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【ヒャダインの温故知新アナリティクス】子役って愛らしいのに不安になるんだよな

2025.11.20

 今も昔も子役って必ず誰かがブレークしていますよね。今で言うと永尾柚乃ちゃん。2016年生まれですって、ひー。

愛くるしいルックスと大人びたコメントと確固たる演技力で大人気ですよね。2歳にして「いぬのおまわりさん」をピッチの狂いなくステージ上で歌いこなしたののちゃんこと村方乃々佳ちゃんも今や7歳。

私、彼女が3歳の時に共演したことがあったんですが、しっかり3歳児でグズって、撮影続行ができず椅子でお休みしていたのがとても微笑ましく、ちゃんと3歳やっていていいなぁと好感を持ったことを覚えています。

愛くるしい笑顔とジェンダーレスなビジュアルで大人気になった村山輝星ちゃんももう15歳ですって。ああやだ、人の子供ってほんとに成長が早い。

 さてさて。子役って、愛くるしいのに少し不安になるのは私だけでしょうか。

そもそも「労働」という子供とはかけ離れている作業をさせている時点で私の中で違和感は拭えません。

さらに、不特定多数の前で感じよくできる、というのも「特別なトレーニング」感を感じてしまいます。子供なんて、知らない人の前ではもじもじするのがデフォですからねえ。いやいや、子役という職業を否定したいわけではありません。

もちろんステージペアレンツが無理に子供にやらせているケースもあるでしょうが、子供たちが自発的に「お芝居やりたい!」という意志を持っていることのほうが多いでしょうし。夢を持った子供が夢をかなえるのを否定するだなんて、そんなそんな。

でも、その「夢をかなえる」ということは「大人の社会で成功する」と同義なわけで、それはすなわち子役の皆様の内側での「子供の社会の否定」につながらないだろうか、と不安になるわけです。

子役

 実際、子役だった方々のインタビューなどを見て、その苦労は計り知れないものだなと感じます。

『パパと呼ばないで』で「チー坊」役で天才子役と謳われた杉田かおるさんは13歳で借金300万、その後父親が実印を持ち出したりと波乱万丈の人生。海外で言えば、『ホーム・アローン』で愛くるしいキャラを演じたマコーレー・カルキンさん。

10歳で大ブレイクして何億円をも稼ぎ出す坊やになった挙げ句、両親が親権を巡って大バトル、DVまで受けて、本人も24歳の時ドラッグで逮捕されています。なんとアンバランスな人生なのだろうか。

「子役のイメージが抜けない」や「成長して顔が変わった(そりゃそうだろうが)」など、「子役は大成しない」と国内外で言われているようですが、いやはやこれまた令和。最近はそうでもないようですよ。

ええ、芦田愛菜さんの存在です。私は彼女が幼い頃から一人の視聴者として「あれ、この人、魂と入れ物が合ってないんじゃないかしらん」と思っていました。いや、スピっているわけではなくて。大人びている、とかじゃなくて、考え方がとても利発。

「子供」という入れ物に入っているだけのスゲエ人、という認識でいたのですが、それは間違いではなかったようです。ご存じの通りいまだに大活躍、CM女王でもあるし演技力にも磨きがかかっています。知的なコメントも秀逸で非の打ちどころがなさすぎです。

「マルモリで大人気だった芦田愛菜ちゃんでーす!」なんて紹介する人、いないでしょ。もちろん彼女のポテンシャルと努力の結晶がほとんどでしょうが、昔に比べて「芸能人を消費しない」という風潮はあるんではないでしょうか。

家や学校に芸能レポーターが付きまとわないし、盗撮してSNSにあげた奴のほうが炎上する。前述の「子供の社会」をちゃんと成立させながら、子役を成長させる世の中に近づいたのかなと少し思います。なので、今バンバン出てる永尾柚乃ちゃん、消費されすぎないように大人になってね!

ヒャダイン

ヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。

文/ヒャダイン 編集/石﨑寛明

※「ヒャダインの温故知新アナリティクス」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME12月号に掲載されたものです。

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