9月に発売されたiPhoneシリーズの中でも、一際異彩を放っているのが、iPhone Airだろう。従来はiPhone 16シリーズ、iPhone 15シリーズの中に4モデルがラインアップされていたが、今年はiPhone 17、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxの3モデルがiPhone 17シリーズ、プラスワンとしてiPhone Airが用意された格好となっている。
iPhoneシリーズは、長らくこの「プラスワン」の端末での方向性を探り続けている。iPhone 12シリーズからはmini、iPhone 14シリーズからはPlusがラインアップされ、それぞれ刺さる人には刺さるデバイスとして評価されてきたが、iPhone Airはこれまでの派生モデルとは一味違う、独特なコンセプトを持った端末だ。
薄さ、軽さというメリットと引き換えに、アウトカメラはシングル、スピーカーはモノラルといったスペック上の弱点を併せ持つ。薄さとトレードオフのバッテリー性能も気になるところだろう。では、iPhone Airのこうした懸念点は、実用上どれだけ影響するのか。1ヶ月しっかりと使い込んだ所感を紹介していこう。
懸念されていたカメラやスピーカー、バッテリーの使用感
薄く、軽いiPhoneに惹かれながらも、iPhone Airの購入を躊躇っている人もいるだろう。スペックを見る限り、シングルカメラやモノラルスピーカー、バッテリー持続時間に不安を抱くのも無理はない。
では、それぞれの懸念点についてチェックしていこう。
■綺麗な写真が撮れるが撮影パターンは限定的
iPhone Airのアウトカメラは、48MPのシングルカメラとなる。iPhone 17よりも高価な端末なのに、カメラが1つ減っているのはいかがなものかという意見も重々承知。というより、個人的にも同意見ではある。
48MPカメラは、iPhone 17やiPhone 17 Proと基本的に変わりはないため、等倍での撮影や、2倍の光学品質撮影は非常に綺麗かつ簡単に行える。iOS 26より、カメラアプリのUIが簡素化されているのも、シンプルなカメラ構成であるiPhone Airとマッチしている印象だ。
iPhone 17 Proの写真と比べると、色味に若干の違いは見受けられるが、どちらかが優れているというわけではない。そもそも、じっくりと見比べないと差が感じられないレベルなので、iPhone 17シリーズと同等のメインカメラ性能と考えていいだろう。
一方で、超広角、望遠カメラがないデメリットも明確に感じられる。画質がいい、悪いという話ではなく、物理的に超広角カメラの広い画角や、望遠カメラでの遠所撮影ができないため、撮影パターンはどうしても限られてくる。
シングルカメラは絶対にダメというわけではなく、普段どのような写真を撮影したいかによって評価は分かれる。そういう意味で、人を選ぶ端末であるのは間違いない。広い画角で建物や風景の全体像を撮影する際には超広角カメラが欲しくなるし、運動会で走る子供や、ステージ上の推しを撮るのであれば望遠カメラが欲しくなる。iPhone Airの購入前には、自分がどれくらいカメラを使用するのかを必ず確認してほしい。
逆に、スマホにカメラ機能を求めていない人もいるだろう。写真が趣味で、普段は一眼レフのようなカメラを持ち歩いている人や、そもそも写真をほとんど撮影せず、スマホではQRコードの読み取り程度にしかカメラを使わないという人もいるはずだ。筆者のように、複数台スマホを持ち歩いているため、別の端末で写真を撮ればいいと考える人もいるだろう。シングルカメラというデメリットを打ち消すことにはならないが、無視して運用しても、さほど困らない場合もあるというわけだ。
■スピーカーの音質、音圧はやっぱり物足りないと感じるシーンも
本体をよく見ないとわからない部分ではあるが、iPhone Airには、モノラルスピーカーが採用されている。簡単にいえば、スピーカーを2つ搭載し、立体感のある音を再生できるとされるステレオスピーカーと違い、iPhone Airでは、一箇所(本体上部)にしかスピーカーが搭載されていない。
そのため、iPhone Airでの音楽再生は、特に低音の響きが弱く、正直微妙ではある。特にiPhoneシリーズは、音質、音圧に優れるモデルが多いだけに、今使っているiPhoneから機種変更をしたら、音質が悪くなったと感じることもあるだろう。
とはいえ、そもそもスマホのスピーカーから直接音を再生する機会が少ないという人は、気にしなくていいポイントではある。ワイヤレスイヤホンを常用しており、スピーカーを使うのは、音質が気にならない着信時程度という人もいるだろう。
個人的には、音楽再生にはイヤホンやヘッドホンを使うことが多いものの、ゲームプレイ時には無線特有の遅延がどうしても気になるため、スピーカーから音を出すシーンが多い。そのためモノラルスピーカーは、はっきりと不満を感じるポイントとなってしまっている。iPhone Airには、iPhone 17 Proシリーズとほぼ共通のチップセットが搭載されており、処理能力に長けているだけに、もったいない部分だと感じてしまう。
カメラと同様、使い方次第で気になる、気にならないがはっきりと分かれるポイントとなっているため、購入前にしっかりと実機を確認してほしいところだ。







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