1800年代に起きたゴールドラッシュで、最も利益を得たのは、一攫千金を夢見て金を掘った人々ではなく、彼らにツルハシやジーンズを売った商人だったというビジネス格言があり、今まで語り継がれてきた。
そして今、AIという新たなゴールドラッシュが到来した。世界中がAIという“ゴールド”に熱狂し、NVIDIAのような“現代のツルハシ屋”が巨万の富を築くのを見て、多くの賢明なビジネスパーソンはこう考えるだろう。「我々もまた、金を掘る側ではなく、ツルハシを売る側に回るべきだ」と。
その心理を巧みに捉え、「私達と一緒に、AI開発という金を掘る人々に、GPUサーバーという“最先端のツルハシ”を貸し出す大家さんになりませんか」と、投資をすすめる広告を目にするようになった。市場のブームに乗じる形で、一見、この上なく賢明な投資に見えるのだが、本当に儲かるのだろうか。その仕組みについて、本記事で解き明かしてみよう。
▼投資勧誘の広告の例

GPUサーバーへの投資には、2つの訴求ポイントがある
GPUサーバーへの投資は、AI時代が生んだ新たな投資のカタチであると言え、2つの訴求ポイントがある。
遡及ポイント1. インフレに強い実物資産であり、需要も絶えない
株式や債券といった金融資産(ペーパーアセット)と異なり、サーバーという「モノ」に投資する実物資産である。一般的に、実物資産は物価上昇(インフレ)が起きた際に価値が目減りしにくいと言われている。将来の経済情勢が不透明な中で、投資ポートフォリオの一部に物理的な資産を組み込むことは、リスク分散の観点からも有効な戦略だと考えられる。
その実物資産の中でもGPUの計算能力は、いわば「デジタル世界の石油」ともいえる価値があり、尽きない需要がある。この巨大な成長市場から、サーバーレンタル料という形で安定した収入が期待できるので、GPU投資が魅力に見えるというわけだ。
■市場予測では5年で倍以上になっている

GPUサーバー自体の需要であり、レンタルの投資スキームがどのくらい伸びるか?の予測ではない。
遡及ポイント2. 中小企業経営強化税制を使った節税効果の期待
経営者のみが対象になってしまうが、税制上のメリットがある。GPU投資のスキームは、多くの場合「中小企業経営強化税制」の適用を前提としている。
この制度は、一定の要件を満たす設備投資を行った中小企業に対し、その取得価額の全額をその事業年度の経費に計上できる「即時償却」を認める制度である。
例えば、課税所得が3,000万円の法人が、期末に1,000万円のGPUサーバーを購入し、この制度の適用を受けたとする。サーバー購入費1,000万円がまるごと損金となるため、その年度の課税所得は2,000万円に圧縮できる。法人実効税率を30%と仮定すれば、納税額を約300万円少なくできる計算になる。
正確には「課税の繰り延べ」になるのだが、目先のキャッシュフローを改善し、手元に残った資金を新たな事業投資に回せる効果は、経営者にとって魅力に映る。
■本来の中小企業経営強化税制の目的は、中小企業の設備投資の支援である








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