日産「セレナ」は1991年の初代発売以降30年もの間、ユーザーのニーズに合ったモデルづくりで、高い人気を保ってきた。
現行モデルも2022年にフルモデルチェンジしたモデルだが、絶え間ない改良と、新機構の追加で人気を維持。2024年の年間販売台数ランキングでは軽自動車を含めた新車販売台数で、総合11位に入っている。
これは1BOXのミニバンではトップ。2位はトヨタ「アルファード」で総合順位では13位に入っている。
写真25枚掲載!「セレナ e-4ORCE/e-POWER」正直レビュー
発売当初はガソリン車の2WDだけだったが、e-POWERを追加発売し、さらに4WD車も投入、2024年には4WDモデルの機構を電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」に変更。フロントとリアにモーターを配し、左右のブレーキと共に統合制御を行うことで4輪の駆動を最適化した。前輪駆動のe-POWERは、3気筒1.4Lガソリンエンジン+フロント交流同期モーター、4WDのe-4ORCEは1.4Lガソリンエンジン+フロントとリアに交流同期モーターを搭載している。
試乗は、FFのe-POWERと4WDのe-4ORCEで行なった。最初に、最新の「e-4ORCEハイウエイスターV」に試乗した。雪道やオフロード用4WDではなく、オンロードでの使い勝手を考慮した駆動力配分が可能なのが特徴。スタートはモーター。今回からe-4ORCEにはDRIVE MODEに「スノー」が加わり、「スポーツ」「エコ」「スタンダード」の計4モードが設定された。
「スタンダード」で走り始める。スタートからタイムラグなく、動き出す。フロント163PS/315Nm、リア82PS/195Nmのモーターが駆動を開始する。日産の電動車は、エンジンはモーターへの電力供給に使い、駆動には使われていない。この方式が日産のEVの考え方のひとつだ。電池の充電量が減ってくると、充電のためにエンジンがかかる。振動とうなり音はやや大きめ。運転をしているとそれがわかる。
各ギアのシフトはインパネ中央にあるボタンを押して行なう。P、R、N、D/Sが一列に並んでいるが、日産はRとD/Sのスイッチの表面に凸部をつくり、指の感触でRとD/Sはわかるように工夫している。同じ形状のスイッチが並ぶと、操作するときに目線を向けなければならない。スイッチの表面に印が付いていれば、指の感触でシフトができる。こういう細かい配慮も「セレナ」の魅力だ。
「スタンダード」モードでの走りはやや重めの操舵力が高速域までキープされるが、コーナーや高速道での上下動はやや大きめ。直進時もレーンチェンジでのロールがやや大きめだった。「スポーツ」モードを選択してもコーナーで路面の凹凸に遭遇すると横揺れを感じた。乗り心地は「スタンダード」より硬めなので、乗車定員が多いときは、こちらのモードのほうが安定感があるはずだ。
モーター走行での動力性能は、スポーツカーレベルだ0→100km/hの加速は8秒台。スタートからの加速は、ファミリー仕様らしく、急なGを感じさせないが、結果として速く(遅くない)走ることができる。
居住空間に関しては使い勝手のよさ、クオリティの高さはミニバントップクラスといってよいだろう。
運転席からの視界の良さは当然だが、2列目、3列目はサイドスルー、ウォークスルーもできる。2列目は手動でスライドするが、最前でも乗降できる。もちろんその時、3列目の乗員も乗降できる。
3列目の着座は高めで、前方視界が良く、閉所感はない。足元は2列目が中間ポジションだと、狭くない。3列目からは2列目のシートをペダルで動かすこともできる。2列目背もたれにテーブルも内蔵されているので、ドライブは快適だ。
ラゲージスペースは3列目を使用した状態だと奥行きは約380mmだが、3列目を左右にハネ上げると、1100mmの長さが確保される。
ラゲッジスペースで使い勝手が良かったのが、リアゲートのガラス部分が独立して開閉すること。しかもゲートのガラス位置が路面から1m程度なので、小柄な人でも荷物の出し入れが苦にならない。
ラゲージスペースの床下にもサブトランクが設けられている。こちらも深さ約20cmほどなので、使い勝手はよかった。サイズも大きすぎず、フルチェンジから年月を経過しているのに、いまだに1BOXミニバンのベストセラーというのが理解できた。







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