1985年9月、ドル高是正のための国際的な為替政策に関する合意である「プラザ合意」により、日銀は公定歩合の引き下げに踏み切る。これにより日経平均株価は大幅に上昇。1989年12月に当時の史上最高値である3万8915円を記録する。
──それから36年。日経平均は、ついに5万円台に突入した。
2009年3月10日には、前年のリーマンショックに伴う株価下落の進行により、バブル崩壊後の最安値である7054円をつけたことが、今では信じられないような感覚もある。
そんな5万円を超えた日経平均株価を巡る市場の動きを考察したリポートを、三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏よりお伝えする。
米国株の堅調推移や、米中の緊張緩和で日経平均は5万円の節目を超えて上昇
日経平均株価は10月27日の朝方、5万円の節目を超えて上昇した。先週21日には、取引時間中に一時4万9945円95銭をつけ、5万円に迫る場面もみられたが、その後は売りに押され、23日には4万8399円05銭まで値を下げる展開となっていた。
日経平均が週明けに大きく上昇した主な背景には、米国株の堅調推移や米中の緊張緩和があると思われる。
米国では10月24日、9月の消費者物価指数が市場予想を下回る伸びとなり、追加利下げへの期待が強まったことなどから、ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数はそろって過去最高値を更新した。
また、ベッセント米財務長官は26日、米ABCニュースのインタビューで、中国側がレアアース輸出規制を1年間延期し、米国による100%の対中追加関税は回避されるとの見通しを示した。
■目先は日米主要企業の決算における業績見通しや高市首相の国会運営の手腕に注目
なお、日本経済新聞社とテレビ東京が10月24日~26日に実施した世論調査では、高市内閣の支持率が74%に達しており、これも株価を押し上げた要因の1つと考えられる。
日経平均のこのところの上昇を受け、株価収益率(PER)は19倍に近づきつつあり、割高感が意識されるが、1株当たりの予想利益が増加傾向にあるため(図表1)、足元の株高は利益見通し改善の裏付けがあるとも解釈できる。

今週は、米大手ハイテク企業を含む日米主要企業の決算発表が予定されており、企業側から良好な業績見通しが示されるか否かに注目が集まっている。
また、高市首相は今週28日の日米首脳会談を終えた後、11月には経済対策の閣議決定、12月には2025年度補正予算の成立および2026年度当初予算案と税制改正大綱の閣議決定の予定がそれぞれ控えており、これらのスムーズな進行の成否も市場の関心材料だ。
■日経平均は長期上昇トレンドの上値抵抗線をすでに上抜け。5万円は通過点の可能性
日経平均を長期の視点でみると、2012年以降、上昇トレンドを形成していることがわかる(図表2)。日経平均は2020年のコロナ・ショックで下値支持線を割り込んだものの、一時的なものにとどまり、2024年8月の急落(令和のブラックマンデー)では下値支持線を割り込むことはなく、2025年4月の米関税ショックでも下値支持線でしっかりサポートされた。

なお、日経平均は直近で上値抵抗線をすでに上抜けており、より右肩上がりの上昇トレンドが形成されつつあり、この点を踏まえると、日経平均の5万円は単なる通過点となる可能性が高いように思われる。
また、すでに日経平均の水準自体がかなり切り上がっているため、多少大きめの調整が発生しても、上昇トレンドが大きく崩れる恐れは小さくなっていると考えられる。
構成/清水眞希
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