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知らないと損する2025年の給与所得控除改正ポイントまとめ

2025.11.21

改正がもたらす影響

2025年の税制改正は、給与所得者だけでなく、企業の人事・給与・経理担当者にも大きな影響を及ぼします。所得控除の仕組みや年収の壁の変更、さらには年末調整や源泉徴収の対応範囲の変更など、実務面での調整や社内体制の整備が求められる場面が増えると予想されます。

給与所得者にとっては手取り額や扶養控除の適用範囲が変わり、企業側では給与計算や申告書管理の負担が増える可能性があるでしょう。

それぞれの立場から、どのような対応が必要となるのか解説します。

■納税者(給与所得者)への影響

給与所得者である従業員は、給与所得控除や基礎控除の見直し、特定親族特別控除の創設により、手取り額が変わるケースがあり、いわゆる「年収の壁」といわれる状況が変化する可能性もあります。

一部の手取り額が変わる

2025年の税制改正により、基礎控除や給与所得控除の金額が見直されるため、一部の給与所得者の手取り額に影響が出る可能性があります。改正では、控除額の引き上げによって低・中所得層の税負担が軽くなる一方で、所得が一定以上ある人は控除額が段階的に減少する仕組みに変わるためです。

また、特定親族特別控除の新設など、扶養親族の有無によっても控除額が変動するため、家族構成によって実際の手取りが増減するケースもあります。年末調整の際は、改正後の控除額を正確に反映させることが重要です。

年収の壁が変わる

税制改正により、いわゆる「年収の壁」に関する基準も大きく見直されます。年収の壁とは、所得が一定額を超えることで税金や社会保険料の負担が増え、手取り収入が減少してしまうラインのことを指します。収入が基準を超えないように働き方を調整する、いわゆる「働き控え」の要因にもなっていました。

今回の改正では、所得税や住民税といった「税金の壁」に加え、扶養控除の判定にも影響が及びます。従来、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を合計した「年収103万円」が課税ラインとされていましたが、2025年以降は基礎控除58万円、給与所得控除65万円へと引き上げられるため、「年収123万円」が新たな目安となるでしょう。

さらに、年収200万円以下の人については基礎控除が95万円に拡大し、所得税の非課税ラインは年収160万円程度まで上がります。一方で、住民税の非課税限度額も10万円引き上げられ、「110万円の壁」となります。

これまで「103万円の壁」として意識されてきた扶養控除の上限も、「123万円の壁」へと変更されるため、配偶者や扶養家族の就労調整にも影響が及ぶと考えられるでしょう。

■企業・人事・給与担当者への影響

2025年の税制改正で基礎控除、給与所得控除などの制度が見直されることで、企業や人事・給与担当者の業務負担も増加します。改正内容を正確に理解し、システムの更新や社内フローの整備などを進めなければなりません。

どのような影響があるのか、具体的にみていきましょう。

年末調整の負担が増える

2025年の税制改正により、企業の人事・給与担当者の年末調整業務はこれまで以上に複雑化します。基礎控除や給与所得控除の見直しに加え、新たに「特定親族特別控除」が創設され、該当者の判定や控除額の計算が必要です。

これに伴い、従業員から新たな申告書(特定親族特別控除申告書)を回収・確認する手間も発生します。また、所得金額調整控除など既存の制度との重複確認も求められ、入力や確認作業が煩雑になる見込みです。システムへの移行などを検討する必要も出てくるでしょう。

従業員によっては改正内容をよく理解せず、従来の基準で申告書を記入してしまう可能性もあります。改正の内容について従業員への周知が必要であり、記載ミスや控除漏れを防ぐ取り組みや念入りなチェックが必要です。企業や人事、給与担当者の負担は大幅に増えることが予想されるでしょう。

社内規定や就業規則などを見直す

企業は年末調整だけでなく、社内規定や就業規則の見直しも求められます。たとえば、年収の壁の引き上げに伴い、パート・アルバイトの勤務時間や給与設定を変更する必要が生じる場合があります。

手取り額や社会保険加入条件の変化により、従業員の働き方に影響が出るため、就業規則や給与規程での「扶養範囲内勤務」や「所得制限」に関する記載内容を最新の制度に合わせて整備することも必要です。

