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アメリカの利下げで円高ドル安に?政策金利が為替に及ぼす影響を考える

2025.11.25

アメリカが利下げをすると、通常は円高ドル安が進むとされています。しかし、為替は政策金利以外にもさまざまな要素が絡み合って変動するため、必ずしも円高ドル安になるわけではありません。アメリカの利下げが為替に及ぼす影響や、円安ドル高が進んだ場合に備えてできることについて解説します。

2025年9月17日、アメリカは今年初となる利下げを発表しました。政策金利は4.00~4.25%に下方修正され、国内外にさまざまな影響を与えています。

アメリカが利下げを実行すると円高ドル安になるというのが一般的な見解ですが、為替は短期金利だけでなく長期金利の影響も強く受けるため、必ずしも期待する方向へ動くとは限りません。

利下げが為替に及ぼす影響、日本国内で生じ得る変化などについて解説します。

利下げとは?

利下げとは、政策金利を引き下げることです。政策金利は各国の中央銀行が定める短期金利のことで、景気や物価を左右する要素となります。

例えば、アメリカならFRB(The Federal Reserve Board、連邦準備制度理事会)で年に8回FOMC(Federal Open Market Committee、連邦公開市場委員会)を開催し、政策金利の方針を決定しています。

一方、日本の中央銀行は日本銀行です。アメリカのFOMCに相当する「日銀金融政策決定会合」を開催し、政策金利の方針や景況判断などを実施しています。

政策金利は、中央銀行が民間金融機関に融資を実行するときの金利の目安となります。利下げが実行されると民間金融機関は資金を調達しやすくなるため、個人や企業への貸付金利も引き下げられることが一般的です。

貸付金利が引き下げられると、個人・企業は融資を受けやすい状態になり、消費や投資が増えて景気が上向きになります。ただし、利下げをし過ぎると、貨幣価値が下落するだけでなく、インフレが加速して生活を圧迫することもあるため注意が必要です。

■アメリカの政策金利の推移

2022年以降のアメリカの政策金利の推移は以下をご覧ください。

  • 2022年1月~2月:0.25%
  • 2022年3月~4月:0.50%
  • 2022年5月:1.00%
  • 2022年6月:1.75%
  • 2022年7月~8月:2.50%
  • 2022年9月~10月:3.25%
  • 2022年11月:4.00%
  • 2022年12月~2023年1月:4.50%
  • 2023年2月:4.75%
  • 2023年3月~4月:5.00%
  • 2023年5月~6月:5.25%
  • 2023年7月~2024年8月:5.50%
  • 2024年9月~10月:5.00%
  • 2024年11月:4.75%
  • 2024年12月~2025年8月:4.50%
  • 2025年9月:4.25%

2023年以降は5.00%前後に落ち着いていますが、5.50%を境に利下げフェーズに入りました。2022年のように1年で4.00%以上もの政策金利の変動が見られることもあるため、今後の動きも予測がつきにくいといえるでしょう。

※2025年9月末時点

■日本の政策金利の推移

日本は諸外国と比べると短期金利が低く、変動幅も少ない傾向が見られます。2022年以降の政策金利の推移は以下をご覧ください。

  • 2022年1月~2024年2月:-0.10%
  • 2024年3月~6月:0.10%
  • 2024年7月~12月:0.25%
  • 2025年1月~9月:0.50%

日本では、2016年1月~2024年2月と8年以上にもわたってマイナス金利が続いていました。ちなみに2015年12月以前は約3年間、政策金利0.00%の状態が続いていました。2024年3月以降は利上げが実施されていますが、変動幅が小さく、また、変動頻度も少ないため、安定性が高いといえます。

