おみくじの起源は古代中国にあり、平安時代に日本に伝えられたといわれています。おみくじの順位は『大吉>吉>中吉>小吉>末吉>凶』が一般的に知られていますが、神社によって異なります。
目次
大吉や凶は知っていても、その他の順位がよく分からないという人は珍しくありません。まずは、一般的な順位とそれぞれの意味について見ていきましょう。また、おみくじに示されている項目や内容についても紹介します。
おみくじの順位や意味
■一般的なおみくじの順位
一般的なおみくじの順位としては、『大吉>吉>中吉>小吉>末吉>凶』が広く知られています。しかし、実はこの順位は神社によって異なります。
特に吉・小吉・末吉の順番については解釈が分かれており、順位が異なる場合も珍しくありません。どちらが正しいというわけではなく、各神社の伝統や考え方によって定められています。
また、おみくじの結果が6種類ではなく、7種類・9種類などのケースもあるでしょう。例えば、東京の日枝神社は12種類、京都の伏見稲荷大社は17種類と細分化されています。
■それぞれの意味
『大吉』は現状が良好であることを表しており、現状維持の努力が大切です。『吉』は安定した良い運勢を意味し、当面は安心して過ごせる状態です。
『中吉』は悪くはないものの吉より弱い運勢で、さらなる向上が期待できます。『小吉』はささやかな幸せが続く状態を表し、『半吉』は半分が良い状態で残り半分に注意が必要です。
『末吉』は現状はやや良くないものの、将来的に運勢が好転する兆しがあることを示します。『凶』は一般的に悪い運勢を示し、注意や用心が必要とされます。
■おみくじの主な項目や内容
神社でのおみくじには和歌、お寺では漢詩が多く見られます。これらの詩歌こそ、御神仏からの大切なメッセージが込められた本質的な部分といわれています。
おみくじのメッセージを読み解く際は、まず和歌・漢詩を読み、心に響いたキーワードを見つけて、自分へのメッセージとして解釈することが大切です。
また、特定の分野における運勢を示す項目も記載されており、代表的なものには恋愛・学問・商売・健康・住居・旅立ちなどがあります。待ち人の項目は、恋愛に限らず重要な出会いについて示唆しています。
おみくじの由来と歴史

おみくじは、日本人にとってなじみ深い文化ですが、その起源や歴史的背景についてはあまり知られていません。ここでは、おみくじの由来と変遷について紹介します。
■起源は古代中国
おみくじの起源は、古代中国にさかのぼります。中国では古くから占いが盛んで、竹や木の札に文字を記し、神意を占う方法が存在していました。
この占いの手法が日本に伝わったのは、平安時代とされています。『円仁(慈覚大師)』が唐から比叡山へ持ち帰り、その後『良源(元三大師・慈恵大師)』が観音菩薩に祈念して百番の漢詩をまとめ、現在見られるおみくじの形式へと発展させたと伝えられています。
当時のおみくじには1番から100番までの籤(くじ)があり、それぞれに五言四句の漢詩が記されていました。これらの漢詩の意味によって、その人の運勢や吉凶が判断されていたのです。
■江戸時代に庶民に広まり定着
おみくじは、平安時代には貴族の間で用いられていましたが、広く一般庶民に普及したのは江戸時代以降とされています。
江戸時代におけるおみくじの普及には、天台宗の高僧・天海大僧正の影響が大きかったと伝えられています。天海は徳川家康・秀忠・家光の三代将軍に仕え、上野寛永寺の創建や宗教政策に関与したことで、おみくじの信仰を江戸に広める一因となりました。
江戸幕府成立後、都市の発展や人口増加に伴い、全国各地に寺社が次々と建てられていきます。それにより、寺社は参詣客の信仰を集めるための手段としておみくじを採用し、庶民にも広く利用されるようになったといわれています。
おみくじの引き方とマナー

