
10月22日に、OpenAIからChatGPTを搭載したAIブラウザ「ChatGPT Atlas(以下Atlas)」がローンチされた。
執筆時点ではmacOSにのみ対応しているが、今後Windows OS版や、スマートフォン向けアプリのリリースも予定されている。
「そもそもAIブラウザってなんだ」という人もいるだろうが、その名の通り、普段ブラウザで行う検索やSNS、買い物といった作業を、AIが補助してくれるというものだ。Atlasは、ChatGPTがブラウザに内蔵されているようなイメージで、AIとのチャットができるだけでなく、有料ユーザーであればエージェントモードが利用できる。
本記事では、無料版、有料版をそれぞれ試しながら、新しいブラウザ体験をレポートしていく。
まずはChromeから設定を丸ごとインポートするのがおすすめ
AtlasはGoogle ChromeやMicrosoft Edgeと同じく、「Chromium」をベースとして開発されている。そのため、アプリデザインはChromeに非常に近い。普段からPCでChromeを愛用している人であれば、直感的に操作できるはずだ。
何より、各種設定やブックマーク、Googleアカウントの情報などを、Chromeブラウザからインポートできるのが便利なポイント。新しいブラウザを使い始める際の障壁となる、自分好みに合わせた初期設定を大幅にスキップできる。
ChatGPTのアカウントは無料版でも利用可能
AIチャット形式のChatGPTと同様に、Atlasも無料プラン、有料プランがある。有料プランの契約をすると、高機能なAIモデルや、エージェントモードといった機能が利用できるようになる。
有料プランは月20ドルの「Plus」プラン、月200ドルの「Pro」プランがある。後ほど紹介するエージェントモードが、未来を感じやすい面白い機能であるため、できればPlusプランには加入してもらいたいが、ひとまず使用感を試す程度であれば、無料プランから初めても問題はない。
検索画面がデフォルトでChatGPTになる
Atlasを起動すると、以下画像のように、ChatGPTとのAIチャットができる画面が表示される。これがデフォルトの検索画面となり、検索窓に、AIに質問するようなプロンプトを入力し、Enterキーを押すと、返答がかえってくる。つまり、ブラウザで行うGoogle検索が、そのままChatGPTとのやりとりに変換されているようなイメージだ。
ブラウザを使用する以上、普通にGoogle検索を行いたいタイミングもある。その場合は、検索窓にキーワードを入れ、commandキー+Enterキーを押せばいい。最初にチャット形式で質問し、より詳細にGoogle検索をしたい場合は、上部のタブから切り替えることも可能だ。
通常の検索を行いたい際に、commandキーを押し忘れ、ChatGPTから返事が返ってくるミスが多いのが難点。筆者の不注意ではあるが、デフォルトでの検索方法を設定できるようになると嬉しいと感じる。この辺りの細かな仕様は、まだまだ発展途上なのだろう。
Webサイト閲覧時に便利なチャットモード
Webサイトの閲覧時には、右上に「ChatGPTに質問する」というボタンが現れる。これをクリックすると、ブラウザの右側にチャット欄が立ち上がり、「表示しているページに対して」質問ができるようになる。
試しにKDDI SUMMIT 2025の記事を要約してみると、主要なポイントをわかりやすくまとめてくれた。しっかりと読み込みたい本来のページを表示しながら、気になる要点をチャット欄でチェックできるのが、なかなか便利だ。
また、チャット機能はPDFファイルを開いている状態でも動作する。特に論文のように長いPDFファイルから、知りたい情報をピンポイントで抽出するといった使い方に、非常に適したブラウザだと感じる。通常のブラウザでも、PDFファイルをChatGPTに読み込ませ、同様の検索ができるが、チャット欄から直接検索ができるのが便利なポイントだ。
メールの文章校正もAIにお任せ
Atlas上で、GmailやGoogleドキュメントを開き、文章を入力している際には、テキストを選択し、ChatGPTのアイコンをクリック、もしくはcommandキー+Eキーを押すことで、文章の言い回しを調整してくれる。
ライターという生業上、文章の作成をChatGPTに丸投げすることはないが、便利なのがメールの文章を校正してくれる点だ。ざっくりと要点を箇条書きした文章を選択しただけで、ビジネスメールに書き直してくれるため、メールの文章を考える時間を削減できる。
AIによる校正にはやや時間がかかるが、AIが考えている時間に、別の作業を行えるのがポイント。仕事の本筋部分に作業時間を当てられるのがありがたい。
AIの力を強く感じるエージェントモード
有料版のみで利用できる機能だが、最もAIブラウザらしいといえる機能が、エージェントモードだ。ChatGPTに指示を出すことで、自動的にブラウザ内を移動していき、任意の動作を行ってくれるというものになる。
例えば、「Amazonでペット用のトイレシートを買い物かごに入れておいて」と指示を出すと、ブラウザ上でカーソルが自動で動いていき、しっかりとペットシートを買い物かごに入れ、カートを表示するところまで作業を行ってくれる。ほかにも、「SNSで○○と発信して」といった指示にも対応できた。
エージェントモードの動きは、もったりとしていて、手作業でWebページを動かしていた方が早い。とはいえ、上記したテキストの校正と同様に、操作する時間を別の作業に割り当てられるのが大きな強みとなる。
AtlasといったAIブラウザを使っていると、これまでの「検索結果から、必要な情報を探す」作業が、「検索すれば、必要情報までを提示してくれる」ところまでをやってくれるのが、大きな強みだと感じる。また、エージェントモードや文章校正機能のように、ユーザーの作業をブラウザが肩代わりしてくれるのも、AIならではの魅力だ。AIによって検索体験は変わるといわれ続けているが、その大いなる一歩をしっかりと感じられた。
取材・文/佐藤文彦
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