革ベルトの腕時計は金属製ベルトと比較して使い込むほどに味が出て愛着がわきやすいところがある。けれどすれたり、はげたり、ヨレヨレになったまま着け続けるのは避けたいものだ。
実は革ベルトを交換することは、意外と効果があるらしい。最近では時計ベルトも“衣替え”のトレンドもあるようだ。高級時計ブランドが交換用ベルトを付属して新品販売するケースも増えているという。
今回は、時計ベルトのブランド担当者に、時計ベルト交換のメリットやトレンド、替え時などを聞いた。
時計ベルト交換のメリット
今回話を聞いたのは、髙島屋や東武百貨店などのデパートの時計売り場にも展開する時計ベルトメーカー、株式会社石国の取締役で、時計ベルトブランド「KUNISTEIN(クニスタイン)」「ROCOTTE(ロコッテ)」の責任者でもある園部幸雄氏だ。時計ベルトを交換するメリットにはどんなことがあるのだろうか。
【取材協力】
園部 幸雄氏
株式会社石国 取締役 ベルト部 部長
時計ベルトブランド「KUNISTEIN」「ROCOTTE」の商品企画・開発を25年間担当ブランド責任者として素材の魅力を活かした商品の開発と、長く愛されるデザイン提案を行っている。
「革製ベルトは、交換することで素材の美しさや品質を楽しみ続けることができます。定期的に交換するのはもちろん、ご自身で簡単に交換できるタイプであれば、交換用のベルトを複数本持ち、ファッションのように付け替えることもできます。
また、時計そのものを買い替えるのは大きな出費ですが、ベルト交換であれば比較的コストを抑えつつ新しい素材や色を取り入れることで、同じ時計でもまるで新しい一本を手にしたような新鮮さを楽しめます」
時計ベルトの替え時
時計ベルトの替え時としておすすめの目安はどのくらいなのだろうか?
「多くの方は『ベルトがボロボロになったら交換』とお考えですが、それだけが替え時ではありません。およそ1年ごとに取り替えるのがよいのではないでしょうか。革は汗や湿気に弱く夏場は劣化が早まりやすいため季節に合わせてベルトを替えることもおすすめです。
またその日の装いに合わせて、カラーや素材を変えることで同じ時計でも印象が大きく変わりファッションの楽しみも広がります。ベルト交換を『消耗したから仕方なく』ではなく『自分らしさを演出する楽しみ』として取り入れていただきたいと思います」
時計ベルトの選び方のポイント3つ
園部氏によれば、「時計ベルトを選ぶ際は、いくつかの視点を持つとコーディネートがより楽しくなります」とのこと。3つのポイントを伝授してもらった。
1.時計本体の色との調和
「一つ目は、時計本体の色との調和です。例えば文字盤、ケースや針の色などと調和させることで全体に統一感が生まれ、時計そのものが引き立ちます」
2.服装に合わせる
「二つ目は服装に合わせること。ビジネスシーンでは落ち着いた色を、カジュアルでは明るいカラーを選ぶなど、シーンに応じて選びましょう。ネクタイの色と合わせて選択されたお客様もいらっしゃいました」
3.最適なサイズ
「三つめはサイズです。合わないものをつけてしまうと落下などの原因になってしまいます。また厚みも重要です。薄手の時計には薄手のベルト、厚手の時計には厚手のベルトを選びましょう。細部まで意識して選ぶと、時計ベルトは単なる消耗品ではなく、自分のスタイルを際立たせるアクセントになります」
ベルト交換は腕時計の満足度を持続させる重要な付加価値
時計ジャーナリストで桐蔭横浜大学教授の並木浩一氏は、ベルト交換はもはや高級時計の常識となっており、一本を長く楽しむための付加価値でもある、と石国のFACTBOOKで語っている。参考までにコメントの一部を紹介する。
【プロフィール】
並木浩一氏
時計ジャーナリスト・桐蔭横浜大学教授
国内外の時計産業を長年研究し、時計ジャーナリストとしてデザイン性や文化的価値を多角的に分析・評論。「GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)アカデミー会員」として国際的な審査にも関わるほか、多数の著書や寄稿、メディア出演の実績も豊富。
「時計の印象はベルトで決まる。交換するだけで “新品の満足感” を得られる」──
30年以上にわたって腕時計を語ってきました。総じて言えることですが、多くの人はベルト交換についてあまり経験がないか、それほど知らないようです。傷んだから交換する、という「修理」のようなことしか思い浮かばないのかもしれません。
しかし、ひとつの時計に1種類のベルトしか合わない、ということはないのです。
しかもベルトが変われば、新品に買い替えたような満足感を得ることもできる。なかなか買い替えにくいような高級時計ならばなおさらです。もう一本時計を買うことと比べて圧倒的にコストパフォーマンスは高く、他人からは新しい時計を買ったようにも見える。高級時計ブランドが最近、交換用ベルト付属で新品販売することが増えているのにもそういう背景があります。
ベルトの交換は、腕時計の満足度を持続させる重要な付加価値なのです。ベルトは腕時計本体と同じくらい、見た目の印象に影響を及ぼします。最近の言い方で言えば、いい時計ベルトは腕時計を「高見せ」するものです。選択のセンスを測られるものでもありますし、ステイタス感とカジュアル感を自在に加重することもできます。
出典:石国「KUNISTEIN FACTBOOK」
秋冬の衣替えに合わせて、時計ベルトも新調してみるのも良さそうだ。交換したいと思ったなら、まず時計ショップなどで交換が必要なタイプなのか、自分で交換できるタイプなのか確認してみよう。
文/石原亜香利
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