高額のお金を払ってエステサロンや脱毛サロンのコースを契約したものの、やっぱり取り消したい……そう考えている人もいるかと思います。
エステや脱毛などの長期契約は、クーリングオフ・中途解約・契約取消しなどの方法で解消できることがあります。どのような場合に契約解消が認められるのかを、法律のルールに沿って確認してみましょう。
1. エステや脱毛などの契約を解消する方法(1)|クーリングオフ
「クーリングオフ」とは、消費者と事業者が締結した契約について、契約締結後一定期間は消費者側からの解除を認める制度です。
消費者がよく考えずに契約を締結してしまいがちなケースや、高額の契約となることが多いケースなどについてクーリングオフが認められています。
1-1. クーリングオフができるケース
エステや脱毛の契約は、以下の要件をいずれも満たす場合には「特定継続的役務提供」に該当し、クーリングオフの対象となります。
・契約期間が1か月を超えること
・契約金額が5万円を超えること
1-2. クーリングオフの期間
エステや脱毛の契約をクーリングオフできるのは、契約書面の交付を受けた日から起算して8日間です。たとえば11月1日に契約書面を受け取った場合は、11月8日がクーリングオフの期限となります。
契約書面の交付を受けていなければ、クーリングオフ期間は進行しないため、いつでもクーリングオフができます。
また、契約書面には特定商取引法所定の事項を記載しなければなりません。記載事項に不備がある場合もクーリングオフ期間は進行せず、いつでもクーリングオフが可能です。
1-3. クーリングオフの方法
クーリングオフは発送の時点で効力を生じるので、発送の記録が残る方法で行う必要があります。具体的な方法としては、以下の例が挙げられます。
・特定記録郵便
・簡易書留郵便
・内容証明郵便
・電子メール
など
クーリングオフ通知に記載すべき主な事項は、以下のとおりです。
・相手方の名称(宛先)
・契約年月日
・契約者名
・契約したプランの名称
・契約期間
・契約金額
・クーリングオフをする旨
・クーリングオフ通知の発送日
・自分の住所、氏名
2. エステや脱毛などの契約を解消する方法(2)|中途解約
エステや脱毛の契約が特定継続的役務提供に当たる場合は、クーリングオフ期間が経過していても、将来に向かって契約を解除することができます。
まだ受けていない施術の費用は返金を請求できますが、以下の違約金がかかることがあります。
■中途解約時の違約金の上限額
サービスの提供開始前:2万円
サービスの提供開始後:以下のうち、いずれか低い金額
・2万円
・契約残額の10%
3. エステや脱毛などの契約を解消する方法(3)|契約取消し
エステサロンや脱毛サロンが不適切な方法で勧誘をしてきた場合は、契約を取り消せる可能性があります。
たとえば以下のような場合には、エステや脱毛の契約を取り消せます。
・重要な事項について、事実と異なる説明を受けた。
・不確実な事項を「確実だ」と説明された。
・不利な情報が説明されなかった。
・自宅に居座られた。
・退去しようとしたのに、強引に引き留められた。
・退去が難しい場所に連れていかれた。
・他人に相談しようとした際、無理やり止められた。
・将来の不安を煽られた。
・恋愛感情に付け込まれた。
・判断能力が低下していることに付け込まれ、不安を煽られた。
・霊感商法を受けた。
・契約を締結する前に施術がなされ、代金を請求された。
・必要な回数に比べて、契約上の施術回数が多すぎる。
4. エステや脱毛の契約トラブルに関する相談先
エステや脱毛のコースを不本意に契約してしまったときは、消費生活センターか弁護士に相談してください。
とりあえず無料で相談してみたいなら、まずは消費生活センターへ連絡してみましょう。全国各地に窓口が設置されているほか、消費者ホットライン(188)からも電話相談ができます。
参考:全国の消費生活センター等|独立行政法人国民生活センター
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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