JPYC株式会社は、2025年8月18日付の資金決済法第37条に基づく「資金移動業者」登録を経て、2025年10月27日より日本初となる日本円建てステーブルコイン、「JPYC(ジェーピーワイシー)」の正式発行を開始した。
日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」とは?覚えておきたい仕組みと将来性
2025年8月18日、JPYCが資金移動業者として登録され、日本初の円建てステーブルコイン発行まで秒読み段階となりました。日本円と1対1で連動する電子決済手段が…
本発行にあわせて、発行および償還の受付を行なう専用プラットフォームとして、「JPYC EX(ジェーピーワイシーエクス)」も公開された。
日本円ステーブルコイン「JPYC」の主な特徴
JPYC株式会社が発行するJPYCは、資金決済法第2条第5項に基づく「電子決済手段」として、次のような特徴を備えている。
・日本円と1:1で交換可能(発行および償還)
・円建て価値を維持したまま、即時に送付・受領が可能
・ブロックチェーンを利用した低コスト・高速なオンチェーン送金
・発行価値の裏付け資産は、日本円(預貯金および国債)によって発行残高の100%以上を保全

■JPYC EXについて
JPYC EXは、JPYCの発行・償還手続を行うための公式プラットフォームだ。登録ユーザー(※)は、JPYC EX上から発行予約を行ない、銀行振込によって指定の口座に日本円の入金をすることで、登録済ウォレットアドレスへJPYCの発行を受けることができる。
また同様に、JPYC EX上から償還予約を行ない、指定されたアドレスにJPYCを送付することで、登録出金口座へ日本円での払い戻しを受けることもできる。
※ 登録には本人確認(犯罪収益移転防止法上の取引時確認)が必要。
※ 同社の取引時確認は、マイナンバーカードを用いた公的個人認証(JPKI)に一本化されている。
<サービス提供開始日時>
2025 年10 月27 日(月)午後1時(日本標準時)
<サービスURL・対応チェーン>
・サービスサイト:https://jpyc.co.jp/
・対応チェーン:Avalanche、Ethereum、Polygon(順次拡大予定)
JPYCで生まれる新しい経済圏

JPYCは、電子決済手段として特定の加盟店契約や利用契約を必要とせず、あらゆる事業者・開発者が自由に組み込んで利用できる「オープンな金融インフラ」だ。そのため、業種・業態を問わず、多様なユースケースにおいて導入や検討が進められている。
・実店舗・ECにおける決済システムを開発中(株式会社電算システム)
電算システムが全国のコンビニエンスストアやドラッグストア等で構築してきた 6万5千店超の収納代行・コンビニ決済ネットワークと、JPYC 社が発行する日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、B2C/B2B 決済および企業間精算のユースケースを順次具体化していく。
・企業向けデータ連携No.1の「ASTERIA Warp」における連携機能を開発中(アステリア株式会社)
10,000社を超える企業での採用実績のあるノーコードで業務連携を可能にするASTERIA Warpに、JPYCとの連携機能が追加される予定。JPYCを使った資金移動手続きの自動化やワークフロー連携によって、より多くの場面で円滑な資金のやり取りが可能になる見込みだ。
・国内ユーザー数No.1のweb3ウォレット「HashPortWallet」での対応が決定(株式会社HashPort)
現在大阪・関西万博公式デジタルウォレットアプリ『EXPO2025デジタルウォレット』が、2025年10月にHashPortが提供する『HashPort Wallet』としてリニューアル予定であり、JPYCに対応する予定。マルチチェーン対応・ガスレス接続など、次世代のユーザー体験を70万人(2025年8月時点)の利用者に提供していく。
・法人資産管理SaaS「N Suite」での対応が決定(double jump.tokyo株式会社)
ブロックチェーン上の資産やワークフローを一元管理できるN Suiteでは、JPYCをプリセットトークンとして対応予定。法人ユースにおける業務処理や残高管理の効率化が期待されている。
・nudgeカードにおけるクレジットカード代金のJPYC払いの導入が決定(ナッジ株式会社)
クレジットカード代金のJPYC払い(後払い・前払い)を2025年10月から開始予定。クレジットカードという既存インフラを活用し、オンチェーン経済と実体経済を繋ぐことで、ステーブルコイン利用者の活用の幅が広がる。
・漫画家支援プラットフォーム「comilio」における決済導入が決定(株式会社ユーツーテック)
リリースと同時にJPYC決済導入が予定されている。将来的には国内外の漫画家やクリエイターへの報酬支払手段としての活用も想定されており、ステーブルコインによる自動化とコスト削減によって、クリエイターを取り巻く報酬環境の改善が期待される。
・損益計算ツール「CryptoLinC」における対応が決定(クリプトリンク株式会社)
暗号資産損益計算ツール「CryptoLinC(クリプトリンク)」において、JPYCの取扱いに対応する予定。これにより、ユーザーはJPYCやガス代を含む取引履歴を自動で取得・集計し、確定申告や会計処理に必要な損益計算を簡便に行うことが可能になる。ステーブルコインの会計処理を効率化し、個人投資家や法人利用者の業務負担軽減を目指す。
■今後の展望
今回の日本初となる日本円建ステーブルコインの発行に際して、同社では次のようにコメントしている。
「JPYCは、誰でも自由に組み込むことができる「オープンな金融インフラ」として、様々な事業者による自由な利活用を想定して設計されています。こうした開かれた設計思想のもと、JPYCを活用した新たなユースケースの創出と拡大を支援し、金融・決済分野におけるイノベーションを後押ししていくことが、当社の重要な使命であると考えております。
実店舗・EC決済、企業間精算、Web3ウォレット、法人会計・SaaS、クリエイター支援など、幅広い領域での連携が進むことにより、JPYCを基盤とした新しい経済圏が急速に形成されつつあります。こうしたパートナーシップを礎に、今後3年で10兆円規模の発行残高を実現することを目指し、ステーブルコインを通じた新たな社会インフラの創造に挑戦してまいります。この潮流を加速させるためにも、パートナー企業との連携を一層強化し、法人・個人問わず幅広いニーズに応えるプロダクト開発とエコシステム構築に努めてまいります」
関連情報
https://corporate.jpyc.co.jp/
構成/清水眞希







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