広告では語られていない3つのリスク
輝かしいメリットの一方で、その裏側には必ず考慮すべきリスクが存在する。広告では大きく語られることのない、3つの構造的なリスクを冷静に分析しよう。
リスク1. 市場の需要は永遠に続くわけではない
現在のGPU需要が旺盛なのは事実だが、需要が永遠に続く保証はどこにもない。

GPUの価格は、需要と供給のバランスで決まる一種のマーケットであり、今は需要が先行しているにすぎない。Amazon(AWS)やGoogle(Google Cloud)、Microsoftといった巨大クラウド事業者が今後さらに大規模な設備投資を行えば、供給過多に陥り、レンタル価格が下落する可能性が十分にあり得る。また、AIのアルゴリズムが進化し、より少ない計算能力で同等の性能を発揮できるようになる省エネ化が起こっていけば、長期的に価格の下落要因になり得る。
つまり、投資家が得られる手数料収入は、常に市場の荒波に晒される不安定なものであるという認識が不可欠である。
リスク2.半導体業界の宿命「速い陳腐化」
「実物資産」であることがメリットである一方、それが「ハイテク機器」であることは最大のリスクでもあるといえる。
半導体の性能が驚異的なスピードで向上し続けることは、「ムーアの法則」として知られている通りだからだ。
例えば、今日、1,000万円を投じて購入した最新鋭のサーバーも、2~3年もすれば性能的に見劣りし始め、5年後には数世代前の「旧式モデル」となっている可能性が極めて高い。その時、そのサーバーにどれほどの資産価値が残っているだろうか。購入時と同じ価値を維持することは構造的に不可能であり、売却などの出口戦略を考えると、最終的に見込んだ利益・利回りが実現できない可能性を常に念頭に置く必要がある。
また実物資産で需要があるとはいえ、株式のようにいつでも売買できる環境ではないとも認識しておきたい。
リスク3.事業者の信用(詐欺でないか?/倒産しないか?)リスク
まず、投資は、サーバーを購入して終わりではない。その後の運用、つまり「いかに高い稼働率で、いかに有利な条件で貸し出すか」という実務を、販売・運営会社に委託する仕組みとなっている。
したがって、投資の成否は、そのパートナーとなる事業者の能力と誠実さに大きく依存している。
最も注意すべきは、手数料体系の不透明性と、運用実態のブラックボックス化であり、収益から何パーセントの手数料が引かれるのか。サーバーは本当に契約通りに運用されているのか。これらが不透明なままでは、投資家は事業者の言い値を信じるしかない。万が一、その事業者が倒産したり、事業から撤退したりすれば、手数料収益が途絶えてしまうばかりか、投資家のもとには管理の行き届かないサーバーだけが残されることになる。
事業者選びこそが、この投資における最大のリスクコントロールであるともいえる。
■上場企業の安心感を訴求して投資を募る例

念のためだが、このスキーム自体に非があるものではなく、あくまで一例である。
むしろKLab社はスマホのオンラインゲームで名を馳せている上場企業で、ITに強いのでGPUサーバー投資の様々なノウハウを持っているともいえる。







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