80年代、すでに自動車専門誌の編集に携わり、その後、デートマニュアルを得意とする男性誌「HOTDOG PRESS」でクルマ記事を担当していたボクにとって、公私ともに思い出深いクルマが2代目ホンダ・プレリュードだった。
そう、運転席側から助手席をパタンと倒せる助手席リクライニングノブが付いていた「デートカー」というキーワードを生み出した元祖デートカーのプレリュードである。そのホンダ・プレリュードは2001年、5代目をもって終売。いったん、プレリュードの歴史は途絶えたのだった。
約40年ぶりのドライブデートを敢行!
それから約24年経った2025年秋、ついにホンダ・プレリュードがスポーティHVクーペとして復活。移動の楽しさを追求し続け、持続可能な次世代FUNを提供する、グライダーをコンセプトとした待望の新型である。すでに@DIMEでは新型プレリュードの概要について紹介しているが、ここでは2代目プレリュードでデートドライブを楽しんだ経験もあるボクにとって、約40年ぶりのドライブデートを敢行。
2代目プレリュード(1982-1987年)がデートカーとして一世風靡したころに付き合い始め、1980年代に結婚したカミサンとともに、初冬の軽井沢を目指したのである。何故、軽井沢かと言えば、カミサンと付き合い初めた頃、初めてお泊りデートドライブをしたのが、今でも結婚記念日に毎年訪れている軽井沢だったからである。
滑走するグライダーをイメージしたという、贅沢にもFF最高峰と言っていいシビックtype-Rのスポーツシャシーを用いた新型プレリュードは、先代までのクーペスタイルから一気に流麗なスポーツカールックに変貌。
ボディサイズは全長4520×全幅1880×全高1355mm。ホイールベース2605mm。つまり、シビックtype-Rのホイールベースを短縮したワイド&ローのプロポーションを纏っている。
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2+2のインテリアもまた、グライダーをモチーフにしたグライディングコクピット仕立てであり、低くセットされた本革×プライムスムース表皮の前席は運転席と助手席で別仕立のパーソナルシートとなっているのが特徴だ。
具体的には、運転席はホールド重視でシートサイドの張り出しが高く、一方、助手席は乗降性やリラックスした着座姿勢に配慮した、シートサイドの張り出しが低めのシートとなっているのである。
パワーユニットはシビックやZR-Vのe:HEVモデルなどでおなじみのSPORTS e:HEV 2.0L直噴エンジン、141ps、18.6kg-mとモーター184ps、32.1kg-mの組み合わせと、控えめなパワーパッケージながら、シビックtype-R譲りかつプレリュード専用にセッティングされた前後サスペンション、専用パワーステアリング、ZF製電子制御連続可変ダンパー、ブレンボ製ブレーキキャリパー、プレリュード専用235/40R19タイヤ(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)、そしてブレーキング時まで作動するアジャイルハンドリングシステム(回頭性や安定性を高めるシステム)などまでが贅沢にも奢られているから中身は本格だ。
そして何と言っても仮想8段変速のような回転数の変化とダイレクトなレスポンスが心地よい変速フィールをもたらし、さらにドライバーとクルマがシンクロする操る喜びを体感するためのスピーカーで増幅されたエンジン音がドライバーの爽快感、高揚感を高めてくれるアクティブサウンドコントロールシステムを備える「Honda S+ Shift」を搭載。
それこそ、SPORTS e:HEVの控えめなスペックを増幅させる、”ドライバー操作とクルマの応答がシンクロし、五感で感じる意のままの走りを最大化”する新型プレリュードの最大のハイライトと言っていいだろう。ドライブモードはCONFORT、GT(いわゆるノーマル)、SPORTの3モードで、それにS+ Shiftを組み合わせることで6種類の走行モードが選べるほか、パドル操作による、グライダーの滑走のようなコースティング制御(Nレンジで走っているような感覚)をホンダ車として初採用している。なお、「Honda S+ Shift」はACC使用時には作動しない。
さて、今回の軽井沢は2泊3日の滞在で、昨年11月に15歳で虹の橋を渡った、我が家の3代目となる愛犬、自称自動車評論犬!?でもあった、軽井沢生まれのジャックラッセルのララの一周忌も重なったため、犬なしでララや歴代愛犬が大好きだった「レジーナリゾート御影用水」と「DOG DEPTガーデンホテルテラス」をハシゴすることにした。
首都高から関越自動車道、そして上越自動車道へ、高速道路の乗り心地は?
