■連載/阿部純子のトレンド探検隊
埼玉県川口市にある、株式会社「大泉工場」は1917年に創業、鋳物工場としてスタートしたが、1970年代以降川口の鋳物総生産量が縮小傾向となり、1990年代に鋳物工場を閉鎖、2008年から食品関連事業に参入した。
同社はプラントベース、オーガニックに着目したサステナブルな食事業を展開し、動物性の食材を一切使わない、「1110 CAFE/BAKERY」(川口市・下記画像)と「BROOKS GREENLIT CAFE」(東京・南青山)のプラントベースカフェを運営。
発酵スパークリングティーの昆布茶「_Ship KOMBUCHA(シップ コンブチャ)」、オーガニック原料で作られたウエルネスおやつ「WO!POPCORN!」といった体にやさしい商品をリリースしている。
11月より地球環境に配慮したサステナブルなロールパンブランド「planet rolls(プラネット・ロールズ)」を立ち上げ、第一弾となる「シナモン・ロール」(1箱6個入/3000円・送料別)をオンラインショップにて販売を開始した。
乳製品を使わないパンはどうやってできている?
プラネット・ロールズは、「食べるたびに地球とつながる」をコンセプトに、地球環境と身体への負荷が少ないプロダクトの創出と、国籍・スタイル・アレルギーを超えて同じテーブルで食事を楽しめる環境の実現を目指して作られたブランド。
第一弾として「1110 CAFE/BAKERY」で人気メニューの「ザ・シナモンロール」を冷凍化し全国へ配送する。
「通常のシナモンロールはしっとり感やコクを出すために、牛乳、卵、バターを使いますが、プラネット・ロールズでは、動物性食材を一切使わず、乳化剤・保存料といった食品添加物不使用、有機栽培を含むナチュラルな植物性食材のみ厳選使用して、さらなるおいしさの高みを目指しました。
製造工程でも電力は太陽光100%再生可能エネルギーを使用し、パッケージは責任ある森林管理から生まれたFSC認証紙を採用しています」(株式会社大泉工場 代表取締役 大泉寛太郎氏)
小麦粉は国産の「ゆめちから」を100%使用。「ゆめちから」は土壌消毒への依存を回避できるサステナブル栽培特性があり、超強力粉でもちもちとした食感が出る。
「『ゆめちから』はもっちりとした食感が出せる一方で、生地が固くなってしまうデメリットもあります。発酵時間の調整や、初期の工程でオイルを加えることでグルテンを抑えた食感に調整するなど、独自のレシピを開発してデメリットを解決しました」(開発担当 株式会社大泉工場 ストアオペレーションマネージャー 野上耀介氏)
酵母には約3,000坪の自社本社敷地で採取した桃の花由来の「花酵母」を使用し、一晩(12~18時間)低温で熟成発酵。桃や花のようなフルーティーで華やかな香りが生まれ、天然酵母ならではの旨味とコクが感じられる生地に仕上がる。
クリーム状のアイシングの部分も、豆乳、植物性のオイル、レモンをベースに構成しており生クリームは不使用。生地の底は粗糖でキャラメリゼし、もちもち感と共に最後に「カリッ」とした独特の食感を付与している。
「我々がプラントベースを推進する理由としてまず、環境負荷の軽減に貢献できることがあります、タンパク質100gあたりの温室効果ガス排出量を比較すると牛肉や牛乳、チーズといった動物性が高く、植物性が低い傾向にあります。プラントベースに切り替えることで、CO2等温室効果ガスの削減、水資源の節約、森林破壊・生物多様性損失の抑制に寄与できます。
また、近年のエシカル消費の拡大がプラントベースの成長を後押ししていると感じています。食物アレルギーを持つ方の増加や、宗教・文化的背景を持つ訪日外国人旅行者への対応など、多彩なニーズに応える食の選択が求められる中で、プラントベースのプラネット・ロールズは多くの方々の期待に応えられると考えています。
日本国内では2025年度にはプラントベースの市場規模が730億円に達する予測されており、2020年の265億円と比べると、約2.7倍に市場規模が拡大しています。今後もプラントベース市場は日本のみならず世界中で広がっていくマーケットになっていくと考えています」(大泉社長)
販売は自社のオンラインショップで行い、期間限定のポップアップイベントの開催も予定。現在オープニング記念として、先着100名に1箱買うともう1箱プレゼントするキャンペーンを実施中。
【AJの読み】バターが苦手な人でもおいしくパンが食べられる
プラネット・ロールズは冷凍で届くため、食べる際は1時間ほど常温で解凍してから、電子レンジで20~30秒、またはオーブントースターで約1分間温める。温めるとトッピングされたアイシングが溶けて写真のような状態に。
大泉社長いわく、手で直接食べることで旨味がダイレクトに伝わり、食べ応えをより感じられるとのこと。試食してみると、生地の甘さは控えめで、もっちりとした食感が特徴的。筆者はバターが大の苦手で通常のシナモンロールはほぼ食べられないが、こちらはバター不使用なのでおいしくいただくことができた。
ただ、アイシングの部分が溶けすぎる感があり、その旨を開発担当の野上氏に伝えたところ、寒天を加えるなど固さを出す工夫をしてみたいとのこと。
ロールパン以外に、パン・ド・ミやフォカッチャなども開発中とのことで、エシカルブランドとのコラボ展開の予定もあり、今後プラントベースパンのラインナップも増えていきそうだ。
川口市にある「1110 CAFE/BAKERY」では、様々トッピングを加えたプラントベースロールパンを提供しており、プラネット・ロールズに興味があればぜひ試してみては。
取材・文/阿部純子
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