SNSなどで見かける「○○界隈」という言葉。特定の趣味や興味に共感している人たちを指したり、「風呂キャンセル界隈」のような使われ方もある。「界隈」に参加することで有益な情報交換や楽しい交流が生まれることもあるが、閉鎖的なルールや過熱した言動によって問題が起こりうる複雑な側面も併せ持っている。そしてコミュニティの健全性や雰囲気については、「民度」という言葉で語られることも多い。
マーケティングリサーチ会社のアスマークは、特定の界隈カテゴリーにあてはまる20代から40代の男女に「界隈ごとで見た、「民度」に関するアンケート調査」を実施して、その結果を公開した。この調査では、特定の界隈カテゴリー内で行動をしている人に、もっとも行動する場所(『X』や『Instagram』など)、民度と「そのきっかけや出来事」、ルールや暗黙の了解の程度、紹介やおすすめされた「モノやサービス」の購入経験などを調査している。それによると、どの界隈カテゴリーも「所属している意識がある」が7割を越えており、「民度」の高さや低さといったことのイメージも浮き彫りになった。
最近よく聞く「界隈」ってどういう意味?知っていると楽しい界隈の種類
インターネット、とりわけSNSに日常的に触れている人であれば、「界隈」の文字を見たことがない人はいないだろう。若者を中心に使われはじめた「◯◯界隈」という言葉は…
所属している意識度では7割以上が所属している意識あり
・所属している意識度
「界隈」カテゴリー内での「界隈」との関係にあてはまるものを聞くと、どの界隈カテゴリーも「所属している意識がある」と「やや所属している意識がある」を合わせた「所属している意識がある」が7割を超えていたが、「あまり所属している意識はない」と「まったく所属している意識はない」を合わせた「所属している意識はない」は約5%から14%の間だった。「所属している意識がある」のは「アイドル・アーティスト・俳優系」の約50%がトップで、ワーストは「ライフスタイル系」の約34%だった。
界隈カテゴリー内での行動のトップはそれぞれ違う
・界隈カテゴリー内での行動1
・界隈カテゴリー内での行動2
界隈カテゴリー内での行動であてはまるものを複数選択可で質問すると、それぞれの界隈で違う行動がトップになった。ほかの選択肢と比較して高い選択肢は「その「界隈」での投稿に「いいね」などリアクションをする」と「その「界隈」では投稿などを見る」で、それぞれ50%から65%の範囲だった。
「界隈」の人がもっとも行動する場は『X』
・もっとも行動する場
界隈カテゴリー内での交流や情報発信、リアクション、見るなどの行動をもっともする場所では『X』の人気が高かった。ほかの選択肢と比較して『X』は、約32%から66%ほど高い選択率で、特にアイドル・アーティスト・俳優系が最高値の約66%だった。ただ、ライフスタイル系は『Instagram』がトップで、『X』よりも『Instagram』の方が約7ptも高い結果になった。
直近3か月の民度スコアでわかった「界隈」の意識
界隈カテゴリー内でもっとも行動する場所で「『X』や『Instagram』など」と答えた人に、界隈カテゴリー内での行動や雰囲気について直近3か月で感じることの選択肢を用意して複数選択可で質問した。選択肢は、次のポジティブなもの6つとネガティブなもの6つ。
●ポジティブっぽい選択肢6つ
・新規参集者や初心者に対して、親切な人が多いと思う
・肯定的・賞賛的なコメントやコミュニケーションが多いと思う
・異なる意見が出た場合でも、敬意をもった議論が行われる傾向にあると思う
・界隈の内部で問題行動(誹謗中傷など)があった際に、注意し合う文化があると思う
・ポジティブで、見ていて心地良い雰囲気があると思う
・簡単な質問でも気軽にして良い雰囲気があると思う
●ネガティブっぽい選択肢6つ
・特定の個人や団体に対する、過度な誹謗中傷や攻撃が多いと思う
・根拠がない情報や、デマが拡散される傾向にあると思う
・「古参」が「新参」を排除しようとする雰囲気があると思う
