
10月22日に新しいMacBook Proが発売された。最新チップ「M5」を搭載しているが、見た目のアップデートはほぼなく、実際にじっくりと試してみないと、なかなか違いが分かりにくい。
アップルが展開するノートPCとしては、上位モデルのMacBook Proに加え、MacBook Airがある。名前の通り軽量モデルかといわれると微妙だが、クリエイター、プロユース向けのProと、(比較的)ライトなユーザー向けのAirと棲み分けられている。
筆者は、2025年3月に発売された、M4チップ搭載のMacBook Airを愛用している。軽さはさておき、コスパに優れたノートPCだと日々実感している。
今回、短い期間ではあるがMacBook Pro(M5)をお借りできたので、MacBook Air(M4)との違いを中心に、実用性を試していく。
ポート数は多いのが正義だが重みと厚みは気になる
早速、「最新モデルならでは」の変化ではないのだが、MacBook Air(M4)ユーザーがMacBook Pro(M5)を試していて強く感じるのは、ポート数が多いと便利だという点だ。
MacBook Air(M4)には、充電用のMagSafeポートのほか、USB-Cポートが左側面に2つと、右側面に3.5mmオーディオジャックのみが搭載されている。一方、MacBook Pro(M5)は、左側面のUSB-Cポート2つに加え、右側面にもUSB-Cポートを搭載。加えて、SDカードスロット、HDMIポートも備える。
これだけのポートを備えていれば、USBハブを別途用意しなくても、モニターに接続する、デジカメで撮影した写真をSDカードから取り込むといった作業ができる。USBハブは、ヘビーに使っているとかなり熱をもち、不安を感じるシーンもそこそこある。筆者はあまりないが、会社でプレゼンをする際にHDMIをそのまま使えたりと、環境によってできることを左右されにくくなるのは、大きなメリットだ。USB-Cポートが左右に搭載されているため、どちらからでも充電ができるのも便利だった。
一方、MacBook Air(M4)と比べると、やはり重さと厚さはそれなりに気になる。スペックを見比べると、質量は0.31kg、厚さは0.42cmの違い。数字的には「その程度の違いか」と思わなくもないが、実際にカバンに入れて持ち運んだり、手に持つと、かなり違いを感じる。最近のMacBook Airは軽くない、薄くないという意見もよく耳にする(個人的にもそう思う)が、MacBook Proを基準とすると、軽くて薄いモデルなんだなと思わされた。
M5チップ搭載で使用感はどこまで変わるのか
前モデルからハードウエア的な更新はほぼないこともあり、MacBook Pro(M5)最大のアップデートポイントは、チップセットの更新といえるだろう。前モデルからはLLMプロンプト処理が1.8倍、AIによるビデオ処理が4.3倍、3Dレンダリングが3.9倍と、主にAI処理性能、GPU性能が向上している。
MacBook Air(M4)と使い比べていても、極端にパワーの違いを感じるシーンはほぼないが、これは主に筆者の使い方が原因だろう。原稿の執筆や添付写真の編集が中心となっており、同時に動画や音楽の再生、AIチャットとの簡単なやり取りを行うことがあるが、動画編集やゲームといったヘビーな作業を行わない場合は、体感できるほどの違いはほぼない。「確かにちょっと動きが早いかな?」くらいの違いである。
一方で、チップセットの違いというわけではないが、MacBook Air(M4)にはなくて、MacBook Pro(M5)にあるものとして、内蔵ファンが挙げられる。長時間作業をしていると、ファンレスのMacBook Air(M4)は、画像編集時に少しもたつくといったシーンが見られることがあるが、MacBook Pro(M5)は、排熱がしっかりとなされているためか、安定したパフォーマンスをする。ファンの音が気になることはあるが、ここは安定感とのトレードオフだ。
また、排熱性能に加え、M5チップによる省電力性能の向上からか、バッテリー持続時間にははっきりと違いが現れる。MacBook Air(M4)でも、1日の外出であれば余裕でバッテリーが持続するが、連日の外仕事が重なったタイミングで、仮に充電を忘れてしまった場合は、道中での充電が求められる。
その点、MacBook Pro(M5)は、筆者の使い方であれば、充電を忘れても2日間の外出であれば、なんとか持ち堪えられるほどバッテリーが持続するのがありがたかった。
MacBook AirからMacBook Proへの乗り換えはアリなのか
MacBook Air(M4)ユーザーの視点から、MacBook Pro(M5)への乗り換えはアリなのか。個人的な所感にはなるが、処理性能を期待しての乗り換えであれば、急ぐ必要はないだろう。違いが生まれないとはいわないが、M4チップでは処理性能に満足できないのであれば、いずれ出るであろうM5 Pro、M5 Maxチップを待つべきだ。
また、携帯性を重視するのであれば、やはりMacBook Air(M4)の方が使い勝手はいい。毎日ノートPCを持ち歩くようなユーザーにとっては、質量が大きな指標となるはず。たかが0.31kg、されど0.31kgだ。
一方で、バッテリー持続時間の長さは、MacBook Air(M4)と比べた際の、MacBook Pro(M5)の大きなメリットだ。M1チップ搭載以降、ノートPCとしてはバッテリー効率に優れた製品が並び、MacBook Air(M4)でも特別不満は感じていないが、上位モデルの良さが遺憾無く発揮されているポイントではある。
ポート類が豊富なのも、やはり上位モデルの魅力。USBハブを用意する必要がないと、デスクの整理にも繋がり、発熱等の不安も取り除かれる。加えて、今回は試せていないため、深く言及していないが、低反射ディスプレイのNano-textureディスプレイを選択できるのも、MacBook Proならではの特徴だろう。
内蔵ファンやバッテリー、ディスプレイ仕様といったポイントに魅力を感じ、質量や厚さが気にならないのであれば、MacBook Air(M4)からMacBook Pro(M5)への乗り換えもありだ。要するに、処理性能以外の使い勝手をより向上させるためのアップデートであれば、十分検討の余地がある。
もちろん、M3以前のチップを搭載したMacBook Air、MacBook Proユーザーならば、処理性能の向上もある程度感じられるはず。M5 ProやM5 Maxチップの搭載モデルは、前モデルを見ると、高価になっていくことも予想できるため、コスパ面で見ても、さらなるアップデートを待たずに、MacBook Pro(M5)をチョイスする選択肢もあるだろう。
取材・文/佐藤文彦
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