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暗い環境で照明も点けず、動画撮影をしなければならない時がありますよね。しかも、動きのあるものやズーム撮影が必要な場合もあります。
そんな動画に不向きな環境で、iPhone 17はどのような性能を発揮するのでしょうか?
iPhone 14やiPhone 15、iPhone 16と比較しながら、実際に撮影して検証してみます。
暗所で動きのあるものを動画撮影
まずは、暗い環境で動きの激しいものを撮影します。

夜間の室内で蛍光灯を点灯せず、USBに接続する小型のリングライトのみで撮影します。
使用したのはメトロノームです。
一定のリズムで振り子(針)を動かすので、被写体ぶれの確認にピッタリです。もちろん、ウェイトの位置でテンポを変えられます。
メトロノームの目盛りは1分間に刻む拍の回数(BPM:Beats Per Minute)を示しています。
今回の検証は、BPM72と160のテンポで比較します。
また、リングライトの照明をAパターンではメトロノーム本体へ直接当てるもの。Bパターンは撮影台から高さ2mほどの天井にバウンス(反射)させたものとしています。
ちなみにBパターンで静止画撮影を試したところ、シャッター速度は1秒近くなり、手持ちでカメラのピントを合わすには、かなり厳しい状態でした。
以上、BPM72とBPM160の2パターンに、照明A、Bの2パターンを組み合わせて、合計4パターンで撮影します。
■1.BPM72、照明A(明)パターン
まずは明るい状態を設定。BPM72にてiPhone 17の動画を撮影します。

iPhone 17の場合、被写体ぶれは少なく、微妙な手ぶれが出ます。
ただし、撮影した動画をモニターに映しても、気分が悪くなるようなぶれではありませんでした。
そして、iPhone 14、15の動画も問題なく撮影できました。しかし、iPhone 17に比べると、若干手ぶれが大きい印象でした。
一方、iPhone 16は14、15とは世代が違う印象。iPhone 17に近いイメージの動画が撮影できました。
■2.BPM160、照明A(明)パターン
明るい照明のまま、BPMを160に上げてiPhone 17で動画撮影してみました。

BPM72の時より針の動きが速くなり、被写体ぶれが出ます。しかし、動画全体としてはまとまっていました。
手ぶれも多少でますが、酔うほどではありません。
また、iPhone 14、15、16でも撮影しました。BPM72の時と同様、Phone 17に比べると、若干手ぶれが大きい印象でした。
さらに、iPhone 16は17に近いレベルの画質を実現していました。映像全体が明るく、手ぶれも少なめです。
■3.BPM72、照明B(暗)パターン
照明を天井バウンスにして、暗い状態で動画撮影しました。

まずはiPhone 17の動画です。
ご覧のように手ぶれが増え、針へのピントも緩くなっています。全体の光量が不足しており、最新のiPhone 17といえど、BPM72でも厳しい状態です。
しかし、iPhone 14、15に比較すると、iPhone 17の進化を実感します。
iPhone 14、15の動画を確認したところ、動いている針をオートフォーカスが追えなくなります。短時間の動画とはいえ、手ぶれと針へのピントの甘さが相まって、思わず酔ってしまいそうになります。
iPhone 16は17と同様、針へのピントが緩むことはあるものの、破綻した映像ではありません。
■4.BPM160、照明B(暗)パターン
最後に、暗い照明の元、BPM160と動きもシビアな環境を設定して動画撮影しました。

iPhone 17で撮影したところ、手ぶれや被写体ぶれは起きますが、思っていた以上に針へのフォーカスが追従しました。
しかし、iPhone 14と15は、動画全体が暗くなっていました。
映像の明度を犠牲にしつつもセンサーの反応速度を早めて、被写体ぶれやオートフォーカスの改善をしている可能性があります。
また、iPhone 16は最悪の環境下でも、iPhone 17に近い映像が撮れました。
夜景でズーム
夜景の動画撮影とズーム性能を検証してみました。


ズームのイメージ(静止画撮影)
まずは、夜景の動画撮影について。
iPhone 17は映像全体をかなり明るくできる印象です。

撮影した当日は曇天のために街灯が雲へ反射しており、肉眼ではかなり空が明るくなっていました。
iPhone 17は肉眼に近い明度で動画撮影できた印象。夜景にしては明るすぎかも?……そんな贅沢な感想が出るほどです。
フォーカスがシャープで見やすく、東京タワーの優美な姿を鮮明に映しだしてくれます。
また、ズームしても映像はシャープな印象をキープしてくれました。
光学2倍ズームでは、通常倍率の時と映像の明るさや繊細さは変わりません。そして、ズームしてからのオートフォーカスも早かったです。
さらに、デジタルズームを試したところ、さすがにタワーのトラス構造でにじんだようなぼやけ感が出ます。
ただし、夜間の撮影でしかも手持ちと考えれば、許容範囲かもしれません。
加えて、ズーム中にカメラアングルを上下に振ってみましたが、手ぶれも少なくて見やすい映像が撮れていました。
それでは、先代モデルの動画性能と比較してみましょう。

iPhone 14はiPhone 17の映像に比べると、全体的に暗い印象を持ちました。

iPhone 14
先述した雲の反射による明るさは収まり、逆に締まった夜景映像となっている反面、タワー自体はやや暗めの映像となりました。
また、ズームは他モデルに比べて少し弱いのですが、逆に映像の拡大率が下がることで、画質の破綻は起きていなかったです。
さらに、iPhone 15はiPhone 14に比べて、映像が明るくなりました。しかも、ズームはiPhone 14以上に寄れます。

iPhone 16は、iPhone 17に近い映像でした。

明るさもズームもiPhone 17と同レベル。ただし、ズームした際の映像のシャープさはiPhone 17に軍配が上がります。
また、ズーム時のオートフォーカスもiPhone 17の方が早かったです。
動画性能でiPhone 17に買い替えってアリ?
ここまで、暗い場所での動きのある被写体の撮影、夜景でのズームについて検証してきました。
結果、iPhone 14と15、iPhone 16と17の2つのグループに分類されました。
iPhone 16に進化する際、iPhoneのスタンダードモデルは大幅なデザイン変更をしました。これは、動画性能にも明確な差を付けたようです。
もし、みなさんがiPhone 14か15ユーザーなら、iPhone 17への買い替えをすれば、暗所での動画撮影でメリットを感じる可能性が大いにあると思います。
それでは、iPhone 16からiPhone 17への買い替えはどうでしょうか?
今回の検証では、両モデルの違いはレンズなどの基本設計の差というよりは、細かいチューニングに差が出たようです。
例えば、ズーム時のフォーカス速度などに明らかな差が出ています。
以上の考察からわかるように、暗所でより高度な動画を撮影したいユーザーなら、iPhone 17の一択と言えるでしょう。
取材・文/中馬幹弘
ガジェット・MONO・マネー編集/ライター。慶應義塾大学卒業後、野村證券にて勤務。アメリカンカルチャー誌編集長、モノ情報誌編集を歴任。iPhone、iPad登場時よりスマホ実務に携わる







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