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七草がゆはいつ食べるもの?正月明けに食べる本当の理由

2025.12.13

『七草がゆ』は、中国の『人日の節句』と日本の『若菜摘み』の風習が組み合わさって続いてきた伝統行事です。毎年1月7日の朝に春の七草を入れたおかゆを食べ、無病息災を願います。

年始の忙しさで忘れがちですが、『七草がゆ』は新年の大切な伝統行事の一つです。まずは、いつ食べるものなのか確認していきましょう。

七草がゆはいつ食べる?

■毎年1月7日の朝食に食べるのが基本

七草がゆは毎年1月7日の朝に、春の七草を入れたおかゆを食べる伝統行事です。昔の人たちは前日の1月6日に七草を摘みに行き、神様に供えてから7日の朝に調理していました。

忙しい日々の中では、朝に準備して食べるのが難しいこともあるでしょう。そのような場合は、昼食や夕食でも問題ありません。

また、近年はスーパーやコンビニで七草セットが販売されています。必ずしも手作りする必要はなく、手軽に作れるセットを購入して楽しむことも可能です。

七草がゆの由来と歴史的背景

七草がゆ
(出典) pixta.jp

七草がゆの歴史は古いですが、その由来や広まった背景など、歴史を知らない人も多いのではないでしょうか。奥深い歴史を知ることで、大切な伝統行事をより深く楽しむことができるでしょう。

■起源は中国の「人日の節句」

七草がゆの起源は、中国の『人日(じんじつ)の節句』にさかのぼります。この『人日』という名称には、『人の日』という意味があります。

当時の中国では、元日から7日間をそれぞれ鶏・犬・猪・羊・牛・馬・人の日と定め、それぞれの出来事から新年の運勢を占っていました。

唐の時代になると、人日には『七種菜羹(ななしゅさいのかん)』という、7種類の若菜を入れた汁物を食べる習慣が生まれたとされています。

■日本の「若菜摘み」の風習と融合して定着

奈良時代に中国から伝わった『七種菜羹』は、日本古来の風習『若菜摘み』と融合して独自に発展しました。日本では古くから、早春に芽吹く若草の力を取り入れて邪気を払い、無病息災を祈る『若菜摘み』が行われていたとされています。

また、7種類の穀物でおかゆを作る『七種がゆ』の風習も存在しており、これらが合わさることで、菜を入れた七草がゆへと変化しました。

中国では汁物だった七種菜羹が、日本では若菜入りのおかゆとして定着し、江戸時代に幕府が人日の節句を『五節句』の一つに定めたことで、庶民の間にも広まったそうです。

七草がゆを食べる理由

七草がゆ
(出典) pixta.jp

七草がゆを食べることには、主に二つの大きな理由があります。以下で、どのような理由があるのか詳しく見ていきましょう。

■無病息災を願う新年の行事

七草がゆは中国の人日節句の影響を受け、日本古来の若菜摘み行事と融合し、平安時代に始まった風習です。いずれも新年の大切な行事として、古くから無病息災を願う意味を持ち、現在まで引き継がれています。

なお、人日の節句は季節の節目を祝う五節句の一つで、他に上巳・端午・七夕・重陽があります。それぞれ無病息災・子孫繁栄などの願いが込められ、決められた飾りを飾ったり、行事食を食べたりして祝う習慣です。

七草がゆもこうした節句文化の中で、春の若草の生命力を取り入れ、一年の健康を祈る行事として定着しました。

■胃腸を休める

七草がゆを食べるもう一つの理由は、正月料理で疲れた胃腸をいたわることです。

おせち料理などの濃い味付けや脂っこいものを食べ続けると、消化器官に負担がかかります。そこで消化の負担が少ない七草がゆを食べることで、弱った胃腸を休ませようという考えが生まれました。

さらに、冬場に不足する青菜の栄養も補えるため、健康面でも理にかなっています。こうした実用的な効果から、七草がゆの風習は現代まで受け継がれ、正月明けの体をいたわる知恵として受け継がれているのです。

七草の種類と意味

七草がゆ
(出典) pixta.jp

七草には、どのような野菜・野草が含まれているのでしょうか。ここでは、七草の種類や特徴、それぞれに込められた意味などについて紹介します。

■春の七草の種類

七草がゆに使われるのは、春の七草と呼ばれる7種類の野菜や野草です。

  • せり (芹)
  • なずな(薺)
  • ごぎょう (御形)
  • はこべら(繁縷)
  • ほとけのざ (仏の座)
  • すずな(鈴菜)
  • すずしろ (蘿蔔)

『せり』は、独特の香りやシャキシャキとした食感です。『なずな』はペンペン草とも呼ばれ、道端にも自生しています。『ごぎょう』は白い綿毛で覆われており、味はあまりしません。

