近年、日本の四季は気候変動の影響により移ろいが曖昧になり、従来のような季節への対応が難しくなりつつある。
そこでユニクロは、全国の男女1,000人を対象に「生活者が感じる現代の四季についての調査」を実施し、その結果を発表した。
約9割が「日本には四季らしさがなくなった」と実感、一年の季節は二つ・三つの“ネオ四季”への移行
気候の変化や場所・時間による寒暖差などにより、日本に四季らしさがなくなってきていると感じるかと聞くと、46.9%が「とても感じる」、42.7%が「まあ感じる」と答え、全体の89.6%と約9割が四季らしさがなくなってきていると感じている[図1]。
また、日本の季節は今いくつあると思うかと聞くと、本来の春夏秋冬の「四つ」と答えた人は24.1%、夏・冬の「二つ」と答えた人が29.1%、春・夏・冬の「三つ」と答えた人が34.6%となり、四季と答えた人より二季や三季と答えた人のほうが多くなっている[図2]。
1日の最高/最低気温差が7℃以上30日中20日間も。“ネオ四季”を象徴する気温データ
ユニクロ1号店ができた1984年と昨年2024年の東京都の月別平均気温を比較すると、1984年は20℃を超えた月は6月から9月の4カ月であるのに対し、2024年は5月から10月の6カ月と長くなり、年平均気温は1984年14.9℃から2024年17.6℃と、この40年で2.7℃も高くなっている[グラフA]。
また、2024年11月の日別平均気温を見ると11月17日の18.9℃から翌日は13.7℃と5.2℃下がり、3日後には7.6℃と4日間で11.3℃も下がっている[グラフB]。
さらに、1日の最高気温と最低気温の温度差が7℃以上あると寒暖差疲労が起こりやすくなると言われているが、それに該当する日は11月の30日間中、20日間となっていた[グラフC]。体感だけでなく、気温も実際に変動の幅が大きくなっている。日本は従来の四季から、人によって季節がいくつあるかの感じ方が分かれる、現代の四季の在り方“ネオ四季”へと移行し始めているようだ。
“ネオ四季”により「寒暖差による体調不良」や「光熱費高」に加え、「衣類選び」に困る人が多い
多くの人が“ネオ四季”への移行を実感しているが、季節感のずれにより困っていることを聞くと、1位「急な寒暖差で体調を崩しやすい」(46.1%)、2位「冷房と暖房の使用期間が延び、光熱費がかさむ」(41.4%)に次いで、3位「衣替えのタイミングが難しい」(35.8%)、4位「朝晩と日中の寒暖差が激しく、一日の
服装が定まらない」(34.5%)となり、体調や光熱費と並んで衣類選びで困る人が多くなっている[図3]。
半数が衣替えで失敗…“ネオ四季”が衣類選びを難しくしている
そこで衣類選びで経験したことを聞くと、6割近くが「寒いと思って厚手のコートを羽織って出たのに、日中暑すぎて後悔した」(57.4%)と答え、約半数が「一度衣替えでしまい込んだ服をもう一度取り出した」(51.2%)と答えた[図4]。これまでの四季感覚が通用しなくなっている“ネオ四季”は服選びを難しくしているようだ。
“ネオ四季”あるあるランキング!共感度トップの現象は日によって季節感が切り替わる“日替わり季節”
季節感のずれによって思わずあるある!と共感してしまう現象について聞いた。“電車暖房地獄”、“いきなり冬将軍”など、ユニクロが定義した16の現象から、「共感する」「やや共感する」「あまり共感しない」「共感しない」の4段階で答えてもらった。
その結果、最も共感度が高かったのは、「昨日は冬、今日は春、明日はまた冬。季節感が日替わりで切り替わる」“日替わり季節”(69.2%)、次いで、「秋気分でいたら不意打ち寒波。服選びに失敗して震える事態に」“いきなり冬将軍”(68.1%)、「一日の中でも気温が急上昇・急降下し、心も体もクタクタに」“寒暖差ジェットコースター”(67.8%)、「暖房をつけて暖かい家の中でも、トイレや脱衣所だけは北国状態」“おうち寒暖差”(65.9%)、「朝の冷え込みにつられて厚着。昼のポカポカ陽気でアウターが荷物化して後悔」“もこもこ後悔”(64.6%)が上位に挙げられた[図5]。
