日本の死因ランキングトップの病気であり、日本人の2人に1人がかかるとされるがん。罹患した場合様々な苦労が伴うが、中には「外見の変化」に悩む人も多いようだ。
アデランスはこのほど、全国の30歳~69歳の男性412名を対象に「男性のがん治療における外見変化に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。
がんと診断されたとき、3人に1人が「外見の変化」に不安
がんと診断された際に不安・心配だったことについて尋ねたところ、最も多かったのは、「治療内容や副作用について」(69.4%)、次いで「治療にかかる費用」(63.6%)となった。いずれも6割を超えており、今後の生活に大きく関わる治療内容や、治療に伴う経済的負担への懸念が色濃く表れている。
続いて、「家族・パートナーへの負担」(46.1%)、「仕事との両立」(44.4%)が挙がり、自身のみならず、周囲・就労への影響も大きな不安となっているようだ。また「外見の変化(脱毛・肌質の変化など)」に不安を感じた人は29.6%と、約3人に1人となった。治療への不安に加えて、金銭面・外見変化での心理的な負担ものしかかっていたことがわかる。
治療中の苦痛「脱毛」が最も多い回答、気分の落ち込みや仕事など生活全般に影響
がんの治療に伴い、困ったことや辛かったことを尋ねたところ、最も多かったのは「頭髪の脱毛」(36.9%)となった。「気分が落ち込み、何も手につかないことがあった」(34.7%)と回答した人も3人に1人にのぼり、精神的な負担の大きさも際立った。
さらに「仕事が困難になった(体力・気力の面)」(31.6%)、「皮膚トラブル」(24.3%)など、治療が日常生活に多面的に影響していることがわかる。治療そのもののケアに加え、患者が前向きに日常を過ごすための外見ケアや精神的サポート、職場理解の促進など、多面的な支援が必要なのかもしれない。
脱毛により約4割が心理・行動に変化を経験
脱毛に関して困ったことを尋ねたところ、最も多かったのは「気分が落ち込みやすくなった」(42.8%)となった。脱毛は外見の変化であると同時に、気分の落ち込みと直結しやすく、心理面に深い影響を与えているようだ。
以下「周囲の視線が気になるようになった」(41.3%)、「外出をためらうようになった」(38.9%)という回答が続き、社会的な関わりを避けたくなる心情や、対人関係への不安も垣間見える。脱毛は見た目だけの問題にとどまらず、社会的な活動制限など、患者の心理と行動の両面に大きな影響を与えるようだ。
治療期間中に取り入れたアイテム「脱毛時用の帽子」が最多
治療期間中に取り入れたアイテムについて尋ねたところ、「脱毛時用の帽子」(44.4%)が最も多く、脱毛による外見の変化をカバーしつつ、防寒や紫外線対策といった実用性も備えたアイテムとして、活用されていることもわかった。
次いで、「肌に優しいシャンプー」(31.1%)や「頭皮の保湿剤」(21.6%)など、頭皮や肌をケアする製品の取り入れも目立った。治療によって敏感になった肌や頭皮への対処が重視されていることがうかがえる。
「使いやすさ」重視が顕著、肌に触れる製品では「素材志向」も
各アイテムの選定理由としては、「使いやすさ」を最も重視している傾向が強く見られた。特に「脱毛時用の帽子」(65.0%)や「ナイトキャップ」(60.3%)、「ウィッグ」(53.1%)では、半数以上を占めており、日常的に無理なく使用できるかどうかが選定の大きなポイントとなっているようだ。
一方、「頭皮の保湿剤」、「肌に優しいシャンプー」では「安全性」や「素材・成分」への関心が高く、肌に塗布するアイテムに対しては、より慎重に選ぶ傾向も見受けられた。
約4割が「視線が気になる」ことから外見ケアを実施、見た目のカバーだけでなく気持ちの回復にも使用
ウィッグや帽子による外見ケアを行った理由について尋ねたところ、最も多かったのは「周囲の視線が気になったから」(41.2%)、次いで「脱毛したことを隠したかったから」(34.2%)となった。これらはいずれも他者からどう見られるかという対人意識に基づく不安、病気であることが外見から伝わることへの抵抗感が背景にあるようだ。
さらに、「周囲に心配をかけたくなかったから」(24.6%)、「仕事で人前に出る必要があったから」(24.6%)など、他者への配慮や社会生活との両立のなかで外見に気を配る様子も見て取れる。一方で、「気分が前向きになったから」(20.9%)という声も一定数あり、外見ケアが単なる見た目のカバーにとどまらず、気持ちの回復を支える役割を果たしていることがわかる。
今回の調査では、がん治療に伴う外見の変化に不安を感じた男性が約3人に1人にのぼり、なかでも「脱毛」が多くの人にとって苦難であることが明らかになった。脱毛は外見上の変化にとどまらず、心理的な落ち込みや外出への抵抗感など、生活全般に影響を及ぼすことが示唆されている。女性に焦点があたりやすい外見ケアの重要性だが、男性においてもケアの重要性が浮き彫りとなった。
<調査概要>
○調査名:男性のがん治療における外見変化に関する意識調査
○調査対象:がんの罹患経験があり、がんの治療による脱毛の経験がある
30歳~69歳の男性412名(有効回答数)
○調査期間:2025年8月4日(月)~5日(火)2日間
○調査方法:インターネットアンケート
○調査委託先:株式会社マクロミル
※本調査結果では、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある
出典元:株式会社アデランス
構成/こじへい







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