『はこべら』は道端に多く、 『ほとけのざ』は田畑でも見られます。『すずな』はかぶの一種で、『すずしろ』は大根のことです。

■七草に込められた意味や効能

七草がゆに使われる七草には、健康を支える効能と縁起の良い意味の両方が込められています。

  • せり:『競り勝つ』の意味を持ち、胃を丈夫にして食欲増進が期待できる
  • なずな:解毒・利尿・止血作用があるとされ、胃腸の調子を整えてむくみを緩和するといわれている
  • ごぎょう:咳や喉の痛みを和らげる効果があるとされる
  • はこべら:『繁栄がはびこる』という縁起の良さがあり、腹痛の薬草として用いられてきた
  • ほとけのざ:胃の健康を促すといわれている
  • すずな:胃腸を整えて消化を助けるとされる
  • すずしろ:美容効果や風邪予防に役立つといわれている

それぞれの草が持つ効能を知ることで、七草がゆをより意味深く味わえるでしょう。

地域によって異なる七草がゆの食べ方

七草がゆ
(出典) pixta.jp

七草がゆは、その土地の気候・食文化に合わせた独自のアレンジが施され、必ずしもおかゆの形ではない場合もあります。最後に、具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。

■けの汁・納豆汁

青森県や岩手県などでは、『けの汁』と呼ばれる料理が親しまれています。昆布だしをベースに、大根・人参・ごぼう・わらびなどの野菜を細かく刻んで煮込んだ汁物で、『かゆの汁』が訛って『けの汁』になったといわれています。

山形県では、『納豆汁』を食べることが珍しくありません。すりつぶした納豆に、人参・ごぼう・油揚げ・こんにゃく・芋がらなどの具材をたっぷり入れた、具だくさんの一品です。

自家製納豆を丁寧にすりおろして作るとろみのある汁は、冷めにくく体が温まるといわれています。冬の厳しい寒さで、七草を摘むことができない東北地方ならではの風習といえるでしょう。

■菜飯・七草雑炊

茨城県や千葉県の一部では、小松菜・高菜をご飯に混ぜた『菜飯』を炊く風習があります。お正月は、7日を過ぎるまで青菜を食べない風習が残る茨城県の一部では、7日になって初めて菜飯を味わいます。

また、栃木県の一部では1月15日まで、おかゆを炊くことが禁忌とされている地域もあるようです。このため、青菜・油揚げ・しいたけ・かんぴょうなどを使った、『まぜめし』を食べるのが一般的です。

九州地方では、おかゆではなく雑炊仕立てで七草を食べる習慣があり、魚やみそを使うなど多様な調理法があります。

■おひたし・白和え

香川県では、大根・かぶ・ネギ・水菜など7種類の青菜を『おひたし』にして、そのままの風味を楽しむ地域もあります。

また、香川県の一部で継承されている、旧暦1月6日の夜に行われる神事も興味深いでしょう。米と神酒を神様に捧げ、ゆでたほうれん草を鍋蓋の裏に載せ、すりこ木の先を東へ向けて安置します。

この状態で一夜を過ごし、翌朝そのお供え米で炊いたご飯と、ほうれん草の白和えを食すという、神事と食事が一体となった伝統です。

その他、ゆでた七草を白みそ・ごま・砂糖で和えた甘めの『白和え』や、青菜と油揚げを使った『みそ和え』として食べる地域もあり、土地ごとに多様な七草の味わい方が受け継がれています。

七草がゆを食べて、無病息災を願おう

土鍋で作る七草がゆ
(出典) pixta.jp

七草がゆは、中国の『人日の節句』を起源とし、日本の『若菜摘み』と融合して定着した伝統行事です。無病息災を願うとともに、お正月で疲れた胃腸を休める意味があります。毎年1月7日の朝食に食べるのが基本ですが、忙しい場合は昼や夜でも構いません。

せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろという春の七草には、それぞれ意味や効能があります。また、けの汁・菜飯・おひたしなど、地域によってさまざまな食べ方があることも特徴です。

古くから親しまれてきた七草がゆを食べて、胃腸をいたわり、無病息災を願いましょう。

構成/編集部

Author
2年間のイギリス留学で培った英語力を活かして、外資系企業に勤務。国際結婚を機に渡米し、20年以上アメリカに在住。 現地の大手企業での勤務経験を経て、ライターとして活動を開始。 これまでに多岐にわたる分野で800本以上の記事を執筆。 得意分野はビジネス・教育・ライフスタイル系で、責任感を持ち丁寧な仕事を心掛けています。 現在は子育てにも奮闘中で、休暇で日本を訪れるのが楽しみの一つです。

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