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日本開催となる『東京2025デフリンピック』が目前に迫ってきた。11月15日から26日までの12日間、世界各国から選手、関係者を含めて約6000人が参加する、きこえない・きこえにくいトップアスリートが繰り広げるスポーツの祭典。その見どころについて、同大会の広報担当、東京都スポーツ推進本部の金澤聖訓さんに聞いた。
東京大会は日本初開催で100回にあたる記念大会
Q.東京大会は第25回、しかも100周年の記念大会とのことですが、日本はいつから参加しているのでしょうか?
A. 1965年開催の第10回アメリカ・ワシントンの大会から参加しています。
1965年に開催された、第10回アメリカ・ワシントン大会が最初です。当時の大会規模は27の国と地域、選手数687人。日本からは7人の選手が参加しました。以降、毎回日本選手団が参加し、年々好成績を収めています。前回のブラジル・カシアスドルの大会では、コロナの影響もあり途中帰国を余儀なくされましたが、金メダル12個、銀が8個、銅メダル10個と、これまで最も多いメダルを獲得しました。
Q.どんな競技がどこの会場で行なわれるのでしょうか?
A.ほとんどの競技が東京の身近な会場で行なわれます。
自転車競技が静岡県伊豆の修善寺にある「日本サイクルスポーツセンター」、サッカーが福島県の「Jヴィレッジ」で行なわれる以外、すべて東京で開催されます。
例えば水泳競技は、「東京アクアティクセンター」、陸上競技は「駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場」が中心になります。
中でもユニークなのが、マラソンコース。東京高速道路、通称「KK線」と首都高速道路高速八重洲線の新橋から汐留JCT間を使用した周回コースで実施します。「KK線」は、今年4月に廃止され、自動車専用道路から歩行者中心の公共的空間に転換される予定で、今はちょうどその移行期間。その中で選手を応援できるのも貴重な体験になるのではと思います。
さらにオリエンテーリングも特徴的です。オリエンテーリングは、地図とコンパスを使い、指定の地点を通過してゴールを目指す競技ですが、「日比谷公園・日比谷エリア」と、国土地理院が発行する地図に日本で唯一、〝砂漠〟と表記される「伊豆大島・裏砂漠」という、両極端の会場で実施されます。

そのほかの競技も、皆さんが一度は訪れたことのあるような身近な会場で行われますので、ぜひ多くの方に足を運んでいただき、選手たちにエールを送ってほしいですね。ちなみに、射撃会場を除き、どの会場も入場無料で、予約も不要ですので、その日にふらりと訪れることも可能。ホームページの情報を参照して、熱戦を近くで感じていただければと思います。また、会場に足を運べないという方には、YouTubeのライブ配信がありますから、この期間、デフアスリートたちの活躍に注目してほしいと思います。
デフアスリートへ〝目で伝わる〟応援を!
Q.きこえない・きこえにくい選手たちの大会ということで、特別なルールがあったりするのでしょうか。
A. 主に国際手話言語によるコミュニケーションや視覚的に保証された環境で行なわれます。
参加資格を持つのは、裸耳できこえる音が55dB以上で、かつ、各国のろう者スポーツ協会に登録しているアスリートたち。55dBというのは、ふつうの声での会話が聞こえないレベル。公平を期すため、選手たちは、会場に入ると、練習、試合に関わらず、補聴器等の使用は禁止されています。
競技は基本的にオリンピックと同じルールで運営され、国際手話言語によるコミュニケーションや視覚的に保証された環境で行なわれます。とはいえ、世界に手話言語は200以上あり、国際手話言語を知らない選手も多い。そこで音の代わりに光や動作、デジタルデバイスの活用で、〝目で見てわかる〟形での競技運営が行われます。
Q.「デフリンピック」の観戦ははじめてです。どのように応援すればよいでしょうか。
A. “目”で伝わる応援のカタチ「サインエール」でぜひ応援してください
きこえない・きこえにくいアスリートに応援を届けるために、日本の手話言語をベースにし、動作で応援する「サインエール」が開発されました。「サインエール」は、「行け!」「大丈夫 勝つ」「日本 メダルを つかみ取れ!」の3つが基本。ろう者を中心にしたメンバーでデフアスリートたちと共に開発されたこの応援方法をぜひWebサイトで確認して、熱いエールをおくっていただきたいです。