冬の宿泊を伴うドライブでは、ダウンジャケット、セーターなどで荷物が膨らむのだが(軽井沢の外気温は最低-2度から最高8度であった)、新型プレリュードの大きく開くラゲッジルームは開口部こそ高めなものの、夫婦二人分の機内持ち込みサイズのスーツケース、保冷バッグ、軽井沢で落ち合う犬友へのお土産、そして撮影用機材などを余裕で積み込めるスペースがある。
具体的には後席使用時でも奥行き900mm、最小幅900mm、高さ600mm。今回は+2の後席に手持ちバッグやダウンジャケットを置いたのだが、後席をほぼフラットに倒せば奥行きは1720mmに達するほどだ。つまり、ゴルフバッグ2セットなども余裕で積み込めるというわけだ。
新型プレリュードに乗り込み、まず行ったのはナビの目的地設定。Google搭載9インチHonda CONNECTディスプレーで、音声操作によって行えるから設定は正確かつ楽々だった。
ドライブモードを、いわゆるノーマルのGTモードにセットしていざ、軽井沢へ出発。駐車場では最小回転半径5.7mゆえに、ボディサイズから想像するより小回りが効かず、ちょっと難儀したものの、とにかくSPORTS e:HEVの流儀通り、静かに、スムーズに走り出した。そこでまず感動したのが、乗り心地の良さだ。
プレリュード専用となる235/40R19タイヤ(コンチネンタル・プレミアムコンタクト6)を履きながら、一般道の荒れた路面や段差をしなやかにこなしていく。これはZF製電子制御連続可変ダンパーの効果もあるはずだ。
首都高から関越自動車道、そして上越自動車道に至る高速道路でのフラット極まる乗り心地も、シビックtype-Rと共通かつプレリュード用に専用セッティングされた前後サスペンション+19インチタイヤ装着から想像するより遥かに快適だ。令和の大人のデートカーとしてこれ以上ない心地よさ、安心感、爽快感、そして車内の静かさを味わせてくれるドライブフィールは夫婦ともに大満足であった。
こうした世界はなるほど、SPORTS e:HEVの得意とするところであり、ミニバンやSUVに慣れたドライバーと乗員が、「着座位置の低いスポーティカーでロングランをすると疲れるかも・・・」というイメージを覆すものだったのである。
上越自動車道 碓氷軽井沢ICを下りれば、そこからはプリンス通りに至るバイパス、標高1000mまで延々と登る絶景のワインディングロードである。ここでは迷わずドライブモードをSPORTにセットし、「Honda S+ Shift」のスイッチをプッシュした。
するとアクセルレスポンスは一気に鋭くなり、レスポンシブルなスポーティカーへと変貌。スピーカーから発させられる「アクティブサウンドコントロールシステム」のエンジン音と疑似音を合成したスポーティなサウンドにも心が躍る。
しかも、エンジンは高回転域まで使いたくなる軽快で伸びのあるサウンドを発し、CVTでありながらまるで有段変速=8速AT車を操っているような段付きのあるシフトアップ感、”最速のダウンシフトスピード”制御がもたらす減速時のブーストされたブリッピングサウンド(ハブリング)まで「バンバン」と演出されるのだから、ドライバーのスポーツ心に火をつけてくれるのだから、たまらない。個人的好みでは、そのサウンドをもう少しボリューミーに聴かせて欲しいとも思えたのだが。
操縦性もFUNそのものだ。141ps、18.6kg-mとモーター184ps、32.1kg-mのSPORTS e:HEV 2.0L直噴エンジン搭載だから、シビックtype-R譲りのシャシーが完全に勝っているのだが、シビックtype-RとRSの中間よりややRS寄りと説明されるロール剛性もあって、キビキビとしながらもしなやかさが際立つ、回頭感、安定感抜群の、まさに人車一体のフットワークテイストを披露してくれたのである。
もちろん、これまたシビックtype-R譲りのブレンボ製大容量ブレーキの効き、ペダルフィールも信頼に足るものだった。こうした山道では、ボンネット左右の、視野に入る膨らみが運転のしやすさ、飛ばしやすさに貢献してくれることも確認できた。
そして、快感のスポーツドライビングを楽しみ、プリンス通りを経て軽井沢の1日目の滞在先、レジーナリゾート御影用水に到着。長いドアを開けて降車するにしても、ドア下部に足抜け用の凹み部分があるから、ボクはもちろん、今や高齢!?女性のカミサンでもスムーズに立ち降りることができた。
