個人や数人のチームで、クラウド上でアプリを開発・運営する「マイクロSaaS※」が、ソフトウェア提供の新形態だと注目を集める。ITアーキテクチャに造詣が深い野村総合研究所の深沢直輝氏が解説する。
ソフトウェアを『所有』せず、『利用』する。さらにその先へ
「マイクロSaaSには明確な定義がなく、『特定のニッチな課題を解決する小規模なSaaS』とするのが一般的です。AIやノーコードツールの進化で開発ハードルが下がり、非エンジニアでもアイデアを形にしやすくなりました」(深沢さん)
かつてソフトウェアは、全ての機能が1つの巨大な塊で、利用の柔軟度が低くコストが高かった。
「クラウド技術とともにSaaSへと移行し、ソフトウェアを『所有』せず『利用』する形に変わりました。その進化は、さらに次の段階へ進んでいます。巨大で多機能なSaaSから、本当に必要な機能だけを『部品』のように組み合わせて使う方向に向かっています」
この手軽さが個人の参入を促す一方、企業利用にはリスクもある。
「個人が作った小規模なサービスに企業の機密情報を入力する際は十分なセキュリティ対策が必要。外販ビジネスとして成長するための課題といえます」

Microsoft 365やZoomなどの高機能なSaaSと異なり機能はシンプルで、かゆいところに手が届く。

技術進化とともにソフトウェアが、柔軟かつ効率的な「部品」に進化し、安価で手軽に必要な機能だけを使える。
様々なマイクロSaaSを積み木のごとく組み上げ、誰もがアイデアを即座に形にする社会で、個人が週末に作ったアプリを新たな収入源にする「ギグ開発者」的な働き方が台頭するかもしれない。
※SaaS=Software as a Serviceの略称。インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービスのこと。
取材・文/久我吉史 編集/千葉康永







DIME MAGAZINE











