日本郵便は国際郵便の小形包装物の書留サービスを2025年12月31日で終了する。海外向けの発送が多い個人や法人・個人事業主が知っておきたい変更点と代替の発送手段についてまとめた。
目次
日本郵便は、2025年12月31日(水)をもって国際郵便の「小形包装物(書留付)」の取り扱いを終了する。これに伴い、貴重品や特定の物品を書留付きの小形包装物で送ることもできなくなる。
海外へ荷物を送る際に利用されてきた小形包装物の書留サービスがなぜ終了するかの背景と、今後はどのような方法で国際郵便を送ればよいかの代替手段を詳しく解説する。
小形包装物の書留サービスとは?誰が使っていたの?
まずは、日本郵便が取り扱う国際郵便の小型包装物について押さえよう。今回の終了は書留サービスのみなので、海外向けに荷物を発送する人は今後も利用する機会があるはずだ。
■小形包装物(Small Packet)とは?
小形包装物とは、小形・軽量の物品を海外へ送る際に利用できる日本郵便の国際郵便サービスを指す。重量2kg以下、サイズは長さ+幅+厚さの合計が90cm以内(ただし長さは60cm以内)という制限があるものの、航空便での発送が可能。商品見本や小型の物品などを送る際に適している。
小形包装物は、手紙やはがきと同じ「通常郵便物」として扱われるため、国際小包とは異なる料金体系が適用される。郵便物の名あて面の左上部に「Small packet」または「Petit Paquet」と表示する必要があり、包装は密封・開封のどちらでも構わない。
■小形包装物の書留オプションと普通郵便の違いは?
小形包装物には、通常発送の他にオプションとして書留を付けることができた。書留サービスを利用すると配達記録が残り、追跡機能が利用できる上、万一の紛失時には損害賠償を受けることも可能だ。そのため、重要な物を送る場合は書留オプションが推奨されていた。
また、貴重品(貴金属・宝石等)や生きた動物といった特定の内容物については、国際郵便約款により書留付きでの差し出しが義務付けられていた。
■小形包装物の書留サービスが人気だった理由
小形包装物の書留サービスは、比較的安価な料金で追跡・補償付きの国際配送ができる手段として多くの利用者に支持されていた。
2kg以下の小型荷物を送る場合は、国際小包やEMSよりも料金が安く、個人のフリマアプリ利用者や小規模事業者にとって便利なサービスだったと言えるだろう。
また、50通以上を同時発送する場合に大量郵便物割引が適用される点も、海外の顧客に商品を発送する事業者には魅力的だった。
■普通扱いの小形包装物は継続
今回終了となるのは、小形包装物の書留オプションとなり、書留なしの小形包装物(普通扱い)は引き続き利用できる。ただし、書留サービスの追跡機能や配達記録機能、補償機能は付帯しないため、重要度の高い物品を海外に発送する場合は、次に紹介する代替サービスの利用を検討しよう。
小形包装物の書留に代わる代替サービスと国際郵便料金を比較
小形包装物の書留を利用していた場合は、それに代わるサービスをチェックしておきたい。日本郵便が取り扱う国際郵便の種類と料金を見てみよう。
■小形包装物(書留付)の代替となる国際郵便サービスは?
書留付き小形包装物の終了に伴い、以下のサービスが代替候補となる。
・国際eパケットライト
2025年3月3日から再開された追跡サービス付きの国際郵便サービス。2kgまでの小型荷物を航空便で送ることができ、ポストに投函配達される。追跡は可能だが、損害賠償サービスは付帯しない。
【料金】
アジア地域(第1地帯:中国・韓国・台湾)への2kgまでの荷物:航空便のみ2,620円
アメリカ(第4地帯)への2kgまでの荷物:航空便のみ5,190円
・国際小包(航空便/船便)
追跡サービスと配達記録サービスが付き、重量に応じた基本補償(最大31,230円)も付帯する。保険オプションを追加して補償額を増やすことも可能(保険金額2万円まで+400円)。航空便と船便から選択でき、急がない荷物は船便を選ぶと料金を抑えられる。
【料金】
アジア地域(第1地帯:中国・韓国・台湾)への2kgまでの荷物:航空便3,700円、船便2,600円
アメリカ(第4地帯)への2kgまでの荷物:航空便6,700円、船便3,300円
※参考:国際小包 – 日本郵便
・EMS(国際スピード郵便)
追跡・記録・補償がすべて付いた最速の配送サービス。高額商品や急ぎの荷物の発送に適しており、多くの国に数日で届けることができる。料金は他の国際郵便よりも高め。スピードと安心感を重視する場合に向く。
【料金】
アジア地域(第1地帯:中国・韓国・台湾)への2kgまでの荷物:航空便のみ3,400円
アメリカ(第4地帯)への2kgまでの荷物:航空便のみ7,900円
・小形包装物(普通郵便扱い)
書留なしの小形包装物は継続して利用できる。追跡機能や補償サービスは付帯しないが、最も安価に国際郵便を送る方法の一つ。
【料金】
アジア地域(第1地帯:中国・韓国・台湾)への2kgまでの荷物:航空便2,250円、船便2,200円
アメリカ(第4地帯)への2kgまでの荷物:航空便4,820円、船便2,200円
※参考:小形包装物 – 日本郵便
■小形包装物の書留終了に伴う国際郵便のコスト変化
書留付きの小形包装物から国際小包やEMSに切り替えた場合、多くのケースで配送コストが上がる。送付物の価値や重要性、配達の緊急性などを総合的に判断して、最適な国際郵便サービスを選ぶことが重要となるだろう。
国際郵便をお得に送るコツと便利なサービス

ここでは、国際郵便をお得に利用するコツと豆知識を紹介する。
■シチュエーション別のおすすめ配送方法
先述の通り、国際郵便は必要に応じて利用するサービスを柔軟に選ぶのがおすすめだ。以下にシチュエーション別のおすすめ配送方法を紹介する。
・追跡が必要な場合
国際eパケットライト、国際小包、EMSが選択肢となる。補償が不要であれば国際eパケットライト。急がない荷物であれば国際小包の船便も料金を抑えられる。EMSは料金が高いため、配達スピードと予算のバランスを見極めたい。
・とにかく安く送りたい場合
小形包装物(普通)が引き続き最安の選択肢となる。紛失や破損のリスクを許容できる物品に限定して利用するのがおすすめだ。
・急いで送りたい・高額な商品の場合
EMSが最適。多くの国に数日で届き、追跡・補償も充実しているため、安心して送ることができる。
・貴重品(貴金属・宝石等)の場合
保険付小包郵便物の利用が必須となっている。従来の小形包装物(書留付)では送れなくなるため、必ずこの方法を選択したい。
■国際郵便をお得に利用する方法は?
国際郵便の送料を抑えるには、送付物の重量とサイズを可能な範囲で軽量化・コンパクト化することも重要だ。国際小包の場合は、同じ送り主が10個以上を同時に発送する場合に割引が適用される(同時差出)ためチェックしておこう。
※参考:割引サービス – 日本郵便
また、国際郵便を頻繁に利用する場合は、「国際郵便マイページサービス」に登録すると、EMSや国際eパケットライトの発送に必要な税関電子データの送信やオンラインラベル作成ができる。郵便局での手続きがスムーズになるのでおすすめだ。
民間の配送サービスとの併用も視野に入れておきたい。荷物の内容や送付先によっては、日本郵便以外のサービスが適している場合もある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/長尾尚子
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