全国各地でクマによる人身被害が相次いでいる。山間部だけでなく市街地での目撃情報も増えており「クマ」は社会課題となっている。
ところで、そんなクマも少ないながら食材として流通している。「そもそも熊肉って美味しいのだろうか?」
そんな素朴な疑問を確かめるべく、今回は北海道・新千歳空港で見つけた“熊肉の缶詰”を入手し、実際に食べてみた。この記事では、熊肉の味・香り・食べやすさを正直にレポートする。
意外と食べやすい熊肉の缶詰
一般的に、熊肉は脂が濃厚でコクがあり、また肉が硬く、しかし同時に強いクセや獣臭さがあると言われている。
ジビエの中でも好き嫌いが分かれやすい食材として知られ、調理には下処理や味付けの工夫が欠かせないとされる。
「クセの強い肉」というイメージを胸に、新千歳空港で購入した3種類の熊肉缶詰を実際に食べ比べてみた。



まず缶を開けた瞬間、一口大にカットされた肉が想像以上にぎっしり詰まっていたことに驚いた。缶詰にしては珍しいほど形がしっかり残っており、食べ応えがありそうな見た目をしている。
ひと口食べてみると、最初の印象は意外にも普通だ。
味噌をベースとした和風の味付けがしっかりしていて、一般的に語られるような獣臭さはほとんど感じない。味噌の香りとコクが熊肉のクセをうまく包み込んでいるのだろう。
ところが、食べ進めるうちに後味にほんのりと独特な風味が残ることに気付く。口の中に少し残る肉の香り。これが熊肉の特徴とされる野生味なのだろう。この後味は、食後数十分は残っていたので、苦手な人は気をつけてもらいたい。
一方で、食感は脂質が少なく非常に淡白で、柔らかく煮込まれているものの、赤身の締まりが強い。ビーフジャーキーをやや柔らかくしたような印象で、いわゆるジューシーな肉とは少し違う。よく言えば高タンパク感、悪くいえばパサパサ。
まとめると、強烈なクセがあるという熊肉の一般的なイメージとは違い、熊肉の缶詰は味噌の効果もありかなり食べやすい印象だった。驚くほど美味しいとまでは言わないものの、普通に食べられるレベルで、ジビエ初心者でも十分挑戦できる味わいだと思う。良くも悪くもお土産としての食べやすさを追求しているのだろう。
熊肉への注目は今後増加する?
今回、新千歳空港では見つけられなかったが、熊肉のお土産として「熊カレー」も有名だ。
実際に熊肉を食べてみた感想としては、熊肉とカレーの相性はいいだろうという想像もつく。
というのも、熊肉は脂の主張が強くないため、カレーのスパイスやコクとは相性が良さそうという点、そして、熊肉最大のクセである野生味のある後味が、スパイスによってちょうど良い具合に旨みに変わる可能性が高いからだ。鹿カレーや猪カレーのようにジビエはカレーとの相性がいい。熊肉も十分なポテンシャルがあるだろう。
余談ではあるが、過去に『週刊少年ジャンプ』で連載されていた料理漫画『食戟のソーマ』にて熊肉を扱ったエピソードでは、熊肉の臭みに対して香辛料(スパイス)でどのようにアプローチするかが描かれている。熊肉の味について気になっている方はぜひ参考にしてほしい。
また、北海道や秋田だけでなく都内にも熊肉を提供している飲食店は多い。熊鍋、煮込み、炭火焼きなど様々な調理法で熊肉は提供されている。熊肉は古くから日本で食べられてきた歴史もある。決して日本人にとって馴染みのない食材というわけではない。クマの駆除が増えれば今後、さらに熊肉への注目も集まることだろう。この機会にぜひ一度、熊肉にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
取材・文/峯亮佑
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