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なぜ争奪戦が激化?サイバーセキュリティ人材需要が500%まで急増する理由

2025.11.15

大手企業がサイバーテロの標的になり、実際に大きな被害も発生している。さらにAIの活用が企業にとっての重要課題にも挙げられている。そういった中で日本のIT人材の需要が大きく増加しているという。

総合人材サービスを提供するランスタッドは、日本のIT&テクノロジー業界における最新のマーケット&サラリーレポートを10月22日公開した。

このレポートは、日本のIT求人市場全体を対象とした包括的な分析で、デジタル人材を網羅する7つの職種群における人材の供給状況、需要、報酬データを詳細に考察したものだ。それによれば、報酬の地域格差やAIスキルギャップ、働き方の柔軟性の欠如などの課題が浮き彫りになったという。

日本のデジタル人材市場は急速なテクノロジー導入と労働力不足が課題

2025年の日本市場は、安定した経済基盤を持つ一方で、少子高齢化による人口構造上の変化とAIやクラウドコンピューティングを中心とした急速なテクノロジー導入という二重の課題に直面している。

日本の失業率は2.4%と予測されており、労働市場の力強さあるものの深刻な人手不足が続いている。これが続けば日本は2040年に最大1100万人の労働力不足に直面するという予測もある。

政府は、深刻な欠員補充に対処するために賃金の引き上げや所得格差の是正を目的とした「新しい三位一体」の労働市場改革に着手しており、企業も柔軟な勤務形態の導入、定年延長、外国人材の受け入れといった施策を積極的に行っている。特に外国人労働者の流入は増加しており、2024年10月には過去最高の230万人に達している。

AIとデジタル変革により需要が拡大しているIT専門職

AIは雇用代替のツールではなく、生産性を向上させて新たな専門職のキャリアパスを創出するための不可欠な補助手段と見なされている。それは人材募集にも表れており、2025年半ばまでにサイバーセキュリティ専門家の求人件数は基準値の500%以上まで急増する状況だ。

データエンジニアリングの成長も目覚ましく、同時期までにベースラインの約300%に達すると予測されている。日本企業が技術人材の配置でもっとも重視しているのは、クラウド、コンテナ&仮想化(52%)、サイバーセキュリティ(51%)で、これは安全なクラウド環境への移行を反映していると推察できる。AIに関しては、自社のビジネスに合わせて最適化するために不可欠なモデルのカスタマイズと微調整に関する専門知識を持つ企業は、わずか25%だった。

AI導入は拡大しているが、日本企業の半数以上がAIを使いこなすための重要な専門知識を社内に持てていない実態がある。対応できる人材育成は喫緊の課題といえそうだ。

日本特有の働き方ギャップが離職の要因に

日本の労働市場の大きな課題には、従業員の求める働き方と企業の戦略の間で大きな矛盾が生じていることがある。多くの人は、勤務の柔軟性とリモートワークの選択肢を重視しており、90%もの人が完全リモートワークの職種を希望している。

日本では、従業員の離職理由がグローバル全体と比較すると大きく異なっているが、唯一の例外が勤務地の柔軟性だ。勤務地の柔軟性の欠如は、日本では離職理由の第1位(39%)で、日本の従業員にとって働く場所を選択できるかはもっとも大きく影響していることも浮き彫りになった。

ちなみにサイバーセキュリティやテック系営業など専門性の高い分野では、求人の58%がリモートワーク関連で、従来のオフィス勤務モデルからの移行も進んでいる。

地域別報酬の格差と戦略的ハブも課題

IT人材の報酬水準は、地理的な集中度と地域の経済的地位で明確な序列が生まれているという。シニアおよび戦略的IT系人材の大半(アーキテクト、プロダクト/DXマネージャーの80%など)は、東京に一極集中しており、東京の給与水準は全国平均より少なくとも20%高い水準だという。

大阪、愛知、埼玉などの地域は、ミドルクラスのチームを拡大するための費用対効果の高い選択肢を提供しており、大阪や愛知は東京と比較してシニアクラスとミドルクラスの間の賃金格差が小さく、スキルの高いミドルクラスの人材を見つける上で費用対効果が高いといえる。

全国的にIT戦略・企画・コンサルティングやDXマネージャーといった事業や組織を牽引する戦略的・高レベルの職種は、最高の報酬を得ていた。

今回の調査を行ったランスタッドのリチャードソン・アレクサンダー氏は次のようにコメントしている。

「日本市場で高収入を達成するためには、大規模組織でのプロジェクト遂行経験、日本語と英語の言語能力、コミュニケーション能力、および特定の産業における専門知識が重要な差別化要因となります。現在の採用市場では、あらゆる職種に需要がありますが、特に年収1000万から1500万円の中堅レベルの層でもっとも激しい競争が繰り広げられています。

この競争の激しい層には、高い貢献度を持つ個人や現場と密接に関わりながら高いコミュニケーション能力が求められる管理職が含まれます。技術的知識と機能的知識、コミュニケーションスキルを組み合わせたポジションの競争は今後さらに激しくなると予想されています。

金銭的な報酬以外にも柔軟な働き方、特にリモートワークのオプションが候補者にとって非常に魅力的な非金銭的報酬となっており、ほぼすべての候補者が完全リモートワークの職種を希望している状況があります。

企業が候補者と良好な関係を築き、迅速なスケジュール調整や詳細なフィードバックを提供するなど、採用プロセスにおいて積極性を示すことが、優秀な人材を獲得・維持する上で重要であるとも指摘されています」

IT&デジタルに関しては、求められるスキルやニーズの変化が早く、優秀な人材獲得や育成は難しい部分もある。現在はAIやサイバーセキュリティに関する人材不足は、大きな課題といえる。

変化の激しい日本のIT/デジタル人材エコシステムの中で、企業が成功するためには深刻な人材ギャップを埋めて、新たな働き方のパラダイムに適応してテクノロジーを成長の原動力として活用できるかが大きなポイントになりそうだ。

「日本のIT&テクノロジー業界のマーケット&サラリーレポート」調査方法の概要

この調査は、人材の供給状況、需要、年俸、市場競争力(求人倍率)について、二次調査データ(求人サイト、プロフェッショナルネットワーク、LinkedIn、転職サイト等)および労働市場分析会社Lightcast、給与データ会社Salary Expertなどの外部データ源を用いて評価・検証している。

https://www.randstad.co.jp/about/newsrelease/20251022IT.html

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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