・細かな間違いや言動を過剰に指摘する人が多いと思う
・不平不満やネガティブな感情の投稿が多いと思う
・嫉妬や自尊心が高い人が多いと思う
ポジティブな選択肢を選ぶごとに+1点民度スコアを付けて、ネガティブな選択肢を選ぶごとに-1点付けることで民度スコアを簡易的に算出。調査したアスマークによれば用意する選択肢により、傾向が異なる可能性があることに注意は必要だが、次のような表になったという。
・直近3か月:民度スコア1
・直近3か月:民度スコア2
これを見る限りでは、民度(平均)スコアに大きな差はないようだが、このなかでは唯一、社会・時事系がマイナスだった。さらに界隈カテゴリー内での直近3か月の民度についても質問した。
・直近3か月:民度の高さ
右側の「とても高い」と「やや高い」を合わせた「高い」のトップはライフスタイル系の約47%だったが、それに続くキャリア系・学習系も46%と近い数値だった。「やや低い」と「とても引く」を合わせた「低い」のトップは社会・時事系の約33%だった。界隈カテゴリー内での直近3か月の民度については、そう感じるようになったきっかけや出来事について、思うところを具体的に聞く質問も行われた。これは、回答者自身で民度を選択して、そうなるようになったきっかけや出来事を自由回答するもの。それは次のようなものが挙がった。
・直近3か月:民度に関するきっかけや出来事
アイドルやアニメなどの推し活的な界隈カテゴリーや趣味的な界隈カテゴリーでは、マナーなどについての言及があった。一方でビジネスやライフスタイルに関係しそうな界隈カテゴリーではポジティブなコメントが多いように感じられる。これは趣味的なものでは、行動に個人の好みが強く出てしまい、ビジネス的な要素もあるものでは大人な対応をしようとするからかもしれない。「界隈」が先鋭化しすぎるとギスギスしそうなので、節度を持って民度の高い行動を心掛けたいものだ。
「界隈ごとで見た、「民度」に関するアンケート調査」概要
対象者条件:性別/男女、年齢/20代~40代
そのほかの条件/以下『○○界隈』の概念についてイメージが湧く人。SNSなどで使われる『○○界隈』とは、「特定の趣味や興味、好きなジャンル、応援している対象(推し)などが共通する、ゆるくつながった人々の集まりやコミュニティ」を指す。何かしらの「界隈」にあてはまる人。
・アイドル・アーティスト・俳優系
地下アイドル界隈/ボカロ界隈/バンド演奏界隈/K-POP界隈/宝塚界隈など
・アニメ・マンガ・ゲーム・動画系
美少女アニメ界隈/乙女ゲーム界隈/イラスト界隈/コスプレ界隈/特撮界隈/映画界隈/VTuber界隈/YouTuber界隈など
・その他趣味系
野球界隈/ハンドメイド界隈/カメラ界隈/キャンプ界隈/バイク界隈など
・ライフスタイル系
美容界隈/コスメ界隈/グルメ界隈/ミニマリスト界隈/風呂キャンセル界隈など
・キャリア系・学習系
就活界隈/副業界隈/○○業界界隈(IT、金融など)/投資界隈/資格界隈/浪人界隈/予備校界隈など
・社会・時事系
政治界隈/環境問題界隈など
・界隈内で行動している人
サンプルサイズ:765サンプル
調査期間:2025年8月19日~2025年8月21日
調査方法:Webアンケート
調査項目:
【スクリーニング】
・『○○界隈』のイメージ
・何かしらの「界隈」にあてはまるか?
・あてはまる界隈カテゴリー
・界隈カテゴリーごとの所属意識
・界隈カテゴリーごとの行動
【本調査】
・界隈カテゴリーごとの行動をもっともする場所
・「界隈カテゴリー×行動をもっともする場所」の行動や雰囲気
・界隈カテゴリーごとの民度と“そのきっかけや出来事”
・界隈カテゴリーごとの「あなたにとってどんな場所?」
・界隈カテゴリーごとのルールや暗黙の了解の程度
・界隈カテゴリーごとの紹介/おすすめされた「モノやサービス」の購入経験
調査機関:アスマーク
構成/KUMU







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