難易度が高すぎて、絶望が広がる「黒猫あわせ」
次に、「難易度が高すぎる」とSNSで悲鳴があがっている「黒猫あわせ」に挑戦。
並べてみると、予想以上に見分けがつきにくい。確かにどの猫ちゃんもかわいいが、「ポメあわせ」で威力を発揮した「萌えポイントニックネーム作戦」も、このそっくりさの前では無力。「グリーンのお目目がかわいい」と思っても、どの黒猫もだいたいそうだし、「白髭がキュート」と思っても、すべて白髭。
あまりに違いがわかりにくいので、脳がバグってゲシュタルト崩壊を起こし、同じカードを並べていても違う黒猫に思えてきてしまう。ペアで揃えたものを落としてバラバラにしたら、二度とペアに並べられないのでは、と恐怖するほどのそっくり加減だ。
12枚の簡易バージョンでやっても、まったく手も足も出ない…、と思いきや、無類の猫好きの夫がおどろきの速さで6組を揃えてしまった。ちなみに夫は、保護猫の譲渡会の取材につきあわせた時も「見たらどの猫も連れて帰りたくなって心が張り裂けるから」と会場に一歩も入れなかったほどのガチの愛猫家。筆者は普通程度の猫好き。こちらでも、「愛の強さとゲームの強さが比例する」ことが証明されたようだ。
(簡易バージョンではあるが)試してみて感じたのは、難易度の低いほうの「ポメあわせ」であっても、初見では難しいということ。初めて遊ぶ時には、特徴を頭に入れる「記憶タイム」を設けてから始めるのがおすすめ。でないとやってもやっても永遠に揃わない“罰ゲームゾーン”に入ってしまう可能性がある。「黒猫あわせ」は(筆者程度の“ふつうの猫好き”には)それでも厳しいかもしれないので、覚悟が必要だ。
ポメラニアンは個体差の大きさで、黒猫は保護猫支援の視点で選択
このカードゲームを企画販売している「株式会社ヒャクマンボルト」は、ライターや編集者が中心となり、企業のWEBメディア記事、SNSコンテンツ、映像制作などを手がけているコンテンツプロダクション。失恋の経験を語ると無料になる美容室「失恋美容室」や、無名のライターを発掘する登竜門イベント「ENTER」など、自社のプロダクトやコンテンツも多数企画している。
同社代表の酒井栄太氏によると、酒井氏自身が犬と猫を飼っていて、「自分には愛犬や愛猫がどれかわかるけど、他人には判別できない」という会話を仲間内でしたのが「犬や猫の顔を“見分けるゲーム”が作れるのでは?」と着想したそう。「そこから始めて、“飼い主だからこそ気づける愛情”を込めた企画に育てました。第一弾の犬種をポメラニアンしたのは、日本でも人気犬種でありながら、『たぬき顔』『きつね顔』など個体差も大きく、見分ける面白さにぴったりの犬種だったからです」(酒井氏)。酒井氏が実際にポメラニアンと暮らしていることもあり、協力者集めもスムーズに進められたそうだ。第二弾で「黒猫」と、いきなり難易度をあげたのは、「難しければ難しいほど話題になるのでは?」と考えたことと、保護猫支援の側面も込めて選んだとのこと。
「制作でもっとも難しかったのは、協力いただけるわんちゃんやねこちゃんを集めることでした。保護犬猫団体の方々に相談する上で、はたしてこうしたテーマをエンタメコンテンツとして扱って良いものか、勉強不足な私に色々と親切にご指南くださいました。また現場のリアルを知ることで、よりこの商品が持つ可能性と使命感を感じることができました」(酒井氏)。
主な購入者層は、犬や猫を飼っているペットオーナー(20~50代女性が中心)、子どもと遊べる知育ゲームを探しているファミリー層など。またカフェ・ショップ・動物イベント会場で遊べるミニアクティビティを求める施設の担当者や、推し活・我が子推し文化と相性の良い、写真好き・コレクター気質なユーザー、難易度の高いゲームを好むボードゲーム愛好家なども購入しているそう。購入者からは「ポメ飼い同士で盛り上がった!」「子どもでも簡単に遊べるのが嬉しい」「保護団体への寄付もできるのが良い」「黒猫あわせが難しすぎる」といった感想が多く寄せられているそうだ。
「シンプルなルールで大人から子どもまで幅広く遊べる、かわいい動物の写真のため、コレクション性・ギフト性が高い、売上の一部が保護犬猫支援に寄付されるなど、購入で社会貢献できる、SNS上で有名なインフルエンサー犬、猫が画像に採用されているなども、人気の要因だと感じています」(酒井氏)
同社では第三弾として「トイプあわせ(トイプードル版)」を2025年11月に発売予定。以降も人気犬種、猫の模様別、小動物(インコ・ハムスターなど)など、展開を拡大していく予定だという。また保護団体との連携も継続し、売上の一部を寄付する“社会性のある遊び”として育てていきたい考えだ。
取材・文/桑原恵美子
取材協力/株式会社ヒャクマンボルト







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