電気・ガス料金支援と教育無償化、給付付き税額控除についてはどうなる?
「冬の電気・ガス料金の支援」
2023年、2024年の夏、2025年年初と夏に行われてきた、電気代ガス代への補助金を、所信表明演説で高市首相が2025年冬に実施すると発言したことから、冬の電気代ガス代の負担は補助金により、低減されそうだ。
「高校無償化、給食無償化」
もともと予定されていた政策だ。2025年に高校無償化による修学支援金(公立高校相当分)にかかる所得制限が撤廃され、さらに2026年は私立高校相当分の加算にも所得制限が撤廃され、2026年度から完全に所得に関係なく、高校が実質無償化される予定だ。
「給付付き税額控除」
実現するか未知数ではあるが、所得税の減税と併せて給付も行う、給付付き税額控除の制度設計を数年かけて行う予定であるとしている。税額控除の場合支払った税金からしか控除できないため、所得が低く税金が少ない人は恩恵が受けられない。併せて給付を行うことで、税金が少ない人も恩恵を受けられる。
なお、消費税減税について、高市首相は、自民党総裁選において、自民党内で反対派が多数だが、議論は続けるとしているとしていた。
一方、金融政策について、高市首相は、逆にインフレを助長してしまう可能性のある政策を述べている。その発言とは、自民党総裁選において、日銀と対話して、金融緩和を継続してもらい、デマンドプル型(需要主導)型インフレを目指すとしていることだ。日銀は2%のインフレ目標を目指してこれまで金融緩和を続けてきたが、その目標を達成し、今後はインフレを抑えるための利上げを行う可能性がある。高市首相の発言から、それに対し、利上げを行わないよう対話するつもりなのだろうか。日銀の利上げが遅れた場合、さらなる高インフレとなってしまうリスクがある。
インフレ下での資産防衛策
これまで、長くデフレが続いていた日本では、まだインフレの世の中に慣れていない人も多いだろう。
ただ、モノの価格の上昇に比べて、賃金上昇はなだらかな上昇となるため、モノの価格上昇に対して追いついていないこともある。
インフレのデメリットは、保有している現金の価値が下がっていくことであることから、の対策としては、主に以下がある。
2025年9月の消費者物価指数(総合)は、前年同月比2.9%である。年利2.9%以上の金利の商品に預けてやっと、インフレによる保有資産の目減りを防げることになる。
(1) 定期預金や円建債券(年利回り1~2%)
余裕資金を金利の高い定期預金に預けたり、債券に預けたりすることで、お金の価値が下がっていくことを避けられる。2.9%以上の金利は望めないが、元本が割れる可能性がほとんどなく、リスクが低い。
(2) 長期日本国債(年利回り3%前後)
満期が30年程度の日本国債は、現在年利回りが3%程度と、消費者物価指数を上回っている。満期は30年と長いが、満期時に元本が返還される。例えば、額面価格の96%で買った場合、満期に向かって価格は100%に近づいていくので、価格が上がったところで満期前に売却するということもできる。ただ、最近は長期金利上昇の傾向があり、さらに進むと、直近で価格が下落する可能性がある。長期に置いておける資金が向いている。
(3) 外貨建預金や外貨建債券、日本株式(年利回り4%)
外貨建ての商品は、円建ての商品より、金利が高く、ドル建債券なら4%前後の利回りを期待できる。一方、円高になったときに円に換えると、為替により元本が毀損する。円高になったときは、また円安に戻るまで保有し続けるとよいだろう。
(4) 日本株式(10%)
日本株式は、高市新首相になり、5万円を上回る高値である。さらなる高値も期待できるものの、下がるときは大きく下がる可能性があり、高い利回りは期待できるかもしれないが、損するリスクも大きいため、高いリスクを取れる資金で短期的な売買に向いているだろう。
新政権のインフレ対策に期待
新政権のインフレ対策として、電気代、ガソリン代が下がることと、減税、給付が受けられることは期待が持てそうだ。
ただし金融政策の如何により、さらなる高インフレの可能性もある。受け身で政策に期待するのではなく、防衛策をとってインフレを乗り切るのがおすすめだ。
参考/統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)
文/大堀貴子







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