◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
報道によれば米国東部時間11月18日、午前の取引においてマイクロソフト約3.5%安となったほか、エヌビディア2.8%安、アマゾン約3.5%安と、いずれも下落。ナスダック総合指数も0.8%安となった。
このような流れを受け、AIバブル崩壊の兆候とする指摘も上がる中、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩 氏による分析リポートが届いたので、概要をお伝えする。
AIバブル崩壊の始まり?
米国株式市場では、人工知能(AI)相場の過熱に対する懸念が強いなか、複数の米金融当局者が利下げに慎重な姿勢を示したことも嫌気され、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数など、主要株価指数の調整色が強まっている。
AI相場はバブルだという見方も浮上しており、足元の調整はバブル崩壊の始まりではないかとの声も一部で聞かれるため、以下、改めてAI相場とAI関連銘柄の動向について考えてみたい。
例えば、文章や画像を生み出す生成AIビジネスは、先端半導体による高性能計算を基盤として、巨大な計算需要を支えるデータセンターと、柔軟な運用を可能にするクラウドサービスが三位一体で成長を支えている。
これらが連動していくことで、生成AI市場とビジネスの規模拡大が加速。関連する企業の業績向上と株価の上昇によってAI相場が形成される。
■AI関連銘柄の株価は一部に割高感があるとの指摘も、総じて良好な業績の見通しを伴っている
具体的な関連企業としては、AIを開発する米OpenAI(オープンAI)、先端半導体の開発・研究・販売を手掛けるエヌビディア、クラウドサービスを提供するアマゾン、マイクロソフト、グーグルの親会社であるアルファベットなどがある。
米国の大手ハイテク企業は、AI事業への巨額投資を加速させており、投資した資金を回収できるか疑問視する向きもみられる。

図表1は2023年1月と直近におけるEPSとPERの数字を比較したものだが、PERが大きく上昇している銘柄が目立つ一方、EPSも大きく伸びていることがわかる。
AI関連銘柄の株価水準については、一部割高感も指摘されているが、総じて良好な業績の見通しを伴った株高と考えられる。

■AI相場はバブルではなく、AI関連銘柄の株価調整は株高の過熱感を適度に和らげる健全な動き
そのため、AI関連銘柄が主導するAI相場は、業績が伴わない実態の乏しい企業の株価に投資マネーが殺到するような、バブル的な相場とは異なるように思われる。
ただ、AI関連銘柄の人気は非常に高く、エヌビディアなど時価総額の大きいハイテク7銘柄の時価総額は、10月末時点でS&P500種株価指数の時価総額の36%を超えており(図表2)、これら7銘柄が調整すれば、市場全体に影響が及ぶ恐れがあるため、この点には注意が必要だ。

なお、AIビジネスは今後も裾野が大きく広がる見通しで、データセンターでは電力・水・冷却設備・電線など物理インフラ需要が急増しており、AIがロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」にも注目が集まるなど、成長余地は極めて大きいと考えられる。
つまり足元でみられるAI関連銘柄の株価調整は、AIの将来性を否定するものではなく、株高の過熱感を適度に和らげる、むしろ健全な動きと判断できる。
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
構成/清水眞希







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