秋も深まり、ランニングシーズンが本格化してきた。きついランニングをこなしたあとに訪れるランナーズハイをはじめ、走ることが幸福につながるという実感をもっているランナーも多いと思う。
ランニング専門メディア「月刊ランナーズ」、ランニングプラットフォーム「RUNNET」を運営するアールビーズは、12月1日で創立50周年を迎える。
その記念プロジェクト第一弾として、ランニングプラットフォーム「RUNNET」ユーザーを中心とする全国のランナー12,142人を対象に「ランニングと幸福度」に関する意識調査を実施した。
ランニングで幸福度が上がった理由フィジカル面に加え、「自己肯定感向上」「人との繋がり」などメンタル面が柱に
まず、ランニングをはじめたきっかけを聞いたところ、「マラソン大会や駅伝などイベント参加が決まって」と「体重の増加」がTOP2となった。続いて、普段誰と走ることが多いか聞いたところ、「一人で走る」がダントツでトップに。
幸福度が上がった理由については、身体の健康への好影響が幸福度の基盤である一方で、「ストレス解消・気分転換になる」(63.7%)や「気持ちが前向きになった/自己肯定感が上がった」(42.7%)など、ランニングのメンタルヘルスにもたらすポジティブな影響が強く示された。
また、「ランニング仲間・友人ができた/交流が増えた」(38.4%)と「家族・同僚と一緒に楽しめる時間が増えた」(11.4%)などといった、コミュニティ促進も幸福度の重要な源泉となっていることが明らかに。
■メンタルに関するフリー回答
・メンタルが強くなった,自己肯定感を感じるようになった(60代・男性)
・それまで何をやっても自信がなく自己肯定感も低かったが、マラソン大会に出場し次々と自己最高記録を更新すると、自分に自信がつきポジティブ思考になった(50代・女性)
・自己肯定感が低い方だったが、ランニングを始めて自分に自信がついて年を取るのが怖くなくなった。(40代・女性)
・職場で走る仲間が増えていき、コミュニケーショの頻度が上がった。フルマラソンを走り切ったことを褒めてくれる人が多く自己肯定感が上がる。(20代・男性)
・大好きな人と一緒に走れる幸福感や、大会での沿道の声援で自己肯定感が増したり、メンタルな幸福感が大きい。(50代・男性)
・走ることで、メンタルと体が整う。自己肯定感が上がり仕事プライベートでのモチベーションがあがる。(30代・男性)
・体力づくり。それが一番の目的だったがいざ始めてみると、自己肯定感のほうに大きな変化があったように思う。(40代・女性)
■コミュニティ(人との繋がり)に関するフリー回答
・夫婦で共通の友達が出来、楽しい時間を過ごす時が増えた(40代・女性)
・何よりも友達が増えたこと。しかも、老若男女、これまで交流することのなかった年齢や職業の人たちと利害関係なしに『走る』という共通点だけで繋がりを持てていることが、ランニングを初めていちばんよかったと思うことです。(40代・女性)
・大人になってから友達や仲間が増えた(40代・男性)
・口下手なのですが、ランニングを初めて、友達や家族と共通の話題として会話が増えました。(30代・男性)
・(ランニングは)生きがい。友達と旅ランに行く楽しみがある。(50代・女性)
・全国に友達が出来つつあります。スタート前の暇な時間に周りの人と話しているととても楽しいです。同じ趣味を持っているから、誰とでもお話しできて楽しめます。(60代・男性)
・仕事以外のお友達がたくさんできました。特にSNSを通じ、繋がり、リアルで会い、走る仲間が増えました。(40代・男性)
どの年齢層でも女性の方が幸福度の向上を実感した割合が高い傾向
ランニングによる幸福度の変化を尋ねたところ、全体の94.6%(「大いに」57.3%、「やや」37.3%)が「上がった」と回答した。男女別でみると男性と比較して、どの年代別においても女性の方が幸福度の向上を実感したという割合が高いことが判明。
フリー回答から、その理由を推察すると、女性はランニングをすることで、子育てや家事から解放されて、自分一人の時間を楽しんでいる人や、ランニングの継続やフルマラソンの完走で自己肯定感の高まりを感じている人が多いようだ。
<フリー回答(女性)>
・自由時間!妻でも母でもなく会社での◯◯さんでもなく、学校の◯◯ちゃんのママでもないワタシの時間。(40代・女性)
・趣味特技がなかった自分にとって自己肯定感が上がる要因になりました。(20代・女性)
・ランニングによって自己肯定感を高め、また友人との輪が広がり交流もさかんになった。子育てが終わりに近づくにつれ、セカンドライフを考えるきっかけになった(40代・女性)
・どんなに辛くても、前を向いて進めば必ずゴールが見えてくる。生きている喜びを感じる。(30代・女性)
・子育てが一段落して、下の子が小学校にあがって、走る時間が取れるようになった初日は幸せを感じ涙を出しながら走りました。(50代・女性)
・コンプレックスの克服(他のスポーツが全く出来ない)と、仕事、家庭からの解放、心が前向きになることで他の楽しみも増えるし、人生に欠かせない物です。(60代・女性)
・ただの主婦でも やれば出きる だんだん早くなって自信が着きました(60代・女性)
・自分だけの時間が使える。家族のことに振り回されず、自分のための時間。(40代・女性)
今後のランニングの楽しみ方(複数回答)については、「健康維持」(58.7%)、「自己ベスト更新」(51.4%)といった志向に加え、旅行や観光と組み合わせてランニングや大会に出場する「旅ラン」が4割以上、仲間や家族と一緒に走る機会を増やしたいも約2割と、新たな楽しみ方への関心も高く示された。
調査概要
調査期間:2025年9月16日~2025年9月18日
調査対象:RUNNET会員 1か月に1回以上走ると回答した方 20代~80代
調査方法:インターネット調査
有効回答数:12,142名
京都大学 人と社会の未来研究院 教授 内田 由紀子 先生に聞く、ランニングで幸福度がアップする理由
今回の調査結果に関して、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)など文化心理学が専門で中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の委員も務める内田由紀子・京都大学教授に聞いた。
「走ることは、身体の変化を自分自身で実感しやすく、努力に対してどれだけ向上できたかというフィードバックを実感しやすい活動です。
また、自然の空気を感じ、季節の移ろいに気づくことで、日常の中に小さな発見が生まれます。さらに大会などを通して、他者から純粋に応援される機会が増えることも大きな魅力です。
こうした自己・自然・他者との「つながり」が豊かになることを通して、幸福の実感がうまれるのではないでしょうか。」







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