このほか季節感のずれによるあるある現象を寄せてもらうと、「朝・昼・夜、室内・室外で寒さがコロコロ変わり体調が心配」(22歳・女性・大阪府)、「外が寒くてコートを着ているのに、店は暖房効きすぎて暑い」(25歳・男性・長野県)など、さまざまな困った現象が寄せられた[図6]。
冷暖房で室温ストレスを感じる場所「電車内」「オフィス」「百貨店」は冷暖どちらにもランクイン
冷暖房により屋内で室温ストレスを感じた場所を聞いた。暖房の効きすぎで冬なのに暑くてストレスを感じる場所は、「電車内」(32.6%)、「オフィス/職場」(21.0%)、「百貨店・ショッピングモール」(17.4%)の順となった[図7-1]。
一方、冷房の効きすぎで夏なのに寒くてストレスを感じる場所は「スーパー」(32.5%)、「オフィス/職場」(21.1%)、「電車内」(20.2%)の順となった[図7-2]。オフィスや電車内など、さまざまな人が共有する空間ではこまめな室温調節が難しく、外との寒暖差によりストレスを感じやすい場所になっているのかもしれない。
“ネオ四季”では「10月に半袖Tシャツ」「冬に厚手のダウンを着ない」「冬にエアリズム」が一般化
季節感のずれにより、本来の季節らしくない行動をした経験を聞いた。すると、「10月に半袖Tシャツで一日を過ごす」(73.4%)、「春なのに鍋料理をする」(61.4%)、「冬にアイスコーヒーなど冷たいものをよく飲む」(58.6%)、「冬に厚手のダウンを着なくなった」(49.3%)が上位に挙げられた。また、「冬でも夏用下着(エアリズムなど)を着る」(38.0%)と答えた人も4割近くいた[図8]。
“ネオ四季”により「大規模な衣替えをしなくなった」が65.8%、男性より女性の変化が大きい
季節感の乱れや気温・気候の変化により以前と変わってきた習慣を聞くと、「大規模な衣替えはしなくなった」(65.8%)、通年素材や通年デザインなどの「シーズンレスのアイテムを常備するようになった」
(58.5%)、「時間帯・場所による寒暖差に対応する衣服を持ち歩いている」(46.1%)など、これまでにはなかった衣類習慣が始まっている。男女別に見るといずれも女性のスコアが高くなっている[図9]。
“ネオ四季”時代の衣類選び3原則「洗える」「シンプル」「合わせやすい」
“ネオ四季”により衣類選びが難しくなっている今、どんなことが衣類選びのポイントとなっているか聞いた。すると、「自宅で洗えるか」(51.7%)がトップとなり、次いで「シンプル」(44.6%)、「色などの
合わせやすさ」(34.1%)、「シワになりにくさ」(30.4%)、「脱ぎ着のしやすさ」(30.1%)が上位に挙げられた[図10]。
アウターは「軽い」「機能性」「おしゃれ」「洗える」、シーズンレスでシーンレスなものを選びたい
アウター選びに対する考え方を聞くと、「コート・アウターはなるべく軽い方が良い」(85.6%)、「アウターはかさばらないものが良い」(83.8%)、「アウターは機能性とファッション性が両立していてほしい」
(80.0%)、「コートやダウンなどのアウターも自宅で洗いたい」(79.3%)といった意見が多く、アウターは軽くて機能的でおしゃれで、かつ自宅で洗えるものが求められている。
また、「どんな季節でも着まわせるものが良い」(78.6%)、「自宅や室内でも気軽に着られるアウターが欲しい」(68.9%)という意見も高くなっている[図11]。季節を問わないシーズンレスで、着る場所も選ばないシーンレスなアウターが求められているようだ。
<「生活者が感じる現代の四季についての調査」調査概要>
●実施時期:2025年9月22日(月)~2025年9月23日(火)
●調査手法:インターネット調査
●調査対象:20代~60代の男女1,000人(男女各500人、10歳刻みで各100人ずつ)
●調査委託先:マクロミル
※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため合計が100%にならない場合があり、表記した数字を合算した値と異なる場合がある
出典元:ユニクロ
構成/こじへい







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