https://www.tokyoforward2025.metro.tokyo.lg.jp/news241217/
Q.今回は、70~80か国・地域からきこえない・きこえにくい選手や関係者が来日します。その方々とはどのようなコミュニケーションの手段が用意されているのでしょうか?
A. 〝ユニバーサルコミュニケーション(UC)〟で交流を。
カギとなるのが〝ユニバーサルコミュニケーション(UC)〟です。前述のとおり、世界には手話言語が200以上ありますし、国際手話言語ができる方も少ない。そこで、様々なデジタル技術を活用したUCで、選手や関係者のコミュニケーションを円滑に進めていきます。
競技会場では、音声を多言語で表示する「透明ディスプレイ」を総合受付に設置し、会場スタッフが多言語翻訳タブレットを携帯するなどして、選手や関係者と円滑にコミュニケーションできるようにします。また、卓球とバドミントンでは競技音を可視化し擬音で体感できる「ミルオト」を活用するなど、観戦の新たな楽しみ方も提供します。
UC技術体験や各国選手との交流の場所も設けられる
Q.競技会場以外に、デフリンピックを楽しめる場所はありますか?
A. 国立オリンピック記念青少年総合センターに「デフリンピックスクエア」を設置します。
1964年の東京オリンピックの際に選手村の一部として設けられ、現在「国立オリンピック記念青少年総合センター」となっている場所に〝デフリンピックスクエア〟が設置されます。大会運営本部やメディアセンター、選手のウォームアップエリア等の大会運営拠点としての機能に加えて、一般の方が楽しめるスペースが設けられます。ろう者の文化や日本の伝統芸能の発信などを実施するホールコンテンツに加え、最新のUC技術を体験できる「みるTech」、カフェスペースなども設置、スタンプラリーやヘブンアーティストによるパフォーマンスも実施します。選手が立ち寄るエリアになりますので、交流できる機会があるかもしれません。
デフリンピックスクエアや大会の詳細は、大会公式サイトに公開していきますのでぜひご参照ください。
試合会場で、デフアスリートたちの視覚を極限まで研ぎ澄ました駆け引きを観戦し、声援を送り、デフリンピックスクエアに出かけて国際交流を体験する。いよいよ11月15日に熱戦の火蓋が切って落とされる『東京2025デフリンピック』。〝音なき五輪〟の熱狂と感動をしっかりと胸に刻みたい。
【SPECIAL COLUMN】メダルが期待できる競技や選手は?
東京での初開催、しかも100回目となる記念大会、日本人選手の活躍も気になるところだ。中でも編集部が注目しているのは、陸上競技。駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場などで行なわれ、短距離走、中・長距離走、リレー、ハードルなどトラック競技のほか、跳躍や投てきなど、フィールド競技まで、見逃せない競技が目白押し。様々な陸上競技を一度に観戦できるので、おすすめだ。前回のブラジル大会、男子100mで金メダルを獲得した佐々木琢磨選手の活躍にも期待したい。
そのほか、前回大会では新型コロナの影響で途中帰国せざるをなったものの、実は準決勝まで進出していたバレーボール女子にも注目。さらに、水泳や柔道、卓球、テニスなど、日本選手団はこれまでたくさんのメダルを獲得しているので、どの競技も素晴らしい試合になるはずだ。
また、これまで中央競技団体が無い等の理由で選手の発掘・強化が進んでいなかったハンドボール、射撃、テコンドー、レスリングについて、昨年6月に有望な選手の発掘を目的として、東京都がトライアウトを実施。今回初めて全21競技に日本選手が参加する。彼らの活躍にも期待したい!
【第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025 開催概要】

大会期間/2025年11月15日(土)~26日(水) 12日間
参加国/70~80か国・地域
参加選手数/約3000人(ほかスタッフ約3000人)
競技数/21競技(陸上、バドミントン、バスケットボール、ビーチバレーボール、ボウリング、自転車(ロード、マウンテンバイク)、サッカー、ゴルフ、ハンドボール、柔道、空手、オリエンテーリング、射撃、水泳、卓球、テコンドー、テニス、バレーボール、レスリング(フリースタイル・グレコローマン)
競技会場/東京体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場、東京高速道路及び首都高速道路高速八重洲線の一部ほか
観戦無料・予約不要
https://deaflympics2025-games.jp/#gsc.tab=0
取材・文/松尾直俊







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