ただ、ちょっと気になったのは、シートバックの調整だった。軽量化やコストのためにダイヤル式でもないレバー調整式のため、パワーシート愛用のボクにしてみれば、ちょうどいい角度が得られにくいと感じたのも本当だ。
また、重いキャリーケースをラゲッジルームから出す際、開口部とラゲッジフロアに大きな段差があるため(リヤ周りの剛性確保に不可欠だが)、クルマをキズつけないように重い荷物を出し入れするにはけっこうな持ち上げ、持ち下げのための力がいることも、長年、開口部に段差のないステーションワゴン(や多くのSUV)に乗っている身からすれば、辛い作業であった。
とはいえ、スタイリッシュかつ高級感あるレジーナリゾート御影用水のエントランスに、ムーンリットホワイトパールに塗られた新型プレリュードは(このプレリュードはHonda ONのオンライン販売専用車のムーンリットホワイトパール&ブラックルーフモデル。
現在、完売)見事に似合っていた。熟年夫婦のリゾートライフ、リゾートドライブに、その快適性と走り、操る楽しさを含め、最高ではないだろうか。
これまで、小学館@DIME/PETomorrowの”わんこと行くクルマ旅”企画で多くの新型車に乗り、自称自動車評論犬!?として犬目線でドッグフレンドリーポイントをわんわん説明してきてくれた、ドライブが大好きだったジャックラッセルのララが乗りたかったであろう新型プレリュード。
そのララの想い、念を果たすべく、ララが大好きで何度も訪れた、今でもホテルHPのレストラン、カフェ&バーの説明画像に登場している、ララが最後に泊まったレジーナリゾートでもある、ここレジーナリゾート御影用水に写真ではあるものの、プレリュードに乗せて連れてきてあげることができた。ついでにAIで新型プレリュードの前に嬉しそうに立つジャックラッセルのララの画像を生成してみた・・・。
2日目は、これまたジャックラッセルのララが大好きだった我が家の軽井沢の定宿の1軒、日本を代表するアメリカ西海岸サンタモニカ発祥のドッグウエア、ドックグッズ、アパレル、グッズブランドのDOG DEPTがプロデュースする、プリンス通り沿いに建つDOG DEPT GARDEN HOTEL軽井沢テラスに滞在。軽井沢の景観になじむウッディな建物の前でも新型プレリュードは、その風景に溶け込むプレミアムなスタイリッシュさを醸し出してくれたのだった。
そんな2泊3日の新型プレリュードでの、カミサンと結婚して数十年を経た、「もう一度、軽井沢」の軽井沢ドライブデート。クルマがプレリュードというだけで、80年代のドライブデートを経験したボクたちが、これほどまでに懐かしくも新鮮で幸せな気持ちになれるとは!! そしてBOSEプレミアムサウンドシステムの音の良さにも満足できた帰路のドライブを終え、びっくりしたのは、ドライブ疲れが皆無だった格別な快適さだけではなかった。
そう、実燃費性能である。なんとWLTCモードの約88%となる20.7km/Lを達成。これなら、遠出も苦にならないどころか、経済的にも(ガソリン価格が下がることも期待して)、悠々と新型プレリュードの長距離ドライブが楽しめそうだ。
ちなみに、同宿した、ほとんど同じボディカラーに見える薄いグレー系のポルシェ911で訪れた、おそらく80年代のプレリュードを知るオーナー夫妻も、新型プレリュードに興味津々。
プレリュード話に花が咲いたのだった。令和に蘇ったプレリュードは、そんなヒストリー、ヘリテージを持ちつつ、クルマを操る楽しみを、FF最強のスポーツシャシー、SPORTS e:HEV、Honda S+ Shiftの合わせ技によって実現し、未来につなげてくれる、大人のドライブデートカー、スポーティ2+2 HVクーペという存在ではないだろうか。
文/青山尚暉
写真/青山尚暉 ホンダ 雪岡直樹
ホンダの新型「プレリュード」が発売1か月で約2400台を受注、月販計画の8倍となる人気に
ホンダは、2025年9月5日に発売した「PRELUDE(プレリュード)」の累計受注台数が、発売から約1か月後となる10月6日時点で約2,400台となり、月間販売…







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