東京国際フォーラムで開催された「2025東京インターナショナルオーディオショウ」は、アナログとデジタルが融合する時代を象徴的するイベントとなった。各国の名門ブランドが最新モデルを披露し、音の質感、空間表現、デザインの全てにおいて深化が際立った。
真空管アンプの灯がともる一方、ハイエンドDACが描く静寂の世界も広がる。テーマは「再生の芸術」と「温もりの革新」。
音楽を“聴く”だけでなく、“体験する”ための新しい形が示された。
ソナス・ファベール「Amati Suprema」
ハイエンドスピーカーの潮流は、ユニット以外から余分な音を出さずに音場再生を追求することだ。これに真っ向から対抗して楽器的スピーカーを作り続けているのがイタリアの名門ソナス・ファベールだ。新フラッグシップ「Amati Suprema」は、まさに工芸品の域に達している。木と革、そして金属が織りなす造形美は、単なるスピーカーを超えて“楽器”そのもののようである。新開発の4.5ウェイ構成により、深く沈み込む低域と立体的な音場を両立。音楽の情感を極限まで引き出す再生能力に、長年のファンも息を呑んだ。
JBL「Summit Ama」
JBLは、ハイスピードで抜けのいい高域を約束するコンプレッションドライバーを使い続ける数少ないメーカーだ。同社の80年の歴史を記念して発売されるのがSummitシリーズである。圧倒的な存在感を放つ大型ホーンを搭載したブックシェルフ型「Summit Ama」は、ホーンサウンドの真髄を示すモデルだ。独自のD2ドライバーとHDIホーンの組み合わせが鋭く切り込む高域を再現、ダイナミックに鳴るウーハーとの組み合わせでクラシックからロックまで幅広く対応、“聴く喜び”を体感させてくれた。
PIEGA「Premium 301 Gen2 Excellence Ltd」
どこまでも爽やかで透明感のあるリボンツイーターが特徴、スイスのアルミ加工技術が息づくPIEGAの最新モデル「Premium 301 Gen2」はコンパクトながらも圧倒的な完成度を誇る。独自のリボンツイーターが描く高域の透明感、アルミキャビネットの剛性がもたらす静けさ。音の微粒子感と空気感の両立は小型モニターの理想形といえる。
DALI「KUPID」
デンマークのDALIが披露した「KUPID」は、フラッグシップKOREの思想を受け継ぐ新シリーズ。ウーハーにはペーパー&ウッドファイバーコーンと、新素材ドームに磁性流体を採用して、精緻でありながら温かみのあるサウンドを実現した。デザイン面でも北欧らしいミニマルな美しさを追求。DALIの“音楽愛”が凝縮されたスピーカーだ。
QUAD「QUAD33」「QUAD303」
英国の伝統ブランドQUADは、プリ・パワー構成の33プリと303パワーが57年ぶりに復刻された。デザインは、ほぼ当時のままで入出力端子はRCAとXLRに変更され、一般的なオーディオ機器との互換性が向上している。バス、チルト、バランスコントロールも音質を損なわない仕組みで搭載され、ボリュームはアルプス製のモーターライズモデルを搭載、リモコンにも対応。パワーアンプはシンメトリカル・トリプル出力段を新採用した。創業以来の理念「The closest approach to the original sound」を現代技術で再解釈し、音楽の自然な流れと立体感を見事に再現。クラシックファンには特に刺さるブースであった。







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