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割高感への警戒が高まる米国株、実態は?

2025.11.12

市場では米国株の割高感への警戒感が高まっている。

実際、2025年11月4日には、ウォール街の大物経営者たちが相次いで株価の割高感や調整リスクを指摘した。

これによって米国株は大きく調整する展開となり、翌11月5日のアジア時間には日経平均株価は一時約▲4.7%も急落する場面がみられた。

世界最大の時価総額を誇り、テクノロジーの進化をリードする有力企業がひしめく米国株は世界の株式市場の主役ともいえる存在だが、AI関連銘柄を中心に好調を維持する米国株に対して「バブルではないか」との声も上がる中、果たしてその実態はどうなのか。

三井住友DSアセットマネジメント チーフグローバルストラテジスト・白木久史 氏から検証リポートが到着したので概要をお伝えする。

◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

1. 「伝説のトレーダー」のAI株売り

AI関連株に代表される米国の大手ハイテク株の好調が続いているが、そんな市場のトレンドに逆張りする「伝説のトレーダー」のAI関連株売りが注目を集めている。

2007年のサブプライム危機の際に「世紀の空売り」を仕掛けて映画のモデルにもなったマイケル・バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントは、AI関連株の代表格ともいうべきエヌビディア株とパランティア・テクノロジーズ株のプットオプション(一定の株価で売る権利)を大量に購入していることを米国証券取引委員会への報告資料で開示した。

AIを活用した軍事用途向けデータ解析のトップ企業のパランティア社は11月3日に四半期決算を公表したが、これまでの株価の急騰を受けた利食い売りの動きに加えて、この「伝説のトレーダー」による大規模な「弱気ポジション」が報じられたこともあって、好決算にも関わらず株価は大きく下落することになった。

■ネットバブル期の水準に迫る米株のPER

市場参加者の多くがこうした「売り仕掛け」に敏感な背景には、米国株の割高感への警戒感がありそうだ。というのも、米S&P500種指数の予想株価収益率(PER)は2000年のインターネットバブルの時期の水準に迫る、歴史的な高水準に達しているからだ(図表1)。

はたして現在の米国株は、ファンダメンタルズから乖離した「バブル状態」にあるのだろうか。

2. 米国株の割高感の実像

株価は一株当たり利益(EPS)とPERの掛け算なので、S&P500の予想PERが過去のピーク水準まで上昇してきていることに警戒感を強めるのは、投資家として至極まっとうな反応といってよい。とはいえ、現在の米国株式市場の状況に目を凝らしていくと、こうした高PERへの単純な警戒感は、重要な点を見逃している可能性があることに気づかされる。

■急上昇するハイテク株のウエイト

というのも、高成長ゆえに米大手ハイテク株には高いPERが付される傾向にあるが、そうした高PERの大手ハイテク株の時価総額が増加することで、S&P500の時価総額に占めるウエイトも大きく上昇するからだ。

例えば、マグニフィセント7(アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、アップル、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社)のS&P500に占めるウエイトは、この6年余りの間に概ね倍の水準に増加している(図表2)。

S&P500は時価総額で加重平均した株価指数なので、高PERのハイテク株のウエイトが増えると指数を構成する個別企業のPERに変化がなくても、指数全体のPERは大きく上昇することになる。

■米株の平均的なPERは平凡な水準

なみに、こうした特定の銘柄や業種のウエイト変動の影響を排除するため、指数構成銘柄をすべて等金額で保有するS&P500均等加重指数のPERを見ると、足元の水準は約17.5倍で概ね過去の平均的な水準にあることが確認できる(図表3)。

こうしてみると、S&P500のPERが歴史的な高水準に上昇したのは、産業構造の変化などから指数に占める高成長のハイテク株のウエイトが上昇したことが主因であって、バブル期に見られたような株価の異常な急騰とは異質なものである可能性が高そうだ。

@DIMEはサイトローンチ時より編集業務に携わる。現在は雑貨や家電、オーディオなどの新製品に加え、各種の社会調査・統計、話題の新スポットからイベント情報などを担当。信条は正確さとわかりやすさ。最近の趣味は日付が変わる時刻のウオーキング。

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