気が付くと、コンビニやスーパーなどの品ぞろえをみると、プライベートブランド(PB)がかなり幅を利かせている。なぜここまでPBが躍進しているのか? 各店の人気ランキングをもとに読み解く。
PBの強みは〝安さ〟から〝品質と個性〟へ変化
これまでのプライベートブランド(以下PB)といえば、コスパの良さが最大の武器だった。だが近年のPBが躍進しているのは、その理由だけにとどまらない。
「多少価格を下げても利益率が高く、当初はナショナルブランド並みの品質で安く手に入ることで人気を博しました。しかしそんなPBの常識は2010年に登場したセブン−イレブンの〝金のシリーズ〟をきっかけに、大きく変わったのです」
こう語るのは流通アナリストの渡辺広明さん。通称〝金のシリーズ〟と呼ばれるセブン−イレブンの『セブンプレミアムゴールド』は、同社のPBの中でも最上級ブランドとして位置づけられている。
「値段が多少高くても価値がある。それが受け入れられたことで、PBの新たな強みが浸透しました。20年以降はさらに進化し、今度は特定のマーケットに合わせた商品をつくるようになりました」
では今後も小売業界におけるPBの勢力拡大は続くのだろうか?
「価値観が多様化している以上、ニッチな商品開発は今後も求められると思います。そう考えればナショナルブランドよりもフットワークが軽いPBが注目される傾向は、今後も続くと思いますね」

流通アナリスト
渡辺広明さん
コンビニに22年間勤務し、約16年間バイヤーを経験。現在も約760品目の商品開発に携わっており、PB事情にも詳しい。講演や報道、メディア出演と幅広く活動中。
CODE 主要PB 商品購入個数と消費者物価指数 推移
※リサーチ・アンド・イノベーション調べ

レシートがお金にかわるアプリ『CODE』で収集したデータからイオンとセブン&アイグループの動向を分析。消費者物価指数推移と比べると、物価上昇に伴いPB購入数も増加しているのがわかる。
コンビニエンスストア
セブン-イレブン
『金のシリーズ』ランキング

『セブンプレミアム』の最上級ブランドとして2010年に登場。当時から販売されていた『金のハンバーグ』は累計販売数1億7000万個を突破。13年に発売され、わずか4か月後に1500万個を売った『金の食パン』とともに不動の人気に。
ファミリーマート
『コンビニエンスウェア』ランキング

ファッションデザイナーの落合宏理氏との共同開発により、2021年から全国の店舗で展開。3月から7月の売上は昨年同時期の160%超えを記録している。特にこの夏は出先での暑さをしのぐべく、日傘やTシャツが大ヒットした。
ローソン
スイーツランキング

累計販売数5億個超えの『プレミアムロールケーキ』。それだけにとどまらず、多種多様なスイーツを送り出し、確実にヒットさせる。今年は〝もちぷよ〟〝ふわもち〟系のスイーツが好調。
スーパーマーケット
イオン
トップバリュ冷凍食品ランキング

今年2月、『トップバリュ』が発売した冷凍『スライスきゅうり』が浅漬けなどを簡単にできると大ヒット。イオンでは冷凍野菜だけで100品目以上リリースしており、上位にランクイン。冷凍野菜という新トレンドを生み出した。
ドラッグストア
マツモトキヨシ
化粧品ランキング

ドラッグストアのPB展開で業界を牽引し、中でも化粧品展開が好調。1位の『超高圧ビタミンC ミスト化粧水』はビタミンCと保湿成分を贅沢に配合したミスト化粧水。成分を重視する〝成分買い〟のSNSトレンドにマッチした。
ホームセンター
コメリ
カー用品ランキング

クルマ社会の地方都市に多く展開するコメリは、カー用品のPB商品が豊富。売上1位はバンパーの汚れやヘッドライトの黄ばみなどを落とせるプロ仕様のアルカリ洗浄剤。クルマの悩みをピンポイントに解決する商品展開が好評だ。
300円ショップ
3COINS
推し活グッズランキング

推し活の市場は今や1兆円規模ともいわれるが、3COINSでは推しの写真や缶バッジなどを見せるクリアポケットが搭載されたバッグ類を豊富に展開。ほか推しのぬいぐるみを生活に取り入れる〝ぬい活〟グッズも大人気だ。
バラエティー
ドン・キホーテ
『偏愛めし』シリーズランキング

2023年よりオリジナル弁当&惣菜ブランドとして展開。以来、特定の人にだけ刺さる〝偏愛〟のコンセプトで大反響となっている。今年人気だったのは具がはみ出す〝はみだしすぎィ〟シリーズのおにぎり。見た目からもう満腹に!
取材・文/高山 惠 編集/寺田剛治
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2025年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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