推し活市場が拡大しているのはご承知の通り。
株式会社CDGと株式会社Oshicocoが設立した「推し活総研」によれば、国内の推し活人口は約1,400万人に上り、直近1年で約250万人増加したという。マーケティングや商品開発に際しては、推し活層へのアプローチも有効だ。
そんな中、押さえておきたいのが「推縁(おしえん)」だ。
従来の血縁、知縁、社縁に加え、推し活仲間をつなぐアプローチが注目されている。
今後、推縁も含めたビジネス展開に効果が期待できる可能性がある。そこで今回は、推縁の定義や具体的なアプローチ例、トレンドを紹介する。
推し活文脈で今後トレンドになる「推縁」とは?
「推し活総研」は、推し活と推し活に関連する現代人の消費行動について調査、研究を行っている。所長である多田夏帆氏は、「推縁」の定義について次のように解説する。
【取材協力】
多田 夏帆氏
推し活総研所長
株式会社Oshicoco代表。大学卒業後、「推し活」に関する企業のマーケティング支援とグッズ販売を行うOshicocoを創業。エンタメ企業や企画コンサルティングを多数務める。タイドラマ、T-POP推し。
推し活総研 公式note
https://note.com/oshikatsusoken
「『推縁(おしえん)』とは、“推し”を介して生まれる新しい人間関係の形です。血縁や地縁、社縁のように生まれや職場といった所属でつながるのではなく、『好き』という純粋な感情を軸に自然発生的に生まれる縁を指します。
推しが同じ、という共通点をきっかけに仲良くなったり、もしくは一度も会ったことはないけれどSNS上で定期的に会話をするような関係です。
現代人は年齢、性別、住んでいる地域を超えて“推し”という共通点でコミュニティを形成します」
「推縁」活用の代表的な例
すでに推縁を活用し、マーケティングやサービス開発に成功している例もある。代表的なのが次の3つだという。
1.カレンダーシェアアプリ「TimeTree(タイムツリー)」
「これまで家族・恋人間で共有して使われていたTimeTreeですが、アイドルの運営側がファンの方に活動スケジュールを共有するために使われるようになったのは『血縁』から『推縁』への移行の良い例です」
TimeTreeでは最近、「公開カレンダー」機能が人気だ。音楽グループ「超特急」やプロ野球チーム「東京ヤクルトスワローズ」などが、出演する番組やイベント情報などのスケジュールをファンに共有するのに使用している。またファンが予定をスマホのホーム画面に表示できる「公開カレンダーウィジェット」機能も人気を博している。
2.コンビニプリントサービス
「私が運営する株式会社Oshicocoと株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジーが実施する『コンビニプリントサービス』も良い例です。これは全国6万店舗のコンビニで推しのブロマイドやシール等が印刷できるサービスです。「Oshicoco推し活プリント部」と題して展開しており、推し活仲間同士で見せ合って楽しむことも想定しています。
またOshicocoではうちわ文字を印刷できるサービスを展開しています。これまで受験勉強の過去問の印刷や、仕事用に使われていたコンビニのプリンターですが、このように推し活で使われるようになりました」
3.プリントシール機
「これまでは友達同士で撮っていたプリントシール機にも、推しのアイドルと撮れるモノが登場したりと、様々な商品サービスが推縁を意識したものに変化を遂げています」
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