2025年10月3日、東京・お台場にプロバスケットボールBリーグの強豪アルバルク東京の新たな本拠地「TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)」が開業した。
Bリーグは2026年より新制度「B.革新」をスタートする。アルバルク東京が新制度化におけるトップリーグ「B.PREMIER」に参入するには、この新たなホームアリーナが必要不可欠だった。

2026年からBリーグは新制度へ移行
Bリーグは今年、10年目を迎えた。事業規模はこの10年で3.8倍となり、昨シーズンは事業規模700億円超、年間入場者数はB1・B2合わせて480万人超と国内プロスポーツリーグではプロ野球、Jリーグに次ぐ、第3のリーグへと成長した。
輝かしい道程を歩んできたBリーグだが、目指す先はさらに先にある。
「NBAに次ぐ世界2位のリーグ」
Bリーグは、クラブの事業力において世界2位のリーグになることを目指すと公言をしているのだ。ユーロリーグや中国のCBAを上回るためにはクラブの平均売上高が1期20億円を超える必要がある。
そのために10年に渡りファンやクラブと一緒に作り上げてきたシステムを抜本的に見直した改革が行われる。「B.革新」では、昇格降格制度を撤廃した新たなリーグ制度やクラブ同士の実力が均衡するような仕組みが採用される。





新たなB1リーグ=B.PREMIERのライセンス基準は「売上12億円以上」「平均入場者数4,000名」「収容人数5,000人以上でスイートルーム設置など基準を満たすアリーナ」、この3つの基準をクリアする必要がある。
2025年7月に開業した名古屋ダイヤモンドドルフィンズの本拠地「IGアリーナ」(愛知県名古屋市)をはじめ2028年までに25のアリーナが新設・改修される予定になっている。
「トヨタアリーナ東京」もそのひとつ。アルバルク東京がトップリーグに参入するためにはホームアリーナが必要だったのである。
これによりアルバルク東京は、Bリーグが発足していた2016年よりホームタウンにしていた東京都渋谷区から東京都江東区へとホームタウンを移転することとなった。
バスケ観戦がディズニーに行くようなエンタメ体験になる日は来るのか
「間違いなく世界でもトップクラスのアリーナだと確信を持っております」
Bリーグの島田慎二チェアマンはトヨタアリーナ東京の開業記念式典でこのように語った。
トヨタアリーナ東京は敷地面積約2万6446㎡、延床面積約3万8039㎡。地上6階、地下1階。約1万人の観客を収容可能となっている。


10月3日に開催された開幕戦にあたるアルバルク東京対宇都宮ブレックス戦では、チケットは全席完売となり来場者数は9534名にも上った。アルバルク東京の2024-25シーズンの平均入場者数が6965人であったことを鑑みれば大成功のスタートを切ったと言えるだろう。
11月2日に行われた千葉ジェッツ戦でも来場者数は9252人を記録しており、新アリーナ効果は絶大だ。
アリーナはファンの観戦体験を大きく変える。コートまでの近さやライブ演出、観客の一体感…臨場感は他の比ではない。


島田チェアマンはBリーグ公式ホームページで掲載されている特別インタビューでアリーナの意義について熱弁をしている。
「Bリーグのチケットを購入して来場してくださる方々に本当にわくわくしてほしい、快適な環境で試合を観戦してほしい、ディズニーランドに行くような非日常感を1日中感じてほしいと考えております」
そして、Bリーグはアリーナによる地域活性化を狙っている。アリーナにより来場者数が増加すれば飲食・宿泊・交通など様々な面で経済効果が期待できる。B.革新によってBリーグが目指す姿だ。
プロ野球では北海道の「エスコンフィールドHOKKAIDO」がアリーナによる地域活性化を成功させている。
しかしプロ野球とBリーグでは市場規模が大きく違う。Bリーグはトヨタアリーナ東京やIGアリーナで成功例を示すことができるのだろうか。トヨタアリーナ東京の誕生は、単なるクラブの新本拠地誕生ではない。日本のバスケットボールが「地域密着」と「エンターテインメント」を融合させるための次世代に向けた挑戦でもある。
トヨタアリーナ東京が成功するかどうかは、日本のバスケットボール界の未来を左右するだろう。
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