『鬼滅の刃』映画第2作のヒット、そして『ちいかわ』の国民的ブーム──2025年の話題作に共通するのは、SNS発の〝短期集中型トレンド〟の波をつかみきれたことだった。
SNSがトレンドをコントロールする時代に
成長著しいコンテンツ業界。2024年度の市場規模は前年比1.1%増と、過去最高を記録した。ニッセイ基礎研究所の廣瀬涼さんは現代の消費行動を「リキッド消費」と形容する。
「SNS発で自然発生的にトレンドが起こり、消費サイクルも速いのが特徴。今年はそのスピード感に、消費者だけでなくコンテンツ提供側も順応してきた印象です」
代表例が映画『8番出口』やヒット曲『AiScReam』だ。
「SNS発トレンドは、共感や参加性を起点に、支出行動につながりやすいコアファンが多く生まれます。半面、ファン層の裾野はSNSやその界隈内にとどまり、社会全体には拡散しづらい。そこで両者は不足するリーチ力をマスメディアで補完し、成功しました」
この動きは一過性ではなく、主流化すると廣瀬さんは指摘する。
「このスピード感に対応できるSNSは、いずれインフラ化するでしょう。今後は狙う顧客層に合わせたSNSの選定が鍵を握ります」


ニッセイ基礎研究所
生活研究部 研究員
廣瀬 涼さん
〝オタクの消費〟を主題に、消費欲求の源泉を長年にわたり研究。現在は若者を中心とした現代消費文化論を専門とする。著書に『タイパの経済学』(幻冬舎新書)。
2025年リーチ力・支出喚起力ランキング
音楽アーティストではMrs. GREEN APPLEが
リーチ力・支出喚起力両方のランキングで跳躍

2025年も『鬼滅』が一世を風靡!
7月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の世界累計興行収入が日本映画の歴代1位を樹立した。本作や『国宝』など、今年は長尺映画が話題になるケースが目立つ。「近年の映画は大衆全体よりも熱量の高いファン層をターゲットにする傾向です。観客は話題作だから、作品や出演者のファンだからといった明確な動機で劇場に足を運ぶ。長さは障壁にならず、むしろ良質な作品をじっくり鑑賞することで高い満足感を得られるのです」(廣瀬さん)

話題作は長尺化の傾向に!


ちいかわ旋風が巻き起こすIP業界の新時代
2025年7月に『ちいかわパーク』が開業するなど、その人気は依然拡大中。「グッズ展開のスパンが短く、ファンは収集欲を満たし、一般層もキャラそのものの可愛さを知る機会が増えました。結果、コンテンツ自体が大衆化しつつあります」(廣瀬さん)


〝NEXTちいかわ〟の座を狙うキャラクター続々

ちいかわのようにSNS発でバズり、グッズやメディアミックス展開でトレンドの波に乗るIPが国内外で増えている。〝NEXTちいかわ〟候補はコチラで一挙紹介!
加速する音楽グループの公開オーディション化
2025年2月に再スタートしたtimeleszなど、公開オーディションで生まれるグループが増えている。「新人たちの成長物語をリアルタイムで追いかけながら、コアなファン同士で盛り上がるのはまさに推し活の原体験。切り抜き動画やSNSの発展も追い風となり、楽しみ方が多様化しています」(廣瀬さん)

文/桑元康平=すいのこ 撮影/木村圭司(ちいかわパーク)







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