外貨で運用というと、銀行の定期預金を思い浮かべる人が多いかもしれないが、外貨の運用にはいろいろな方法がある。
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今回は、金融ライターがあまり知られていないMMFによる運用について紹介する。
MMFとは?
MMF(マネー・マーケット・ファンド)は、国債や高格付けの短期社債等で運用されている金融商品。MMFは円建てもあるが、今回は外貨建てについて紹介する。
MMFは、海外市場の休場がない限り、翌営業日にすぐに換金でき、受取は外貨または円貨を選択できる。
円からMMFを購入するとき、または売却時に円貨に換えるときは、為替手数料はかかるが、MMFの購入や売却自体には手数料がかからない。
金利は、短期債の運用により、その通貨の短期金利相当の金利となる。
利息は毎日付き(計算され)、月末に支払われ、20.315%の源泉徴収後、MMFに再投資される。そして、翌月は再投資後のMMFに対して、さらに利息が付くため、複利効果が高いというわけだ。
外貨建てMMFは、証券会社で購入可能で、通常は、外貨を使わない時に外貨のまま一時的に置いておく場所として使われている。
証券会社では、外貨のまま置いておくと、まったく利息が付かないため、外貨のまましばらく置いておくときはMMFを利用する。
例えば、「外貨建債券を購入して満期が到来したが、すぐに購入したい債券がない」時や、「満期金の外貨をプールしておきたい」時、「外国株式を売却して、とりあえず置いておく」時などが挙げられる。
MMFを売却時に、円貨に換えて為替差益が生じた場合、源泉徴収がある特定口座からの投資であれば、源泉徴収で課税関係が完了し、確定申告は不要である。
そして、MMFの為替差損益は、同じ特定口座内の株式や投資信託等の損益と損益通算ができる。
ただし、他の証券会社の特定口座と損益通算する場合には、確定申告が必要だ。損失を通算できないときは、確定申告すれば、その損失を以後3年間繰越控除することもできる。
一方、MMFは債券で運用されているため、株式投資信託を投資対象とするNISAで非課税で投資することはできない。
MMFのメリット・デメリットは?
MMFはいつでも換金できるのが魅力だが、メリット、デメリットを紹介する。
■メリット
・満期がないため、いつでも換金可能
・複利効果が高い。
・株式や投資信託等と特定口座内で損益通算可能。
MMFは、いつでも翌営業日に換金でき、換金性に優れている。満期がないため、いつ換金しても債券のように元本割れのリスクもほとんどない。
また、定期預金のような、途中換金時には普通預金の低い金利が適用されるというようなペナルティもない。なお、外貨預金によって、途中換金できないものもある。
そして、MMFは、毎月月末に利息が付与され、その利息を含めた元金でまた複利運用されるため、利息が利息を生む複利効果が高い。
また、税金については、特定口座源泉徴収あり口座なら、確定申告は不要だ。もし、損失が出た場合も、特定口座内の株式や投資信託の利益と損益通算できる。
確定申告すれば、MMFで出た為替損失を以後3年間繰越控除することも可能だ。
■デメリット
・種類が少ない
・金利が長期債券より低い。
・短期金利が低下すると、MMFの適用金利も低下
・NISAでの投資はできない
デメリットとしては、債券にあるようなインドルピー等の投資制限のある国の新興国通貨がなく、投資できる通貨は少ない。
MMFで投資できる通貨としては、大手証券会社では、米ドル、豪ドル、カナダドル、ポンド、ニュージーランドドルなどの先進国通貨、ネット証券では、米ドル、南アフリカランド、トルコリラなどが投資可能だ。
そして、長期の債券よりは金利は低くなり、短期金利が低下すると、それに応じてMMFの適用金利も下がってしまう。また、MMFは債券で運用されているため、株式投資信託を投資対象とするNISAでの投資はできない。
定期預金、債券との違い
MMFと似た金融商品に外貨定期預金や外貨建債券が挙げられる。
これらとMMFを比較してみると、MMFは換金性の高さが最も優れているといえる。外貨は為替が大きく変動し、その為替差損益は、金利よりも大きく損益を左右する。定期預金や債券のように満期に縛られないMMF、いつでも自分のタイミングで円に交換することができる。
一方、債券や定期預金は、投資時に満期までの利回りが確定し、今のような高い金利で投資すれば、満期までその高い金利で運用することができる。
MMFの場合、景気が悪くなり、金利が低下すると、MMFの適用金利も同じく低くなってしまう。米国がゼロ金利の金融政策をとっていたときは、ドル建MMFもほとんど利息が付かない状態となっていた。
また、インド、インドネシアルピア、ブラジルレアル、中国元のような、投資制限のある通貨にも投資できるのは、債券だ。
このような投資制限のある通貨建の債券は、満期では外貨受け取りができず、必ず円貨決済となるが、その通貨の高い金利で運用することができる。南アフリカランドやトルコリラは、MMFでも債券でも投資可能だ。
定期預金は、為替差益が出た場合、雑所得になり、雑所得の確定申告が必要になる。
なお、会社員の場合、この雑所得含めた給与所得(退職所得)以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要となる特例がある。
定期預金は、銀行のキャンペーンとして、外貨預金へ円貨から預けると、円の定期預金や外貨の定期預金に高い金利が適用されるというサービスがあり、魅力的である。ただし、1か月のみのように、高い金利が適用される期間が短くなっており、実際に受け取ることができる利息が少ない可能性もあるため、注意が必要だ。
MMFには、メリット・デメリットがあるが、換金がいつでもできて、かつ金利が高い点でも優れている。外貨は為替が大きく変動し、それは金利よりも大きく損益を左右してしまうため、円に換えるタイミングを逃さずに済むMMFは魅力的だ。
一方で、短期金利が下がれば、長期の債券に比べると金利は低くなってしまう。しばらく使わずに運用したいという資金は債券や定期預金が向いているだろう。
文/大堀貴子







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