります。
たとえば、他の社員を『さん付け』で呼ぶ一方、特定の女性だけを『ちゃん付け』で呼ぶ場合は、セクハラと判断されやすいですし、本人が嫌がっていると分かっていながら呼び続ける行為も、セクハラと認定されやすいでしょう」
今回のケースでは、「ちゃん付け」以外にも見た目や体型に関する言及があったとされており、これらの言動を総合的に評価してセクハラと認定されたと考えられる。
各メディアでは「ちゃん付け」ばかりが取り上げられているが、実際にはそれだけで損害賠償が認められた訳ではない点を押さえておく必要がある。
セクハラの3段階とは?
今回のケースをより正確に理解するには、まずセクハラという概念がどのように整理されているかを押さえておく必要がある。
島田弁護士によれば、セクハラは4つの段階に分類することができる。この整理は法律的な位置づけを理解するうえで分かりやすい枠組みだ。
「まず、セクハラとは相手の意に反する性的な言動で、それにより就労環境を害されるものという定義があります。その中にも大きく分けて次の3つの段階があります」
- 強制わいせつなど刑事罰の対象となり、民事の慰謝料も認められ、会社内での処分対象ともなる最も重いケース
- 性的な発言を繰り返すなど、民事で慰謝料が認められたり、会社内での処分対象ともなるケース
- 職場にヌードポスターを貼るなど、民事上の不法行為とまではいえないが、会社内での処分対象にはなる等、社会的責任が追及されるケース
こうした枠組みで見ると、今回の事案は②に位置づけられ、刑事事件ではないものの、民事上の責任が生じるレベルの行為だったことが分かる。ではその基準はどのようにして求められるのだろうか。
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