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日本ではまだ認知率の低い「SRHR」とは何か?自分の意識を可視化できる性的同意チェックをやってみよう

2025.11.20

「SRHR」という言葉をご存知だろうか。

「Sexual and Reproductive Health and Rights(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスアンドライツ)」の頭文字をとった言葉で、「性と生殖に関する健康と権利」と訳される。

世界的にみて、日本はSRHRが十分に実現されていないのが現状であり、性別や性的指向への差別問題の原因の一つと考えられている。

今回は、日本でSRHRを推進する国際NGOプラン・インターナショナルがコンテンツ展開している「性的同意チェック」について、そしてSRHRが日本に広がることの効果について、一般社団法人SRHR Japan代表理事の医師に話を聞いた。

「SRHR」認知率は25%にとどまる

国際NGOプラン・インターナショナルが2025年7月30日からの「SRHR for JAPAN #一億人のためのSRHR」キャンペーン開始に先立ち、全国の15歳~64歳の男女10,000人を対象に実施したSRHRに関する国内最大規模の意識調査(※)の結果では、日本のSRHR認知率は25%となり、理解は9%にとどまった。

若年層ほど認知率・理解率が高く、認知経路はテレビ・インターネットが多いが、若い世代はSNSや学校教育が多くなっていた。性教育に関するカリキュラムが充実してきていることも背景にありそうだ。

そもそも「SRHR=性と生殖に関する健康と権利」とは何か。

かみくだくと、「一人ひとりが、自分の心と身体、そして人生や人間関係について、正しい情報にアクセスし、自分の意志で選び、決定できる権利のこと」だという。

●「性的同意」は意識が実践に結び付いていない

「性的同意」に関しては、約90%が大切だと回答。一方、学習経験がある人は18%で「毎回同意が取れている」と自信を持つ人は30%未満という結果となった。意識が実践に結びついていない実態がある。

「性的同意チェック」をやってみよう

ポスターによる問題掲出イメージ

同キャンペーンにおいては、特に「性的同意」に関する課題を受け、第一弾として性をめぐる同意を学ぶ「性的同意チェック」のコンテンツを発表した。

性的同意チェック

「むずかしい」と感じさせないよう、「チェックという形式で、誰もが気軽に参加でき、答えを模索しながら学んでいけるものを目指している」という。

チェックを通じて、性的同意が求められるシーンに直面した際に、適切に対応するための準備となる具体例を知ることができる。

そして、チェック後に表示される解説とともに、性的同意の相互的・継続的な理解を深めることができるようになっている。

性的同意チェックの活用方法

性的同意チェックを、パートナーや子どもがいる30~40代男女が行う場合に、どんな観点から活用できるだろうか?産婦人科医で、一般社団法人SRHR JAPAN代表理事、女性医療ネットワーク理事長の池田裕美枝氏に話を聞いた。

【取材協力】

池田 裕美枝氏
京都大学医学部卒業、医学博士。産婦人科専門医、内科認定医、社会医学系専門医
NPO法人女性医療ネットワーク理事長、一般社団法人SRHR Japan代表理事、医療法人心鹿会 海と空クリニック京都駅前院長

「家族の間柄であっても、“相手を自分とは異なる個人として尊重することができているかどうか”をパートナー同士で確認するのに役立ちます。

時に人は、パートナーや子どものことを自己と同一視します。例えば『私が良いと思うことは相手も良いと思うはず』など。また自分への評価を相手の目を通して行うこともあります。例えば『私は相手に役立たずだと思われているに違いないから、私は役立たずだ』など。

しかし家族であっても、自分と他者は違う人間。この事実を犯すと、相手を傷つけすぎたり、DVや虐待に発展することさえあります。自分が家族とのバウンダリー(自分と他者の境界線)を保てているか、時々確認したいものです」

SRHRは日常でどう活かせるか

ところで、SRHRは日本人にとってまだまだなじみの薄い概念だ。理解を深め、身につけることで、日常にどう活かしていけるだろうか。

「自分のからだは自分のもの、という感覚がSRHRの基盤になります。その感覚を培うには、まず自分の中に芽生える違和感を大切にすることです。

私たちは、ついつい、相手に期待される自分でいようとすることがあります。それは悪いことではありませんが、セックスするかしないか、避妊するかしないか、子どもを生むか産まないか、治療を受けるか受けないかといった、身体に関する選択について、自分自身を偽り続けるのはつらいものです。

自分はどうしたいのかを振り返って自分の心と身体に聞いてみてください。それがピンとこない方は、まず、自分の中に芽生える違和感を『ないものにしない』ことから始めましょう。自分が自分のNOを大切にしてこそ、人にNOを伝えることができるようになります。その延長線上に、私が望む私らしい人生、があるのではないでしょうか」

SRHRの意識が高まることによる効果

今後日本でSRHRの意識が高まっていくとするならば、どのような問題が改善し、どのような社会になっていくだろうか。

「概して人は、期待されることを頑張っているときより、好きでたまらないことをしているときのほうがパフォーマンスが上がります。

人口が減少する社会では、一人ひとりが最大限に人生を謳歌できてこそ、社会全体としてのパフォーマンスも上がるのではないでしょうか。

SRHRの意識が高まった社会とは、大切な人と大切な関係性を築くことを、社会がいつも応援してくれている社会だと思います。

日本では、自分自身や自分の個人的なパートナーシップよりも、社会的な全体調和を重んじる風土があります。それは良い面も多いのですが、SRHRの浸透により、私たちの対人関係や社会関係のバランスがより一層良くなり、より格差が縮小し、より納得のいく生き方を選べる人が増えるのではないかと考えています」

普段、あまり考えないSRHRのこと。性的同意チェックにトライしてみれば、意識の低さに気づくだろう。見過ごしていた問題が解決し、明るい未来が拓けるかもしれない。

※出典:調査レポート「SRHR white paper 2025」

取材・文/石原亜香利

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Web業界からライターに転身し独立。メディアのコラム記事執筆や、Webの知識を活かしたSEOライティングを通じ、IT、ビジネスからライフスタイル、グルメまでわかりやすく面白く役立つ情報を読者視点で伝えることを心がけている。

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