温泉湧出量と源泉数が全国1位の別府には共同温泉が100カ所以上あるといわれている。
温度も泉質もさまざまで、地元の人たちからは“ジモ泉”と呼ばれて親しまれている。
今回も前編に続き、東京都市大学人間科学部の教授で温泉療法研究の第一人者である早坂信哉先生にインタビュー。星野リゾートの温泉旅館「界 別府」をはじめ、別府温泉の楽しみ方を教えていただく。
温泉がますます恋しくなる季節が到来。湯けむりを満喫する旅のプランを立てている人も多いのではないだろうか。 旅立つ前にぜひ知っておきたいのが、温泉・入浴の健康効果…
1泊2日で湯治体験を満喫する「界のうるはし現代湯治」
――早坂先生は星野リゾートの温泉旅館「界」ブランドが提供する、現代人のライフスタイルにフィットした本格的な湯治体験「界のうるはし現代湯治」を監修されていますね。
早坂先生 「界のうるはし現代湯治」は2017年から全国の「界」でスタートしました。以来、年々、内容を更新していっています。
――「うるはし現代湯治」では、館内のギャラリーや客室の「現代湯治ガイドブック」を通して、温泉の入浴法や呼吸法、湯上がり処でのくつろぎ方など、1泊2日の滞在で湯治体験を満喫するためのコツを知ることができます。また、各施設のスタッフが「界の湯守り」として、温泉の知識を伝える「温泉いろは」や「朝の現代湯治体操」といったアクティビティを提供。温泉効果を高める「湯守りのこだわりドリンク」や「界」の湯めぐりが楽しくなる「お湯印帳」など、ユニークなアイデアが満載です。
早坂先生 湯治効果を高めるための1泊2日の滞在スケジュール「現代湯治滞在プログラム」も私が監修しています。湯治というのは単に温泉に浸かるだけでなく、その温泉地ならではの食事や文化体験などを含めて、体調をととのえていくものです。全国の「界」の施設にはそれぞれ特徴があり、どこも1泊2日でその土地を感じてもらうような工夫が凝らされていて、これは他の温泉旅館では見られないコンセプトだと思います。
湯治ジャグバンドなど、「転地作用」を高める工夫も
――「界」には伝統工芸、芸能、食などを通してそれぞれの地域ならではの魅力を楽しめるアクティビティ「ご当地楽」が用意されています。例えば「界 別府」では、かつて別府の町では音楽が盛んだったという歴史にちなんで、法被をまとったスタッフが豊富な温泉と桶から生み出される音色を奏でる「湯治ジャグバンド」を楽しめます。また、別府の街中にある温泉の配管をモチーフにした空間「ラボ」で、温泉水を使ったミストを作りながら、別府温泉の泉質や入浴法を学べる体験もありますね。
早坂先生 宿の中にいながらにしてその土地の魅力を手軽に楽しめるのは、湯治にプラスの効果をもたらす工夫のひとつです。前編で温泉特有の作用として「転地作用」を挙げましたが、土地のゆかりのある動きを取り入れた「朝の現代湯治体操」や地元のおすすめコースを歩く「パワーウォーク」、それから国家資格者によるマッサージといった非日常の体験を通して、転地作用を高めることができます。
温泉から出るときに「上がり湯」は必要?
――早坂先生は温泉特有の作用として「温泉成分の吸収」も挙げていますが、「界 別府」の温泉の特徴を教えてください。
早坂先生 泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉」。マイルドで肌触りのよい優しい温泉です。食塩を含むのでよく温まり、湯冷めしにくいのが特徴。塩が含まれていると聞くと「べとべとするのでは?」と思うかもしれませんが、重曹の作用で湯上がりがべとつかず、すっきりします。
――誰もが心地よく楽しめそうな泉質ですね。温泉湧出量と源泉数が全国1位の別府には共同温泉が100カ所以上あるといわれ、単純温泉や硫黄泉など10種類に分類される泉質のうち、7種類が存在しているそうです。ここでひとつ質問なのですが、温泉で入浴したあとは「上がり湯」は必要ないのでしょうか。「肌に付着した温泉成分が身体に吸収されるので、洗い流さないほうがいい」と聞いたことがあるのですが。
早坂先生 「上がり湯」は泉質によってしたほうがいい場合と、しないほうがいい場合に分かれます。別府の“ジモ泉”の泉質は千差万別なので、「上がり湯」が必要なところもあります。泉質でいうと、「界 別府」のような単純温泉、塩化物泉、硫酸塩泉、炭酸水素塩泉は洗い流さなくても問題ないことが多いですね。ただし、酸性泉や“美肌の湯”と称されるアルカリ性の温泉は要注意。色やにおいがついていたり、ぬるぬるしたり、ピリピリしたりするお湯の場合は、入浴の最後に温泉成分を洗い流すことをおすすめします。
――なるほど。自分で判断がつかないときは、洗い流したほうがよさそうですね。
早坂先生 そのとおりです。
――“ジモ泉”に足を運んでみたいけれど、入浴のしきたりや持ち物などがよくわからず、なかなか最初の一歩を踏み出せないという声も耳にします。「界 別府」ではこの12月から“ジモ泉”の楽しみ方を学べるプラン「別府レトロ湯めぐり旅」(詳細は以下のコラムにて)が始まるので、そちらに参加するのもよさそうです。
早坂先生 “ジモ泉”には明治12年創設の名物砂湯「竹瓦温泉砂湯」や石菖(せきしょう)という薬草を敷き詰めた蒸し湯「鉄輪(かんなわ)むし湯」など、変わり種もあります。「界 別府」を拠点に楽しまれるといいと思いますよ。
“ジモ泉”を満喫する「別府レトロ湯めぐり旅」
「界 別府」では2025年12月1日から2026年11月30日の期間、「別府レトロ湯めぐり旅」プランを販売。“ジモ泉”には独特の文化や入浴方法が存在するため、まずはスタッフが地元の方に配慮しながら入浴する方法や、泉質ごとに異なる特徴をレクチャー。湯桶やタオルなどを揃えたオリジナルの「ジモ泉巡りセット」を片手に、いざ「ジモツアー」へ。外湯を堪能して「界 別府」に戻ってきたら、ジモビール(=別府のクラフトビール)やジモアイス(=大分県の臼杵煎餅を用いたアイス)でクールダウンを。料金は1名5,000円(税込み、宿泊費別)、1日5組10名限定、公式サイトで7日前までに要予約。
取材・文/志村香織 写真提供/界 別府







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