また、改正内容を社内で正確に共有するなど、従業員が安心して働けるよう、説明体制の強化も求められます。

年末調整・源泉徴収で注意すべきポイント

今回の改正は、年末調整や源泉徴収事務の実務に大きな影響を及ぼす内容となっています。申告書の様式変更や控除制度の見直しにより、事務処理の流れや確認項目も複雑化する可能性があります。

ここでは、実務担当者が特に注意すべきポイントを「2025年分」と「2026年分以降」に分けて、具体的に整理・解説していきましょう。

■2025年分(令和7年分)の年末調整対応

2025年の年末調整では、控除制度の見直しに伴い、申告書の記入内容や提出書類も変更されます。そのため、従来通りの手順で進めると、計算ミスや書類不備などのトラブルが起きやすくなることが予想されます。

給与担当者や人事担当者は、改正内容を正確に理解したうえで、社内での申告書配布や回収、計算フロー、確認体制を事前に整えておくことが必要です。従業員への周知や質問対応もあらかじめ準備しておくことで、スムーズに年末調整を実施できる体制を構築しましょう。

■2026年分以降の源泉徴収事務・その他の対応

2026年以降は、給与支払いの源泉徴収事務にも改正の影響が及びます。

ここでは、源泉徴収事務の担当者が担当すべきことと、企業全体が対応すべきことを解説します。

源泉徴収事務の対応

2026年分以降の給与からは、特定親族特別控除が源泉徴収事務にも反映することになります。

2025年分までは、「扶養控除等申告書」に記載するのは「控除対象扶養親族」に限られていました。しかし、2026年分以降は新たに創設される「特定親族特別控除」に対応するため、申告書の記載内容が変わります。

具体的には、「源泉控除対象親族」として、特定親族のうち合計所得金額が100万円以下の親族も記載の対象となります。そのため、従来よりも対象範囲が広がる点に留意が必要です。

特定親族のうち、合計所得金額が100万円以下の親族は源泉徴収税額を算定する際に用いる月額表の「扶養親族等の数」にカウントしますが、100万円超123万円以下の場合には人数に入れず、年末調整時に適用することになります。


同じ特定親族特別控除の対象でも、合計所得金額が100万円以下かそれを超えるかによって源泉徴収税額に差異が生じるため、注意してください。

その他の対応

また、企業では、改正に伴って次のような対応が求められます。

  • 働き方や勤務体制の再検討
  • 社会保険加入や配偶者・家族手当の支給基準の見直し
  • 賃金計算システムの法改正対応

1.働き方や勤務体制の再検討

「年収の壁」の引き上げに伴い、企業はパート・アルバイトなど短時間労働者から労働時間延長や収入アップの希望を受ける機会が増えることが予想されます。そのため、従業員の希望を事前にヒアリングし、業務内容や就業時間の調整など、労働条件の見直しを検討する必要も出てくるでしょう。

2.社会保険加入や配偶者・家族手当の支給基準の見直し

また、労働条件の見直しにより社会保険に加入することになる場合、加入に伴い手取り額が減少する可能性もあります。従業員には加入のメリットをあわせて説明し、認識の相違を防ぐことが大切です。また、配偶者手当(家族手当)についても、年収103万円以下を基準としている場合は改正に合わせた見直しが必要になります。

3.賃金計算システムの法改正対応

給与計算ソフトや年末調整ソフトを導入している場合は、システムが法改正に対応しているかの確認が必要です。必要に応じて、扶養控除の範囲や非課税範囲、特定扶養控除などの改正に対応するため、システムの更新や設定変更を行いましょう。

また、改正により申告する従業員側の負担も増加します。負担を軽減するため、スマホやパソコンからの申告対応も検討するとよいでしょう。

2025年からの給与所得控除変更に注意しよう

2025年の税制改正により、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、対象となる給与収入の上限も190万円まで拡大されます。低所得層の税負担が軽減され、所得に応じた公平な課税がより重視される内容です。

また、基礎控除や扶養控除などもあわせて見直されるため、年末調整や確定申告での計算方法にも影響が及びます。企業の給与担当者は、改正後の控除額や条件を正しく反映できるよう、社内手続きの確認・準備やシステムの更新などを進めておくことが大切です。

構成/須田 望

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