日本在住者にとって、東南アジア諸国は「身近な旅行先」である。シーズンによっては東京から九州、或いは沖縄へ行くよりも安くついてしまうことも。
日本人にとって最も人気の旅行先、タイ・バンコクの成田発の往復航空券は、最も安いものでちょうど3万円ほど。新幹線で東京駅~新大阪駅を指定席で往復するのと大差ない額だ。「これは安い!」と感じて航空券を衝動買いしてしまった経験は、筆者にもある。
が、この「3万円の航空券」とは経由便、それもかなり不便な時間帯の離発着だ。たとえば、夜の2時にバンコク到着という場合はその日の日中から予約を取っているホテルにチェックインすることができない。つまり、午前3時頃からその日の日中まで過ごせる別のホテルを手配しなければならないということだ。
であれば、結果として直行便航空券のほうが割安になるのではないか? 乗り継ぎ便と直行便、果たしてどちらがお得か。それを検証していこう、というのがこの記事の主旨である。
「バンコクまでの直行便往復5万円以内」は夢物語?
この記事を執筆しているのは、2025年11月14日である。
その日、筆者は衝動的にバンコクへ旅行したくなったと仮定しよう。とはいっても、今月はいろいろと仕事があるので、来月に出発する予定を立てる。期間は1週間ほど。筆者は静岡市在住だが、海外へ出る場合はいつも羽田か成田を利用する。というわけで、今回も東京~バンコクの往復ということで、Trip.comを使って航空券を検索してみる。
まずは直行便。いろいろ探した結果、12月4日成田発バンコク着・12月12日バンコク発成田着の航空券に突き当たった。航空会社はタイ・エアアジアX、価格は4万6,220円。ただし、これには預入荷物が含まれていない。
預入荷物なしで海外旅行する人は少数派のはずで、残念ながら預入荷物枠のある5万円以内の直行便航空券というのはなさそうだ。同じタイ・エアアジアXの便に預入荷物枠を加えた場合、価格は5万7,760円。
これを安いと解釈するか、はたまた割高と解釈するか。次は乗り継ぎ便を検索してみよう。
衝動買いは禁物だっ!!
しばらくサイトをいじってみて、ようやく見つけた最安値の乗り継ぎ便は12月8日から同月15日まで。ルートは先ほどと同じ成田~バンコク間だが、航空会社は中国東方航空、往路と復路の途中で昆明に着陸する。預入荷物枠23kg×2、価格は何と2万3,940円!
これは筆者が今まで見た中で、最も安い価格である。冒頭に「タイ・バンコクの成田発の往復航空券は、最も安いものでちょうど3万円ほど」と書いてしまったが、この部分は撤回させていただこう。衝動買いしてもいいくらいのお得航空券では……?
この航空券が、中国東方航空というレガシーキャリアのものである点にも注目するべきだ。LCCの機内食は別料金のオプションだが、レガシーキャリアは超短距離路線でない限り機内食がつく。旅行者にとってはありがたい限り。
しかし、ここは深呼吸して落ち着いてみよう。すると、こんな記載が目に飛び込んできた。
往路、復路共に昆明での「手荷物の受け取りと再度の預け入れが必要」とある。往路はこれで問題ない。なぜなら、バンコクまでのフライトまでに15時間以上もあるからだ。普通であれば、ここで中国に一時入国して空港近くのホテルで1泊することになるだろう。
問題は復路。何と、乗り継ぎまでの猶予が2時間10分しかない。にもかかわらず、昆明で荷物の受け取りと再びの預け入れが必要なのだ。要するに、一旦中国に入国しなければならないということか。これは大変だ!
デカい荷物を引きずって入国審査、そして再度のチェックインと荷物の預け入れ、出国手続きをしなければならないとしたら、さすがに2時間では無理だ。残念ながら、この航空券は「罠」か「地雷」と表現するしかないだろう。
てか、どういう了見でこんな組み合わせの航空券を組んだのか……。
「宝石」と「地雷」を見極める
ただし、日付を少しずらして再度検索してみると、こんな航空券もあった。
12月8日から同月16日、成田~バンコク間の中国東方航空で、往路は昆明、復路は上海を経由する。往路の昆明に関しては上の航空券と全く同じスケジュールだが、復路の上海の乗り継ぎ時間は4時間50分、そしてスルーバゲージ対応である! にもかかわらず、価格は上に記載の航空券と同様2万3,940円。
これなら上海で慌てる必要はないだろう。空港の免税店を少し散歩する余裕すらも出てくるはずだ。
このように、自力で航空券を探してみると「地雷」と「宝石」の両方を見かけることがよくある。が、注意しなければならないのはこの世界の「地雷」は見た目だけは「宝石」と変わらないという点だ。稀に見る巨大な「宝石」と思って衝動買いしてしまうと、それが一番肝心な時に爆発してしまう。
正直、これは海外旅行初心者には荷の重い作業ではないか。
スルーバゲージはロストバゲージの可能性もある点を考慮すると、直行便はそうした心配も殆どなく、徹頭徹尾安心した状態で旅行ができる。また、上述の5万7,760円の直行便航空券の「高さ」はあくまでも乗り継ぎ便のそれと比較した場合の見方であり、海外旅行のための移動手段と考えればむしろ安い価格設定である。1円でも安い乗り継ぎ便を探すより、最安値の直行便を選んだほうが消費する労力は確かに少ない。
こうしたことも鑑みて、自分に合った航空券を探してみよう。
文/澤田真一
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