アメリカの利下げが今後の日本経済にもたらす変化

アメリカの金利の動きは、住宅ローンの金利や投資運用の成果にも少なからず影響を及ぼします。ここからは、アメリカの利下げが日本経済にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
■住宅ローン金利への波及
アメリカの利下げは、日本の住宅ローン金利に直接的な影響を与えるわけではありませんが、間接的に波及する可能性があります。
アメリカの金利が下がると日本の長期金利も低下しやすくなり、それに連動して10年国債利回りが下がることで、フラット35などの固定金利型ローンの金利が引き下げ方向に動く可能性があります。一方で、変動金利は日本銀行の政策金利と連動しているため、すぐに影響を受けることは考えにくいでしょう。
■投資運用への影響
アメリカの利下げは、投資運用にもさまざまな影響を及ぼします。
まず、利下げ期待が高まると資金が株式市場に流れやすくなり、金利低下がハイテク株を中心とした成長株の上昇を後押しします。利下げによってハイテク株などの成長株が上昇するのは、これらの企業が、将来の利益(将来キャッシュフロー)への期待感から評価されるためです。
金利が下がると、将来の利益を現在価値に割り引く際の「割引率」が低くなり、理論上の株価が高く算出されます。これは、割引率のもとになる金利が下がることで、「将来のお金の価値を今に換算したときの目減り幅」が小さくなることが原因です。つまり、金利が低いほど、将来得られる利益の価値が相対的に高く見積もられ、株価が上がりやすくなります。
アメリカの株高は世界の投資家心理を刺激し、日本でも半導体やIT関連などの「値がさハイテク株」に買いが広がる引き金となるでしょう。
一方で、利下げは円高を招きやすく、輸出企業の収益を圧迫する要因にもなります。結果として、内需型企業には追い風となる一方、日本株全体には複雑な影響をもたらす可能性があります。
今後のアメリカの利下げに注目しよう

アメリカでは、FOMCが2025年9月の会合で政策金利を0.25ポイント引き下げ、年率4〜4.25%とする決定を行いました。景気減速への懸念を踏まえた措置であり、今後も年内に2回の追加利下げが行われるとの見方が出ています。
アメリカの利下げは世界経済や日本にも波及し、間接的ではあるものの、長期金利を通じて住宅ローンの固定金利に影響を与える可能性があります。また、成長株の理論的な株価を押し上げ、ハイテク株を中心に株式市場の上昇を後押ししやすい一方で、円高による輸出企業の収益の圧迫が株価に影響するリスクも知っておくことが大切です。
アメリカの今後の利下げ動向を見極めることが、住宅ローンの金利や資産運用を考えるうえでも重要といえるでしょう。
文/編集部







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