おみくじの引き方には、神社やお寺で尊重されてきた伝統的な作法とマナーがあります。ここでは、基本的なマナーについて見ていきましょう。
■正しいおみくじの引き方
重要なポイントは、参拝を済ませてからおみくじを引くということです。おみくじは、御神仏からのメッセージと考えられているため、まずはあいさつをしてから頂くのがマナーです。
参拝の際には、手水舎で手と口を清め、二礼二拍手一礼の作法で神様に敬意を表します。お寺の場合は、山門で一礼してから入り、常香炉があれば煙を浴び身を清めましょう。
おみくじは、単に吉凶を判断するためではなく、これからの生活の指針とするものです。内容をよく読み、自分の状況と照らし合わせて考えることが大切です。
■引いたおみくじは結ぶか持ち帰る
おみくじを引いた後の扱い方には、大きく分けて『結ぶ』か『持ち帰る』の二つの選択肢があります。
境内に結ぶ場合は、専用の『おみくじ掛け』や『おみくじ結び処』を利用しましょう。これは神仏との縁を結ぶという意味があり、特に凶のおみくじは結んで運気を境内にとどめる『凶返し』の意味合いもあります。
持ち帰る場合は、財布やバッグなど身近な場所で大切に保管します。おみくじには、御神仏からのアドバイスが記されているため、粗末に扱わないように注意しましょう。
保管した古いおみくじは、1年を目安に神社・お寺に返納するか、小正月の『どんど焼き』でたき上げてもらうのが推奨されます。どうしても難しい場合は、塩で清めてから燃えるごみとして処分するとよいでしょう。
■基本的に引き直しはしない
おみくじで凶を引いたときは、もう一度引きたい気持ちになるかもしれませんが、引き直しは基本的に推奨されていません。御神仏からの、そのときの自分に必要なメッセージだと考えられているためです。
凶という結果を、警告・気付きのメッセージとして受け止め、日常生活での行動に注意を払うきっかけにするとよいでしょう。そうすることで、実際の災いを避けることができるとも考えられています。
どうしても気になる場合は、その日のうちに何度も引き直すのではなく、日を改めて別の神社・お寺でおみくじを引くという方法があります。
有名神社のおみくじの特徴と魅力

日本各地の神社仏閣には、それぞれ特色あるおみくじがあります。古来からの伝統を守るものから独自の解釈を加えたものまで、おみくじの順位や特徴は実に多様です。最後に、日本を代表する有名神社のおみくじの特徴と魅力を紹介します。
■浅草寺・川崎大師
長い歴史を持つ浅草寺のおみくじは、凶が出る確率が約30%と高いことで知られています。これは、平安時代から伝わる『観音百箋(かんのんひゃくせん)』という伝統的な方式を厳守しているためです。一般的なおみくじが吉を多めに調整しているのに対し、浅草寺では古来の順位体系を守り続けています。
また、神奈川県の川崎大師でも同様に、古来の仕様を守ったおみくじを提供しています。『厄よけのお大師さま』として知られる川崎大師は、元三大師が残したおみくじに倣って作られた『元三大師百籤帳(がんざんだいしひゃくせんちょう)』を用い、凶が出る確率が比較的高いのが特徴です。
■鶴岡八幡宮・熱田神宮
鶴岡八幡宮には、かわいいハトのお守りが入った『鳩みくじ』があります。全部で7色あり、封の色と同じ色のハト守りがセットになっています。
また、鶴岡八幡宮のおみくじは、凶が出る確率が高いことでも有名です。凶・大凶を引いた場合は『凶みくじ納め箱』に納め、上にある『強運掴み矢』の金色部分を強く握ることで、凶運は強運に、大凶運は大強運にグレードアップするといわれています。
また、愛知県の熱田神宮では『大吉>吉>中吉>小吉>半吉>末吉』が基本となっています。全国的に珍しい『半吉』が含まれていることと、凶が含まれていないのが特徴です。
おみくじはマナーを守り楽しもう

おみくじの起源は古代中国にあり、日本には平安時代に伝わって江戸時代に庶民に定着しました。おみくじには大吉から凶までの一般的な順位があり、神社によって体系が異なります。
おみくじは参拝後に引き、結果は神社の指定場所に結ぶか大切に持ち帰りましょう。凶を引いても引き直しはせず、御神仏からのメッセージとして受け取ることが推奨されています。
多くの神社・お寺では手軽におみくじを引けるので、マナーを守りつつ楽しみましょう。
構成/編集部







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