※2025年9月末時点

アメリカの利下げと為替への影響

日米の政策金利差により、為替は影響を受けます。2022年以降の政策金利差(アメリカの政策金利-日本の政策金利)は以下をご覧ください。

  • 2022年1月~2月:0.35%
  • 2022年3月~4月:0.60%
  • 2022年5月:1.10%
  • 2022年6月:1.85%
  • 2022年7月~8月:2.60%
  • 2022年9月~10月:3.35%
  • 2022年11月:4.10%
  • 2022年12月~2023年1月:4.60%
  • 2023年2月:4.85%
  • 2023年3月~4月:5.10%
  • 2023年5月~6月:5.35%
  • 2023年7月~2024年2月:5.60%
  • 2024年3月~6月:5.40%
  • 2024年7月~8月:5.25%
  • 2024年9月~10月:4.75%
  • 2024年11月:4.50%
  • 2024年12月:4.25%
  • 2025年1月~8月:4.00%
  • 2025年9月:3.75%

※2025年9月末時点

■通常は円高ドル安へと動く

日本の政策金利はほぼ変動せず、2024年からは緩やかな利上げを実施しているため、アメリカが利下げを実施すると、日米の政策金利差は縮小します。日本からアメリカに投資をする「旨み」が減るため、相対的な日本通貨の価値上昇、つまり円高ドル安へと為替が動くと考えられます。

■円安ドル高になる可能性も

通常であれば、アメリカの利下げは円高ドル安を促進します。しかし、為替は政策金利だけで決まるのではありません。景気や失業率、大統領選挙といった政治的動きなどからも多大な影響を受けます。

また、FOMCが政策金利の変動を発表する前に、将来的な利下げを見越した対応(例:日銀による追加利上げの発表など)を実施することもあります。例えば、2019年にアメリカが利下げを実施した後、ドル円の為替相場はほとんど動きませんでした。

2024年9月も0.50%と大幅に利下げを実行したものの、円安ドル高に歯止めをかけることはできず、かえって国内のインフレを加速させる一因ともなっています。2025年も円安ドル高は継続しています。アメリカの約9ヶ月ぶりとなる利下げがどのように為替市場に作用するか、今後も注目していきましょう。

日銀の利下げによる金利差の停滞

日本では長く「マイナス金利」「ゼロ金利」が継続していたため、諸外国から見れば十分に低金利の水準ではあるものの、国内では金利上昇による買い控え・借り控えが見られています。また、インフレ率が賃金上昇に追いついていないことも、消費停滞を加速させる要因となっています。

2024年3月以降、ローペースながらも利上げが続いていますが、今後の動きは不透明です。再度利下げに舵を切り、日米の政策金利差が停滞し、円安ドル高がさらに進行するといったシナリオも予想されるでしょう。

インフレ圧力による下げ渋り

トランプ第二次政権が始まり、アメリカへの輸入品への関税や移民政策など、国内外の政治経済を揺るがすさまざまな動きが見られています。アメリカ国内でのインフレ圧力が高まり、今後の利下げが困難になり、円安ドル高が強まるシナリオも予想されます。

利下げがもたらすさまざまな影響

利下げの影響を受けるのは為替だけではありません。利下げにより次のような影響が及ぶことがあります。

  • 市中金利の引き下げ
  • 消費の拡大
  • 雇用の拡大

それぞれの動きについて見ていきましょう。

■市中金利の引き下げ

政策金利の引き下げが実施されると、民間金融機関の金利も下がることが一般的です。ローンを借りるなら好機といえますが、預貯金の金利も減るため、金融機関に預けているだけでは資産を増やすことが困難になります。

■消費の拡大

利下げによりローンの金利が下がると、利息の負担が減り、借りやすい状況になります。住宅ローンのように長期かつ高額のローンを組む場合であれば、より一層、金利引き下げによる恩恵を実感できるでしょう。

また、企業にとっても事業拡大や新規事業のチャンスといえます。消費が拡大し、景気が上向く可能性もあります。

■雇用の拡大

企業活動が活発になることで、働き手を増やす必要が生じます。雇用が拡大し、失業率の低下が見られるようになるでしょう。

また、所得向上が見られることで、さらなる消費拡大も期待できます。住宅や自動車などのモノの消費だけでなく、教育や保険といったサービスの消費も増加する可能性があります。

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