物価高の影響もあり、近頃は「外食よりも、自宅で過ごす時間をより充実させたい」という機運が上昇している。
コーヒー好きにとっては、自宅で大好きな一杯を楽しむ時間や豆へこだわるのに良きタイミングといえる。
「高い」と感じるカフェで飲むコーヒー1杯の値段、10代は300円、40代は?
美味しいだけでなく、店内に滞在できる、Wi-Fiを利用できるといった付加価値があることを踏まえれば、家で飲むコーヒーよりもカフェのコーヒーのほうが割高なのは納得…
今年2025年はどんなコーヒーのトレンドがあるのだろうか。おうちコーヒーにも少しばかり変化が起きている。
今回は、新しいコーヒーの楽しみ方についてネスレ日本にインタビューを行った。
2025年ならではのコーヒートレンド
まずは2025年の最新コーヒートレンドから見ていこう。
話を聞いたのは、ネスレ日本 飲料事業本部でシニアブランドマネジャーを務める山敷千織氏だ。
家庭用コーヒーの様々な製品を担当した後、現在は最新のコーヒーメーカーの開発の責任者として活躍している。山敷は3つのトレンドがあると語る。
【取材協力】
山敷 千織氏
ネスレ日本株式会社 飲料事業本部 コーヒーシステム&スターバックスCPGビジネス部 シニアブランドマネジャー
ネスレ日本に入社後、営業を経て「ネスカフェ」の家庭用製品各種や「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」などのブランド担当を歴任。現在は「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ」の責任者として各種プロジェクトをリード。
1.アイスコーヒーの人気拡大
「昨今、アイスコーヒーの人気が拡大していると感じています。近年、暑さを感じる期間が長くなっており、その影響から季節を問わずアイスコーヒーを好む人が増えています。実際に、全世代の約4割、特に若年層では5~6割がアイスメニューを好む傾向にあります(2024年時点、株式会社消費者行動研究所「飲み物調査」)。
カフェ文化の浸透から生まれ、特に韓国で人気の『アイスアメリカーノ』は当社でも注目し、製品開発に取り入れています」
2.コーヒー抽出方法の多様化
「コーヒーの楽しみ方が多様化しています。ハンドドリップで飲むだけでなく、スターバックスコーヒー(以下、スターバックス)を含む本格的なカフェ文化が浸透していく中で、プロのバリスタがブレンドに合わせた抽出方法を駆使して淹れるといったことが家庭にも広まっており、個人の嗜好に合わせた楽しみ方が浸透していると感じています」
おうちコーヒーの楽しみ方の変化
家庭で飲むコーヒーにも楽しみ方の変化があるという。
「物価の上昇や節約志向が高まる中で『日々のちょっとした楽しみとして、家で飲むコーヒーにはこだわりたい』と考える方が増えているように思います。
一方で、忙しい生活の中ではタイムパフォーマンスも重視されており、高度なテクニックや専門的な器具を揃えるのではなく、手軽さと本格感のバランスを求めるニーズも高まっています」
これからの新しいコーヒーの楽しみ方
さまざまなトレンドを受け、これからはどんな新しいコーヒーの楽しみ方がおすすめだろうか。
「忙しい日常の中でも、自宅で手軽に好みのスタイルでコーヒーを楽しみたいというニーズが高まっている背景を踏まえ、当社が2025年9月に発売したのが『ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ(以下、ネオ)』です。
1台でドリップスタイル、アメリカーノスタイル、エスプレッソという3つの異なる抽出方法に対応しているのが特長で、それをボタン一つで簡単に淹れ分けられ、プロのバリスタのような味わいを再現できる点が、大変好評です」
「これまでのコーヒーメーカーは、どうしても一つの抽出方法に限られるものが多かったのですが、プロのバリスタはその時々のブレンドやお客様のお好みに合わせてさまざまな抽出方法を淹れ分けています。『ネオ』は1台でコーヒーの楽しみ方の幅をぐっと広げてくれます。デザイン面でも、インテリアに調和しやすいクラシックホワイトとミッドナイトブラックの2色をご用意しました」
日本向け「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ」開発のこだわり
「ネオ」はスイスの研究所で5年以上の開発期間を経て生まれたという。2022年11月のブラジルでの発売を皮切りに、フランス、スイス、ポルトガル、ベルギー、オランダで展開。そして先月、日本および韓国で発売となった。日本で展開する際にこだわった点について、山敷氏は次の3つを挙げる。
●アロマブレンドを指1本で
「『ネオ』は世界で販売し、大人気を博していますが、日本の消費者の味覚や飲み方には独自のこだわりがあります。特にドリップコーヒーに親しみのある日本の皆さまに向けて、専用ポッドの一つに香り豊かな『ドリップスタイル アロマ ブレンド』を選定し、スキルなしではご自宅で淹れることは難しい本格的な味わいを指一本で楽しめるようにしました」
●韓国トレンド「アメリカーノ」の新コーヒー文化の提案
「韓国で主流のアメリカーノのトレンドを取り入れ、お湯で仕上げるため雑味のないすっきりとした味わいを通じて、新しいコーヒー文化の提案にも挑戦しています」
●環境に配慮した紙製コーヒーポッド
「従来モデルでは、プラスチックカプセルを使用していますが、『ネオ』においては、使用後に土に還る紙製コーヒーポッドに変更しました。環境に配慮したいけれど何から始めればよいか迷う方にも、わかりやすく行動を促すきっかけになると考えています。またペーパーフィルターでのドリップコーヒーに親しんできた日本のコーヒー飲用者にとって、紙製のコーヒーポッドは“クラフト感”を感じられ、コーヒーの美味しさや丁寧に淹れる時間を想起させ、より豊かな飲用体験につながっているのではないかと感じています」
スターバックス®のコーヒーの楽しみ方の変化
ネスレ日本は家庭用のスターバックス製品を取り扱っており、「ネオ」にも専用ポッドを4種類用意した。従来と比べ、楽しみの幅が広がった。
「従来モデルの『ネスカフェ ドルチェ グスト オリジナル』でも、スターバックス®のメニューを提供していますが、『ネオ』ではカフェで人気の4種類のブラックコーヒーを選定しました。アメリカーノスタイルとエスプレッソの2つの抽出方法に対応しています」
●アメリカーノ抽出に対応
「スターバックス® ハウス ブレンド」
「スターバックス® ブレックファースト ブレンド」
「スターバックス® アイス アメリカーノ」
●エスプレッソ抽出に対応
「スターバックス® エスプレッソ ロースト」
「スターバックス® エスプレッソ ロースト」については抽出量が25mlです。エスプレッソショットとしてそのままお飲みいただくのはもちろん、ミルクフォーマーなどで作ったミルクとあわせると、カフェラテやカプチーノのベースとして使用いただけます」
ボタン一つで手軽に3通りの抽出方法で、スターバックスを含む上質なコーヒーを楽しめるタイパの良いコーヒーメーカー。最新テクノロジーと環境への配慮の両立により、新しいトレンド感のあるおうちコーヒー時間を提供してくれそうだ。
取材・文/石原亜香利







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